青森のICTベンチャーである「株式会社フォルテ」が手掛けた、レンタル自転車ナビサービス「ナビチャリ」が、全国から注目を集めています。

公共交通機関が通っていない場所にも、日本全国まだまだ観光資源が埋まっています。しかし、海外を含め遠方から訪れる観光客にとって、「そこへ行くための手段」がなければ、いくら魅力的なものがあっても無理をしてまで行く必要性を感じません。

そこで、近年注目を浴びているのが「サイクルツーリズム」による観光です。訪れた地を自転車でのんびり満喫できるサイクルツーリズム、それを現地で手軽に叶えることができるシステム「ナビチャリ」について紹介します。

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(写真=PIXTA)

青森でのサイクルツーリズムの歩み

近年、年齢に関係なくサイクリング好きが増え、それに伴い自転車、特にロードバイクの販売台数も増加しています。さらにサイクリングによって日本各地を観光する外国人観光客も増え、レンタル自転車の需要も高まりを見せています。

この外国人観光客によるサイクルツーリズムは、特に北日本で人気です。北海道新幹線の開通とともに、公共交通網が整備されていない沿岸部にサイクルツーリズムの流れを呼び込もうと、青森でのサイクルツーリズム確立に動き始めます。

2013年にはサイクルツーリズムによる勉強会を開き、2014年にはサイクルツーリズム推進会を設立。自転車関係団体、運輸・交通事業者、観光関係団体などの代表合わせて100名が中心となり、サイクリングロードの選定やサイクリングステーションの整備を地道に行ってきました。

サイクルツーリズムの大きな課題

これらの動きによってサイクルツーリズムの環境が徐々に整いつつあった青森ですが、ひとつ大きな課題を残していました。それは青森だけではなく、サイクルツーリズムを取り入れている全国各地での課題でもある「知らない土地でどうやって安全に道を調べるのか」という問題です。

自転車に乗りながら地図を確認し運転するのは危険が伴い、かといって地図を見るたびに自転車を止めるのは面倒でした。特に外国人観光客にとっては、一度道順が分からなくなってしまうと道を尋ねることもできず、人通りの少ない僻地では大きな危険を伴うこともあります。

こういったサイクルツーリズムのリスクと問題を解消してくれたのが、青森のベンチャー企業である「株式会社フォルテ」が開発したシステム「ナビチャリ」です。

気軽に楽しいを叶える「ナビチャリ」の誘導システム

フォルテが開発した「ナビチャリ」は、レンタル自転車側にGPS端末を装着し、手渡される骨伝導イヤホンを耳に装着すると、自転車を正しいルートに誘導する音声ガイドが流れるという優れものです。

これにより、全く知らない場所でもハンズフリーで簡単に目的地までたどり着くことができ、時間のロスも不安もなく、思い切り自転車による観光を楽しむことができるようになりました。

ナビチャリの素晴らしい点はこれだけではありません。ナビシステムに登録されているのは、地元民だけが知る本当に楽しいサイクリングルート。自転車に装着する「ナビチャリ」本体には数字がかかれたボタンが数個ついているだけ、という簡素な作りになっており、自転車をレンタルする際に手渡される地図に記された番号を押すだけで、目的地まで案内してくれます。

誰もが感覚的に利用できるナビチャリのシステムは、国や性別、年齢に関係なくすぐに使えることから、2022年、東京オリンピック時の交通混雑の解消やインバウンド対策にも役立つのではと期待されています。

IoTを利用して自転車に無限の可能性を乗せたフォルテの挑戦。これにより、青森の観光だけではなく、国全体のサイクリング事情が大きく飛躍する日も近そうです。(提供:JIMOTOZINE)