このコーナーでは毎週原則木曜日に実施しているMarket Talk(動画セミナー)のサマリをお届けします。
2017年12月21日(木)Market TalkのSummary
年末年始の日米の株価は?
米国株は材料出尽くしだが思ったほど崩れていない。米長期金利が再び2.5%台まで上昇、為替も113円台に入ってきていることを考えると今日日本株が甘い展開に入っていることは理解できないが、クリスマス前だからであろう。逆にクリスマス(25日)を過ぎると日本株の上昇の特異日なので、年末は上昇確率が高い。なので年末年始を通して言うと、年末はクリスマス明けから「掉尾の一振」で高くなる、大納会は少し下がるパターンが多いので、一旦利食われて今年は終了、年明けはアメリカでは減税が決まったのでここまで利食いを控えていた人が利益確定の売りを出してくるだろう、1月の上旬は小甘い展開ではないか。
日経平均が23000円を抜け出せない理由は?
さすがに節目というところなので売り買い交錯といったところではないか。ただこれも時間の問題だと思う。 今日のところはアメリカの税制改革法案の成立で材料出尽くしでアメリカ株が下げた、今日は日本株はこれに引っ張られているが、アメリカの金利=円安、そちらの方に本来は影響を強く受けるはずなので、アメリカの金利が2.5%を超えてくるようだと目先違ってくるだろう。アメリカの金利上昇を好感して日本でも銀行株が買われている。日経平均は23,000円を抜けていないが、TOPIXは年初来高値を更新してきている。日経平均だけみていると重い動きだが、日本株全体という点では上値をじりじりと切り上げている。そういった意味ではアメリカの金利の方に影響を受けているということだと思う。
半導体関連株は下げ止まるか?
アメリカのフィラデルフィア半導体株価指数も今週月曜に急上昇している。インテル、エヌビディアも高い。世界景気が好況のなか、半導体は産業の要であるから、この辺りはいずれまた物色が戻ってくるだろう。
2018年の銀行株見通し
復活の可能性は十分ある。アメリカの金利もじりじり上がってきていて、日本も来年はいよいよマイナス金利が撤廃されるときがくるだろう。政府、日銀揃ってのデフレ脱却宣言が出ると思う。物価関連指標をみれば今はプラス圏にあり、継続的に物価が下がる状況をデフレというならば、そのデフレは脱したといっていい状況だと思う。それを日銀、政府がいつ公式に宣言するか、来年の終わりぐらいかと思っている。それに向けてじりじりと堀を埋めるような展開になるのではないか。そうなれば銀行は一時的には息を吹き返すだろう。
消費税増税は乗り越えられるか
楽観シナリオだが2019年の消費税増税は乗り越えるのではないか。 2019年は統一地方選、参院選と2回あるが、増税を決めて選挙で勝った人はいない、だから自民党が負けて安倍首相が退陣したらこの相場は終わり、つまり2019年の選挙まで、というのが一つのシナリオだ。選挙に勝つにはその前に消費増税を決めなくてはいけない、そのためにはその前までに景気をよくしておくということが必要となる。今度の春闘で企業が3%賃上げを行って、それが消費に回り、設備投資も動き日本の景気がよくなる、景気が来年いっぱい拡大すると戦後最長のいざなぎ景気に並ぶ。2019年1月までつづくと戦後最長になる。戦後最長を記録する景気拡大を引っ張った政権で、こんな景気がよいときに消費税を上げられないというのであればずっと上げられないということになる。また2019年4月は天皇が退位し新天皇が即位。国民が喪に服すことなく祝賀ムードでさらに2019年はよくなる。このようなシナリオで消費税増税は乗り越えると思う。 アベノミクス第2幕ということになると、来年のキーワードは「3」。賃上げ率が3%、3期連続最高益、平成30年ラストイヤー、その結果日経平均3万円となると考える。
その他、推奨銘柄や中東情勢についてもコメントしています。
広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
【関連リンク マネックス証券より】
・ビットコインはヴァーチャルである
・米国の税制改革法案成立と米国株市場の反応に注目
・ビットコインの先物取引がCMEでスタート 主なプレーヤーは"Mr.Watanabe"
・下値の堅さを確認
・更なる上方修正が期待される銘柄は