1901年に日本初の林学博士・本多静六が「ヒノキアスナロ」と命名し、1966年には青森の県木に指定された「青森ヒバ」。日本三大美林の1つと称されており、その80%を超える量が下北半島と津軽半島で集中的に植生しています。古くから親しまれている日用品をはじめ、最近では少し変わった形に姿を変えて活用されることもあり、その活用法が見直されてきています。

今回は、良質な青森ヒバから作られる加工品について紹介しましょう。

Aomori
(写真=PIXTA)

青森ヒバを使った定番の工芸品

青森ヒバは他の木々の1/3というゆっくりとした速さで成長し、木目がきめ細やかという特徴を持っています。また抗菌作用があり、さまざまな日用品に加工・販売されています。

そのなかで最も定番となっているのが、まな板です。青森ヒバは水分・菌・臭いに耐性があるため、水で洗った後もカビや臭いの発生を気にすることなく室内乾燥が可能という長所があります。さらに食材を切る時に重要となる包丁の当たり方についても青森ヒバ製のまな板は優秀で、刃がまな板に当たった際に心地良いと感じられる強度を持っています。そのため非常に使い勝手が良く、青森ヒバ製のまな板を好んで使用する一流料理人もいるそうです。

すのこやお風呂用いす、くみ桶など青森ヒバはお風呂用品にも使われています。お風呂場は水分が多く、浴槽や壁、お風呂用品などにカビが繁殖しやすい環境です。しかし、青森ヒバ製の場合はカビや菌の繁殖を抑制する効果があるため、お風呂場に置いても長持ちするのです。さらに青森ヒバから漂う優しい香りも相まって、バスタイムをより一層楽しむことができるのも魅力です。

また、防水・抗菌・消臭効果とリラックス効果を持つ青森ヒバは、家屋の木材としても利用が可能です。部屋の壁や床に用いることで、心身ともに快適に暮らせるお部屋が完成します。このほか、青森ヒバ製の工芸品にはベッドや枕、ハンコなどが存在し、どれも高品質で使い心地の良い製品に仕上がっています。

「青森ヒバ」を使ったユニークな加工品

青森ヒバを加工した商品は定番の工芸品だけではありません。青森ヒバが持つ抗菌・防虫・消臭・脱臭・リラックス効果がそのまま閉じ込められたヒバ油(精油)は、100キログラムの青森ヒバから全体の1%、たった1キログラムしか取ることができない貴重な品です。

掃除中に除菌用として使うだけでなく、水に数滴たらせばアロマオイルに、お風呂に入れれば肌の潤いや気持ちが落ち着く入浴剤にもなる万能商品です。ヒバ油が含まれているボディーソープや台所用洗剤、同じ成分のシャンプー&コンディショナーなども販売されています。

また、災害発生時など非常時に役立つ青森ヒバ製品も存在します。青森ヒバ専門店「わいどの木」が製作した青森ヒバの「おが粉」は、水を使えないときの非常用トイレとして活躍します。暑い時期に臭う生ごみに対して使っても高い消臭効果が期待できるそうです。

青森ヒバ製打楽器を使って地域交流も

その抗菌・消臭効果やリラクゼーション効果から実用的な製品に多く使われている青森ヒバですが、楽器に加工して演奏会を行っているユニークな団体もいます。

青森県三沢市の「Aomori Hiba Cajon Band」は、青森ヒバと音楽への関心が強い人々が集まったグループで、年齢や国籍、プロアマを問わず、多彩なメンバーで構成されています。演奏に使用される楽器は、グループ名にもなっているカホン(Cajon)です。

ペルー発祥の打楽器で、カホンを叩いた時に内側に反響音がこもらないよう、側面に大きな穴が開けられているのが特徴です。演奏する際はカホンの上に足を開いて座り、前面を両手で叩いて音を出します。

「Aomori Hiba Cajon Band」のメンバーは自身で青森ヒバ製のカホンを制作し、初心者から高度な技術を持つ人まで、みんなで楽しんでいます。楽器に対する知識を増やせるとともに、メンバー間の交流や技術の向上にも役立っています。2016年には見学自由の練習会「This is a CAJON」を開催。2017年には「三沢うわさCafé」で1月に行われた「Misawa Art Project」主催の音楽会、10月開催の「三沢アメリカンデー2017」など、地元のイベントに参加して地域交流を深めました。

建築用材からお風呂場用品、消臭おがくず、楽器にいたるまで幅広い製品の素材に使われる青森ヒバ。まな板などは大量生産の商品に比べると高額に感じられるかもしれませんが、高品質で使い勝手がよく、長持ちするという長所を持っています。日用品はもちろん、楽器に利用されるなど、青森ヒバのユニークな活用法はこれからも目が離せません。(提供:JIMOTOZINE)