自社の決算書が良いのか悪いのか、分かっている人は実はそれほど多くないでしょう。特に、中小企業の経営者は、毎月の支払いなどの資金繰りで頭がいっぱいになり、決算書の良し悪しには頭が回らないという人が多いものです。

しかし、銀行から融資を受けるのに重要なのは決算書だと言われています。 銀行から融資を受けやすい決算書とは、どのようなものなのでしょうか。

bs
(写真=PIXTA)

中小企業決算書の重要ポイントは大きく2つ

中小企業の決算書の評価となる重要ポイントは大きく分けて2つです。 「営業利益は出ているか」「債務超過でないか」という点に銀行は着目します。

● 営業利益
営業利益とは、簡単に言えば「本業でいくら儲けたか」を示す指標です。 営業利益が出ていない会社は本業で儲けることができない会社であるとみなされてしまいます。

営業利益とは、売上−売上原価で求められる売上総利益から、通常の営業で必要になる人件費、光熱費などを差し引いて求められる利益であり、まさに本業によっていくら儲けたかどうかの指標です。 本業で赤字を出している会社は、これ以上商売を行っても赤字を拡大するだけという解釈となってしまいます。

具体的には3期連続営業赤字となっている会社について銀行は「これ以上営業を続けても再建の見込みがない」と判断し、審査に通過するのはかなり難しくなります。

● 債務超過
債務超過とは、自己資本がマイナスとなっている状態を示します。 企業の資産をどの程度の割合で負債と自己資本で調達しているかを示すのが貸借対照表です。 債務超過とは、負債の総額が総資産以上に大きくなり、資本がマイナスとなっている状態を示します。

健全な貸借対照表の例

資産
1,000万円
負債
500万円
資本
500万円

総資産1,000万円のうち、半分が負債、半分が自己資本

債務超過企業の貸借対照表の例

資産
1,000万円
負債
1,200万円
資本
▲200万円

負債が膨らみ、資本がマイナスになっています。 この状態になると、銀行からの目線では、「この会社は銀行の融資がストップした時点で倒産する」とみなされるため、審査に通過するのは非常に困難になります。

債務超過でも利益が出ており、いずれ解消できる見込みであれば問題ない

債務超過と一口に言っても、バブル崩壊、リーマンショックなどの社会的な不況を経て、国内の中小企業の債務超過は全く珍しいことではなくなりました。 大きな赤字が出て、その赤字分を銀行からの借入れで補った場合には、大きな債務超過になってしまうことも多々あります。

特に、中小企業の場合は銀行の借入れから資金調達しているケースが多く、規模の小さな企業ほど債務超過に陥ることも多いと言われています。

債務超過であっても、営業利益が出ている会社は「一過性の赤字によって、債務超過となったが、今後は本業が回復することから債務超過は解消に向かう」という解釈を銀行は行います。 しかし、問題なのは、債務超過と3期連続営業赤字が並行しているケースです。

ただでさえ、資本がマイナスの状況であるにもかかわらず、本業でも回復の見込みが立たない企業について、これ以上支援を継続しても銀行にとってリスクが大きくなるだけだと解釈します。

企業にとっての「体力」である資本が枯渇している上、本業でも利益を出せていない場合には、ひと言で言うと「融資を止めたほうがいい企業」という解釈となり、融資を受けることは難しいとされています。 債務超過の企業は銀行融資なしでは資金的な体力がないため、しっかりと利益を出し、良い決算書にしていく必要があります。(提供:ビジネスサポーターズオンライン)