人口減少や少子高齢化に伴う労働力低下の影響で日本は今後、世界でも類を見ない危機に見舞われることが予想されています。そのような状況に立ち向かうために、各企業には、生産性の向上や商品・サービスの付加価値創出が求められています。

では、各企業はどのようにして生産性を上げ、商品・サービスの付加価値を生み出していけばいいのでしょうか。そのヒントとなっているのが、「第4次産業革命」です。第4次産業革命のキーワードは大きく3つあります。「IoT(モノのインターネット)」「ビッグデータ」「AI(人工知能)」です。これらの新しい技術を活用することで、生産性の向上や商品・サービスの付加価値創出を各企業が実現しやすくなると考えられています。本記事では「IoT」に着目して、その具体的な内容を解説していきます。

IoT
(写真=Panchenko Vladimir/Shutterstock.com)

私たちの暮らしを良くするIoT

そもそもIoT(アイ・オー・ティー)は「Internet of Things」を意味する言葉です。かつてインターネットは、パソコンやサーバー、プリンタなどのIT機器と連動する形態が主流でした。しかし現在では、技術革新によってあらゆるモノがインターネットとつながるようになっています。

たとえば、「手のひらのパソコン」とも言われるスマートフォンはパソコンと異なり、どこにでも持ち運ぶことができます。その結果、私たちは常にインターネットに接続している状態を実現しました。場所や時間を問わず情報検索やデータ共有ができるようになったのです。

私たちが日常で使用している家電もそうです。冷蔵庫や洗濯機、湯沸かしポットなどをインターネットに接続することによって、情報(データ)が集約・可視化され、ユーザーにとって利便性が高まるように家電が最適化していきます。つまり、モノの価値そのものが高まるのです。

IoT導入のメリット・デメリット

中小企業がIoTを導入する最大のメリットは、「ネットワークによる効率化」です。IoTによってあらゆる機器がつながり、ネットワークが形成され、離れた場所にあるモノの状態を知り、環境(温度、湿度、騒音、明るさなど)を把握することが可能となります。

たとえば、「工場設備の一元管理」や「世界にある工場への受発注」なども、IoTによって実現できます。ネットワークにつながると、工場で働く人が費やす時間や労力を減らし、工場の稼働効率化に大きく寄与するのです。また、既存の古い機械をカスタマイズしてネットワークに組み込むことも可能です。

ただし、IoTはまだ新しい技術です。そのため、導入には多額のコストがかかるというデメリットもあります。費用対効果を踏まえた上で導入を検討することが大切です。総務省の調査によると、国ごとにIoTにおける投資と効果の関係は異なっているのが現状です。今後の動向にも注目しておきましょう。

中小企業はIoTを活用しよう

多額の投資が必要なIoTですが、導入する際には国の補助金を活用することも可能です。中小企業庁が2017年度までに補助・支援したものには「ものづくり・サービス補助金」や「サポーティング・インダストリー支援事業」などがあります。

・ ものづくり・サービス補助金(革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金) 従来からある補助金制度に「第四次産業革命型」の内容を新設。各企業がAI、IoT、ロボット等の技術を活用し、“革新的”なものづくりやサービス開発を行うための投資等を支援する。補助上限額3,000万円(補助率3分の2)。

・ 戦略的基盤技術高度化支援事業(サポーティング・インダストリー支援事業) ものづくりの基盤技術に強みがある中小企業などが、大学・公的機関などと連携して行う研究開発、試作品開発、販路開拓などに対して、補助金などで支援する。補助上限額は初年度4,500万円、2年目は初年度の3分の2、3年目は初年度の2分の1(補助率3分の2、定額)。 ※中小ものづくり高度化法に基づく計画を申請し、認定を受けることが必要。

また、企業の中には10万円ほどの低予算でIoT化を実現している会社もあります。経済産業省が発表している『中小ものづくり企業 IoT 等活用事例集』には、具体的な事例が掲載されていますのでぜひ参考にしてください。IoTを導入して、生産性の向上や商品・サービスの付加価値創出を実現しましょう。(提供:ビジネスサポーターズオンライン)