インターネット上で不特定多数の人々から資金を調達する「クラウドファンディング」は、既存の資金調達の概念を根本から覆す近代的な資金調達法として、世界中で注目を浴びている。

「2大クラウドファンディング」の呼び名が高いキックスターターとインディゴーゴーのほか、プロジェクト開発者を支援するパトロン、エクイティ・クラウドファンディングのクラウドファンダーなど、世界中で利用されている高質なプラットフォームを紹介しよう。

クラウドファンディングの種類

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(画像=Thinkstock/GettyImages)

「クラウドファンディングからなにを得られるのか、今ひとつ分からない」という人のために、最初にクラウドファンディングの種類について簡単に説明しておく。

クラウドファンディングは一般的に、「報酬型」「エクイティ(投資)型」「寄付型」「融資型」と大きく4つのタイプ に分けられる。

最もよく見かけるのは「報酬型」で、特定のプロジェクトや事業に出資し、商品・サービスなどで見返りを受ける。「エクイティ型」は株式(あるいはトークン)の購入で資金を提供する代わりに、株式の売却換金や配当金、株主優待を得る。「寄付型」は慈善目的などで寄付金を集めることを目的とするため、金銭・商品・サービスのリターンは想定されていない。

「融資型」はクラウドファンディングではない—との意見もあるようだが、「P2Pレンディング」「ソーシャルレンディング」を指すことが多い。

キックスターター ——調達額34億ドル、世界最大規模の報酬型クラウドファンディング

2009年ニューヨークで設立されて以来、現在(2017年12月17日)までに34億ドル以上を調達した世界最大規模のクラウドファンディング・プラットフォーム。音楽からアート、デザイン、クラフト、ゲーム、フード、ファッションなど、エンターテイメント要素の強いプロジェクトを中心に扱っている。

これまで1400万人を超えるサポーターから、13.6万件のプロジェクトが資金調達に成功している。平均的な資金調達達成率は35.93%。現時点で最も多額の資金を調達したカテゴリーは音楽で7.4億ドル、資金調達達成率は35.70%。資金調達率が最も高いのは62.06%の成功率を誇るダンスだが、調達金額は1304万ドルとジャーナリズム(1268万ドル)に次いで低い。

2034万ドルというクラウドファンディング史上最大の資金を調達したスマートウォッチプロジェクト「ペブルタイム(Pebble Time)」を筆頭に、クーラーボックスとUBSやブルートゥース(Bluetooth)を組み合わせた「クーレスト・クーラー」が1329万ドルを獲得するなど、大型プロジェクト が生まれているのも特徴だ。キックスターター(Kickstarter)https://www.kickstarter.com/

インディゴーゴー——プロジェクト件数はキックスターターの2倍?ICOにも参戦

キックスターターと並んで「2大報酬型クラウドファンディング・プラットフォーム」に挙げられることの多いインディゴーゴー(Indiegogo)。2008年サンフランシスコでスタートを切った。

インディゴーゴーのサイトに掲載された情報 によると、これまでに世界232か国・地域で10億ドル以上の資金を調達。調達総額は過去2年で1000%増えたという。資金確保を試みたプロジェクト数はキックスターターを上回る27.5万件。そのうち30%は国外からのプロジェクトだ。

これまでに最大の資金を調達したプロジェクトは「フローハイヴ(Flow Hive)」。 蜂の巣箱から直接はちみつを容器に採取できるという発明で1221万ドルを獲得した。

最近ではICOやブロックチェーン関連の資金調達 にも乗りだしているほか、今年10月からはマーケットプレースも開始 した。Amazonなど量販的な通常のマーケットプレースとは異なり、「商品化された革新的な商品・サービス」を販売できる場になっている。http://www.indiegogo.com/

パトロン——定期投資でプロジェクトだけではなくクリエーターを支援

2013年サンフランシスコで設立されたパトロン(Patreon)は会員制のクラウドファンディング・プラットフォームで、通常とは異なるファンディングシステムを採用している。気に入ったプロジェクトに一括で投資する代わりに、毎月定額を投じることで単発のプロジェクトだけではなく、クリエーターの生活も支援する。

現在5万人のクリエーターを100万人 のサポーターが支援している。年内の調達資金総額は1.5億ドルとの予想だ。

パトロンの利用で最も成功している例は、同じくサンフランシスコで2013年に設立された動画製作プラットフォーム「キンダファニー(Kinda Funny )」だろう。6200人を超えるサポーターから支援を受けている。https://www.patreon.com/

ロケットハブ——起業家に焦点を当てたクラウドファンディング

多くのクラウドファンディングがベンチャーキャピタル(VC)を重視しているのに対し、ロケットハブ(RocketHub)はどちらかというと起業家に焦点を当てている。

「どうやって資金を調達すればいいか分からない」「最も効率よく最大の資金を獲得したい」という資金調達者のために、ワシントンのエクイティ・クラウドファンディング・プラットフォーム「バンクロール・ベンチャーズ(Bankroll Ventures)」と提携し、「エレクエティ・ファンディング・ルーム(ELEQUITY Funding Room)」というサービスも提供している。

