昨日の海外時間には、再び独米長期金利が上昇したことと、米下院が税制改革法案を再可決したことから円売りが強まりました。

昨日の海外市場動向

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

欧州時間、特段の新規材料はありませんでしたが円売りが優勢となって、ドル円は113.10円台まで、ユーロ円は134.10円台まで上昇しました。一方ユーロドルは1.1840付近を中心にもみ合いが続いていました。

NY時間にはいって、独米長期金利が上昇したことから、ユーロ買いと円売りが優勢となって、ユーロドルは1.1900付近まで、ユーロ円は134.70円台まで上昇しました。この間ドル円は113.30円台まで上昇したあと、113.10円付近まで小緩んでいます。しかし再び円売りが強まると、ドル円は113.30円台まで、ユーロ円は134.70円台まで上昇幅を拡大しました。

NY時間午後にはいると、欧州時間の引け際に独長期金利がやや反落したことからユーロドルは1.1870台まで、ユーロ円も134.40円台まで下落しました。その後米下院が上院が修正した税制改革法案を可決すると、米長期金利が一段高となってドル円は113.40円台まで上昇し、134.40円台まで反落していたユーロ円も134.70円台の高値を更新しました。

東京時間には、米長期金利がやや低下していることから円買いが優勢となっています。

FF金利先物市場の3月利上げの織り込みは54%にやや低下しています。

今日の予定

今日の海外時間には、米・12月フィラデルフィア連銀景況指数、米・第3四半期GDP/個人消費/GDP価格指数/コアPCE(確報値)、米・新規失業保険申請件数、米・11月景気先行指数の発表があります。

今後の見通し

昨日は、スウェーデン中銀が予想通り資産買入れの停止が決定したこともあって、独長期金利が上昇ました。さらに米下院が税制改革法案を再可決してトランプ大統領に送付したことから米長期金利も今年3月以来となる2.50%まで上昇しました。各国長期金利の上昇で、日本国債利回りもやや上昇しているものの、日銀の長短金利差付き量的質的緩和が続いている日本の長期金利の上昇は他の国と比べると微々たるものとなっていて、内外長期金利差拡大にそって円安が進んでいます。今週はクリスマス前ということもあって、欧米の市場参加者が少ないことが値動きに拍車を掛けている可能性もありますが、上で紹介したような材料のある中、欧米の年度末を控えて債券ポジションの調整という側面もあることから、この動きが続く可能性があると考えられます。

一旦手仕舞いも再び押し目買いを待つ

引き続き内外金利差が拡大すれば、円安の動きも継続すると考えられます。ただ、目標だった113.50円目前まで上昇したあと伸び悩んだことから、112.50円台作ったドル円のポジションは113.40円台一旦手仕舞い(利食い)ました。今後も円安の動きと予想していますので112.80円割れに損切りラインを設定の上113.10円で再びドル買いポジションを構築したいと考えます。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOチーフストラテジスト。