ここ最近、メディアやインターネット上でよく見聞きする言葉で、「トリレンマ世代」というものがあります。ジレンマが、「2つの選択肢がどちらも受け入れられない状況」であることに対して、トリレンマは、「解決不可能な3つの問題を抱えて混乱すること」をいいます。

トリレンマ世代とは、親の介護に加え、子どもの教育と自らの老後の問題に直面してしまい、どうにも解決がつかなくなってしまう世代のことをいいます。このトリレンマ世代と呼ばれる層が徐々に若年化しており、問題になりつつあるのです。

30代~40代はトリレンマ世代と呼ばれるようになっている

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(写真=mimagephotography/Shutterstock.com)

本来、親の介護と子どもの教育、そして自らの老後の問題というのは、時系列的に異なるはずでした。しかし、最近では30代、40代の働き盛りの層などがこの3つの問題に直面してしまい、身動きが取れない厳しい状況に陥るケースが増えているのです。なぜこのようなことが起きてしまうのかを調べてみますと、近年の若い世代の結婚や出産のタイミングが大きく影響を与えていることが分かります。

晩婚化、晩産化が大きな原因に

若者の高学歴化は以前に比べて大きく進んでおり、文部科学省の「平成29年度学校基本調査(速報値)の公表について」によると、既に2人にひとりが四年制の大学に進学するようになっています。そのため、「社会人としてスタートを切るのは早くても23歳くらいから」がいまや当たり前になりつつあるのです。

また、女性の進学率も男性と同等になってきているため、結婚適齢期と呼ばれる年齢は20代前半ではなくなり、20代後半から30代へと後ずれしはじめています。

当然、結婚後に第一子が誕生するタイミングも遅くなってきています。厚生労働省の「平成28年人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、2016年の新生児の母親の約28%が35歳以上であったという結果が出ています。それにともない、子育て期間は後ろにずれ込み始めていることが分かります。この子育て期間の後ずれが、トリレンマを引き起こす大きな要因になってきているのです。

子育てと介護に加え、自らの老後の資金工面

出産タイミングが30代中盤から後半にずれ込んだ場合、第一子のみならず第二子が大学を卒業するまでに世帯主は60歳を超えることになります。そのため、現状では定年の世代ということになるわけですが、さらにその親は80歳を超えることになってしまいます。

まさに子育ての途中に親の介護が必要となり、さらに自らの老後の資金の手当ても考えなくてはならない、という状況に陥ることが予想されます。

既存の就業形態では解決できない問題に

現在の日本の労働環境では、年齢に応じて右肩上がりに賃金が上昇していくことは、すでに難しくなってきています。さらに、現在の30代、40代にとっては、将来の年金に対する諸々の不安も拭えない、というのが本音ではないでしょうか。

いくら若いうちから預貯金を蓄えようとも、現状の就業形態では親の介護に時間を使うことは難しい場合も多いでしょう。収入を大きく増やせる可能性も高くはありません。

親が資産を持っていて、それを取り崩すことで介護の心配がなくなるといった特別な状況でない限り、子どもをかかえた30代、40代は、苦労を強いられることになるわけです。

問題を見据えて早期からの資産運用

大半の人にとって、給与所得がメインの収入源となります。しかし、トリレンマ世代にとっては、給与所得を得る以外の資産運用を早期の段階から検討し、実行に移していくのが理想といえます。問題に直面してから解決策を検討するのではなく、若いうちからライフプランを練ることが必要となってきているのです。

資産運用に成功し、老後の時期までに一定の資産を形成できれば、自らが健康である限り、余生を楽しむことが可能になります。トリレンマ世代を中心として、前向きな資産運用に取り組むべき時代が到来しているのではないでしょうか。(提供:THE LIFES

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