住宅ローンの返済額を減らせないか見直しをする際、効果を期待できる方法のひとつが「借り換え」です。特に、高い金利のローンや返済額が増えていく形式のローンを組んでいる場合は、借り換えのメリットが高いと言えます。今回は借り換えについて、またその注意点について解説していきます。

住宅ローンの借り換えとは

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(写真=Piotr Adamowicz/Shutterstock.com)

「借り換え」とは、新たな金融機関で新しい住宅ローンを組み、今のローンを一括で返済するという方法です。借り換えをする際には、条件の合うローンを調べて審査や所定の申請をするなど、繰り上げ返済よりも手間とコストがかかります。しかし「借り換え」は、条件次第では繰り上げ返済以上に、返済額を減らすことが可能な場合があります。

例として、以下の条件で見ていきましょう。

借り入れ:3,000万円
金利:3%
返済期間:35年(元利均等、全期間固定金利型)
返済総額:約4,800万円

借り入れから5年経過後の借入残高は約2,700万円で、残り支払い利息残高が約1,400万円です。つまり、今後30年かけて合計約4,200万円(四捨五入による誤差があります)を支払っていく必要があります。これを金利1.5%のローンに借り換えることで、残り支払い利息残高が約700万円になり、今後30年の返済総額は約3,400万円となります。ローン借り換えを行うだけで、約800万円(4,200万円−3,400万円)も返済総額を減らすことができるのです。この例の場合、借り換えの効果は絶大と言えます。

住宅ローンの借り換えで気をつけたいポイント

先ほどの例で「こんなに減額できるならすぐにでも借り換えがしたい!」と思った方に注意して頂きたいのが、全てのケースで効果があるわけではないということです。借り換えのメリットを享受するためには、一般的に3つの条件をクリアする必要があると言われています。

3つの条件の1つ目は、住宅ローンの残高が「1,000万円以上」残っていること。2つ目は返済期間が「10年以上」残っていること。3つ目は借り換え後の金利が「1%」下がることです。これは、借り換えに必要となるコストが数十万円〜100万円前後かかることが理由です。事務手数料や保証料のほか、契約書に貼る印紙代など、さまざまな手数料がかかるのです。

ただし、この3つを必ずしも満たしている必要もありません。3つ目の金利に関しては、諸費用が少なくて済む金融機関を借り換え先に選べば、金利差が0.5%程度でも効果があるケースもあるので確認しましょう。

また、11年目から金利が3.5%以上に上がる2段階金利の旧住宅金融公庫のローンを組んでいる人は、低い金利のローンに借り換えをすることで、毎月の返済額が大幅アップするのを抑えることができます。どれくらいの効果があるのかは、住宅ローンのシミュレーションサイトなどで試算するのをおすすめします。

なお、住宅ローンを見直す目的には「返済額を抑えたい」以外にも「返済期間を短くしたい」「金利上昇の不安を避けたい」といった理由が考えられます。借り換えは目的に合った方法を選ぶのが基本です。「返済額軽減」が目的なら、借り換えで減る返済額が、借り換えで発生する諸費用を上回るかが重要ですし、「返済期間の短縮」や「金利上昇への備え」の優先順位が高いのであれば、場合によっては毎月の返済額が増えるような判断もありえます。

例えば、変動金利型や固定期間選択型(短期)のローンを組んでいて、「金利上昇リスクを回避したい」という場合、全期間固定金利型あるいは10年・15年程度の固定期間選択型(長期)のローンに借り換えることになります。

一般的に、全期間固定金利型や固定期間選択型(長期)は、金利変動型や固定期間選択型(短期)よりも適用金利が高いので、借り換え後は毎月の返済額や総返済額が増額することになります。家計がそれに対応できるかどうかを、事前に検討する必要があります。

お得に賢く返済計画を

住宅ローンはただ返済していくだけではなく、経済情勢や金利水準を見ながらメンテナンスしていくことが大切です。ただし、その方法が借り換えなのか、繰り上げ返済やその他の方法なのかは、残高や残りの返済期間、金利差はもちろん、ローンの状況、目的、家計によっても変わります。自分に合った方法を見極めて、お得に賢く返済計画を立てましょう。(提供:マネーLife Style


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