中小企業者が利用できる補助金にはさまざまな種類のものがあります。以下では、ものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金、東京都の分煙環境整備補助金を中心に紹介します。

subsidy
(写真=Dominik Bruhn/Shutterstock.com)

ものづくり補助金

日本経済を活性化するためには中小企業などによる革新的な製品やサービスの創出が不可欠です。そのような認識のもと、政府でも革新につながる事業活動を後押ししています。その中心的な施策となっているのが「革新的ものづくり・商業・サービス開発支援補助金」(通称「ものづくり補助金」)です。

● 補助対象
ものづくり補助金の補助対象となっているのは、経営力向上に資する革新的サービスの開発、試作品の開発、生産プロセスの改善を行うための設備投資です。ものづくり補助金は毎年実施されている事業ですが、年によって条件は異なっています。そのため、具体的な支給要件、公募期間、申し込み手続きなどは公募要領で確認することになります。

● 補助金の上限
補助金の上限は条件に応じて1,000万円、500万円などが基本となっている傾向です。特に、第4次産業革命に向けてAI、IoT、ロボットを活用する革新的ものづくりに対しては3,000万円となっています。対象となる経費支出のうち2/3以内が補助されるのが一般的です。

● 公募状況
補助金の公募は2017年1月で締め切っています。しかし、2017年11月の商工会全国大会で安倍首相が2017年度補正予算に、ものづくり補助金を盛り込むと言及したという報道もあり、今後の継続が期待されています。

小規模事業者持続化補助金

ものづくり補助金より小ぶりな補助事業として、小規模事業者持続化補助金があります。

● 補助対象
小規模事業者持続化補助金は、卸売業や小売業であれば従業員5名以下の事業者など一定の規模以下の小規模事業者が対象です。対象事業としては、商工会議所などの支援を受けながら経営計画にもとづいて実施する販路開拓、業務効率化、生産性向上となっています。

● 補助金の上限
対象経費の2/3以内を補助するという形式はものづくり補助金と同様ですが、補助金の上限は原則として50万円と比較的少額です。小規模事業者持続化補助金についても、公募は2017年5月でいったんは締め切っていて、2018年以降に継続されるかどうかは予算の成立に依拠しています。

● 公募状況
金額的にホームページ作成やPOSシステムの導入などにも向いている補助金です。興味のある事業者の方は日本商工会議所などのホームページで公募情報をこまめにチェックするといいでしょう。

東京都の分煙環境整備補助金

訪日外国人の増加やインバウンド市場の拡大は経済活性化を目指す自治体にとっても重要な施策です。東京都では、外国人旅行者が快適に宿泊施設や飲食店を利用できるよう分煙環境の整備に対する補助事業を行っています。それが分煙環境整備補助金です。

● 補助対象
分煙環境整備補助金は、多言語対応に取り組む宿泊事業者や飲食事業者が対象です。

● 補助上限
喫煙室の設置、エリア分煙、フロア分煙などの措置に必要な設備および備品の購入、改修工事などの経費を補助するものです。直近の2017年度では、1施設につき300万円を限度に対象経費の4/5まで補助金が支給される内容となっていました。

● 公募状況
同様の設備購入に活用できる補助事業は各自治体でも実施されている可能性がありますので、事業所のある自治体のホームページなどで確認してみることをおすすめします。

補助金とともに、税務上の優遇策なども合わせて活用

補助金は支出した経費のうち一定割合の資金援助を受けるものですが、設備投資に対して税務上の優遇策を活用することも合わせて検討してみる価値があります。

例えば、中小企業等経営強化法も注目のひとつです。「経営力向上計画」を作成して認定を受けた事業者は、計画にもとづいて取得した設備などに対して固定資産税や法人税の優遇措置を受けることができます。

固定資産税の特例では3年間にわたって税額が半減されます。また、法人税においては、設備などを1年で費用化できる「即時償却」「取得価額の10%」を税額から控除可能です。中小企業経営強化税制はこれらの特別控除を選択できる制度になります。

以上のような補助金施策や税務上の優遇措置をうまく活用すれば、支出を抑えながらも事業拡大につながる設備投資を行うことが可能です。今回紹介した施策などを足掛かりとして、今後の政府の動向をふまえながら、情報収集に役立てていきましょう。(提供:ビジネスサポーターズオンライン)