サイト( http://www.rockethub.com/funding )を通して事業内容などを伝えれば、ロケットハブが72時間以内に資金調達に向けたアドバイスを行ってくれるという、特にクラウドファンディング初心者には心強いサポートだ。

米国の靴メーカー、スピラ・フットウェア(Spira Footwear)が、49万ドルの調達したことでも知られる。2009年ニューヨークで設立された。http://www.rockethub.com/funding

クラウドファンダー ——エクイティ・クラウドファンディング

サンタモニカを拠点とするクラウドファンダー(Crowdfunder)は、13万人を超える投資家と起業家が利用するエクイティ・クラウドファンディング・プラットフォームだ。2012年の設立以来、100件以上の取引が成立しており、1.6億ドル相当の資金が動いている。

投資家は単体のベンチャーに直接投資できるほか、VCインデックスファンドを通してアーリーステージのスタートアップに投資することも可能だ。起業家は通常のVCプログラムのように、債権やエクイティを投資家に売却することで、資金を調達することもできる。

最新のファンデングでは、P2Pファッションレンタルマーケットプレースの「スタイル・レンド(Style Lend)」がYコンビネータなどから、目標金額200万ドルを大きく上回る280万ドルを調達した。https://www.crowdfunder.com/

サークルアップ——ベテラン投資家と消費者ブランドの仲介プラットフォーム

2012年サンフランシスコで設立されたサークルアップ(CircleUp)は、アーリーステージの消費者ブランドを対象とするエクイティ型クラウドファンディングだ。ベテランの投資家とスタートアップの仲介的役割を果たすことを使命としている。

サークルアップの特徴は、機械学習アルゴリズムで各スタートアップを自動評価するシステムにある。テクノロジーを効果的に活用することで、投資家にとってもスタートアップにとっても最適なパートナー探しができるというわけだ。

現在までに256社が3.9億ドルの資金調達に成功している。子ども用有機食品のリトルダック・オーガニックス(Little Duch Organics)や焙煎しない生カカオを使用したラッカ・チョコレート(Rakka Chocolate)など、体や自然に優しい食品ブランド へのファンデングが多いようだ。https://circleup.com/

ティースプリング——「想像力とペン1本で一括千金」? Tシャツデザイン専用

ティースプリング(Teespring)はTシャツのデザインを専門とするクラウドファンディングだ。「誰でもTシャツをデザインして売りだせるチャンス」を提供している。 すでに多数のミリオネア(資産100万ドル以上のお金持ち)を生みだした人気の秘密は、デザインの知識も経験もない、まったくの素人がTシャツをデザインするという点にある。実際に販売しているTシャツの素材やプリントの質にも定評がある。

2011年にロードアイランド州プロビデンスで設立された。現在はTシャツだけではなく、靴下やスマホケース、枕カバー、トートバッグ、コップなどにもデザインの幅を広げている。「想像力とペン1本で一括千金」の夢を叶えてくれるクラウドファンディングだ。https://teespring.com/about

レンディング・クラブ——スキャンダル後も圧倒的な強さを誇るP2P融資型

P2P融資ブームの頂点に立った後、ずさんな経営が引き起こした不祥事から一気に転落したレンディング・クラブ(Lending Club)。スキャンダル以降、あまりその名を聞くことがなくなったが、新CEOを迎え業務は続けている。現在までの取り扱い融資総額は310億ドルっを突破。利用者は150万人を超えるなど、圧倒的な強さを誇る。

個人融資では最高4万ドル、小規模事業融資では5000〜30万ドルの融資が可能。2007年サンフランシスコで設立された。https://www.lendingclub.com/business/

ガスト——著名投資家が設立した世界最大規模のエンジェル・クラウドファンディング

米国の著名エンジェル投資家デイビット・ローズ氏が2004年、ニューヨークで立ち上げたガスト(Gust)。世界190か国・地域で35万のビジネス、4.5万人のエンジェル投資家 が加盟する最大規模のエンジェル・クラウドファンディングだ。これまでに総額18億ドル、過去1年間で1800社以上のスタートアップが資金調達に成功している。

ハーバード・ビジネススクール・エンジェルズやメルボルン・エンジェルズなど、加盟エンジェルグループに直接出資を申し込めるほか、アクセレータープログラム用プラットフォームも提供している。プロフェッショナル度と充実度の高さでは最高峰といえる。https://gust.com/

ゴー・ファンドミー——「子どもと始めるクラウドファンディング」 急な出費にも

ゴー・ファンドミー(GoFundMe)は事業からチャリティー、イベントのほか、学費、医療費(ペットも含む)、旅行費といった個人的な資金調達まで、広範囲な領域に対応している。「歯医者代に50ドル必要になった」「学費で1000ドル必要」など、急な出費の対応策として利用されるケースが多いようだ。

ビジネス要素が薄いため、家族や友人とクラウドファンディングを始める絶好のスタート地点にもなる。欧米では子どもが自ら慈善キャンペーンを立ち上げ、経済的、あるいは健康面で恵まれない人々や研究機関などに寄付を行うケースが珍しくない。同社のサイトでは「子どもと一緒に始めるクラウドファンディング」 で詳しい方法を紹介している。https://www.gofundme.com/ (アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)