株主優待は企業からのお礼の一つとして個人投資家に大変人気がある。その人気に後押しされるように、これまで優待が実施されていなかった企業が新たに優待を実施すること(優待新設)も増えてきているようである。

優待が新設されるといわゆる「優待目的の買い」も見込まれるため、魅力的な優待を実施する企業ほど株価が底堅く、堅調に推移することも期待できる。

そこで2017年に優待を新設した企業16社を紹介する。選べるギフトや施設利用、割引からクオカードまで幅広く選出しているのでぜひ参考にしてほしい。銘柄参考の上では以下の条件に留意していただきたい。

  1. 必要投資金額は2017年12月18日株価終値を元に算出
  2. 優待内容は最低単元株数によるもので保有株数に応じて増加する場合あり
  3. 優待内容は保有年数によって増加する場合あり

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夢展望―― RIZAP関連銘柄として人気化

株主優待,2017年
(画像=PIXTA)

夢展望 <3185> の優待利回りは高めだ。注目のRIZAP関連ということで注目度は高いようだ。商品群の中から保有ポイントに応じて選べる方式で個人投資家からの支持を得そうだ。

【優待内容】100株で自社クーポンまたはRIZAPグループ商品4000円(3、9月末 年2回)
【株価】1348円
【必要投資金額】13万4800円
【優待利回り】5.9%

ディーエムソリューションズ――健康面を考慮した特殊なサプリが優待として登場

ディーエムソリューションズ <6549> の優待は、2単元以上で1年以上の継続保有が必要となっている点に注意したいところだ。

【優待内容】200株以上で4000~5000円相当のサプリ(マヌカハニーUMF10+2.50G)(3月末 年1回)
【株価】2311円
【必要投資金額】46万2200円(200株)
【優待利回り】0.86%(4000円相当で計算)

ビゲンテクノ――隠れ優待だったものを制度化

ビゲンテクノ <9791> の優待は以前、水などが隠れ優待として送られてきた模様。制度化したことで優待内容もがらりと変わるかもしれない。

【優待内容】1000株で2500円相当の商品(3月末 年1回)
【株価】789円
【必要投資金額】7万8900円
【優待利回り】3.1%

大江戸温泉リート投資法人――温泉好きならおさえておきたい優待

大江戸温泉物語などにかかわる大江戸温泉リート投資法人 <3472>  の利回りは低め。リート投資法人なので株数ではなく口数表示である点に注意しておこう。

【優待内容】5口以上で利用券1枚1000円相当(5,11月末 年2回)
【株価】8万6300円
【必要投資金額】43万1500円(5口)
【優待利回り】0.46%

スシローグローバルホールディングス――お寿司を優待で食べる楽しみを!

上場したばかりのスシローグローバルホールディングス <3563> 。お寿司系優待の一つとしてレパートリーに加えることができそうだ。

【優待内容】100株で1500円相当の食事割引券(3、9月末 年2回)
【株価】4275円
【必要投資金額】427500円
【優待利回り】0.7%

立花エレテック――継続保有で優待利回りが上昇する優待

何かと役に立つことが多いクオカード優待を新設したのは立花エレテック <8159> 。書店でも広く利用可能だ。

【優待内容】100株で2000円相当のクオカード(3月末 年1回)
【株価】1912円
【必要投資金額】19万1200円
【優待利回り】1.04%

サンフロンティア不動産――宿泊系優待は利用の仕方次第でお得になる

旅行などで利用できる宿泊系優待を用意しているのはサンフロンティア不動産 <8934> 。対象ホテルはディズニーランド徒歩圏内なのもうれしいのではないだろうか。

【優待内容】100株でホテル宿泊を優待価格で(3月末 年1回)
【株価】1283円
【必要投資金額】12万8300円
【優待利回り】換算不可

プロパティエージェント――必要投資金額が低めなのは嬉しいところ

こちらも人気のクオカ―ドの優待を用意。プロパティエージェント <3464> の場合は10万円台での投資で3000円分のクオカードがもらえることになるので、お得が高いといえるだろう。

【優待内容】100株で3000円相当のクオカード(9月末 年1回)
【株価】1695円
【必要投資金額】16万9500円
【優待利回り】1.76%

クラレ――いわずとしれた化学大手。業績は好調で上値追い体勢に

クラレ <3405> の場合、選べるカタログギフトはうれしいものの投資金額が高いのが難点。化学大手の有名企業、大型株なので優待株というよりは全体相場から影響を受ける株といえるだろう。優待と同時に配当を享受するのも良い。

【優待内容】1000株で12月が3000円相当のカタログギフト、6月はカレンダー(6,12月末 年2回)
【株価】2167円
【必要投資金額】216万7000円
【優待利回り】0.13%

愛知電機--優待の中でも大人気のカタログギフトを提供

愛知電機 <6623> の場合は好業績・高配当な上、魅力的な優待といえる。名古屋証券取引所である点に注意しておきたい。

【優待内容】100株で3000円相当のカタログギフト(3月末 年1回)
【株価】3370円
【必要投資金額】33万7000円
【優待利回り】0.89%

ロコンド――自宅で試着できて気軽に返品できる手軽さが人気

ロコンド <3558> は靴の通販サイト。靴は誰もが必ず使うものなので、サイトで使えるポイントが年2回ももらえるのはうれしいのではないだろうか。

【優待内容】100株で通販サイトで利用可能な2000ポイント(2、8月末 年2回)
【株価】3080円
【必要投資金額】30万8000円
【優待利回り】1.29%(1ポイント=1円として計算)

MS-japan――こちらも人気のポイント制優待。獲得条件が複雑なので注意

MS-japan <6539> の優待の注意点は200株保有、3、9月の両方の権利日通過が条件である点だろう。

【優待内容】200株で3月、9月両方の権利確定日を通過した株主に対して8000ポイント付与(9月末 年1回)
【株価】5310円
【必要投資金額】106万2000円(200株)
【優待利回り】0.75%(1ポイント=1円で計算)

アツギ――消費しやすい衣料品であるインナーウエアが大幅割引

アツギ <3529> は割引券だが、その割引率が高い。10%、20%は良くみるが30%はなかなかないのでお得感は高そうだ。女性にとってはうれしい優待と言えるだろう。

【優待内容】100株で「ATUGI ONLINE SHOP」で使える30%割引券(3、9月末 年2回)
【株価】1321円
【必要投資金額】13万2100円
【優待利回り】換算不可

ゼット――必要投資金額が20000円台なのは魅力的

ZETTと書いてゼット <8135> はスポーツ好き、特に高校野球ファンには知られた企業。優待はスポーツ系ブランドの用品を割引価格で購入可能。投資金額が非常に低いのも一つの魅力だ。

【優待内容】100株でゼットオンラインショップの20%割引券(3、9月末 年2回)
【株価】249円
【必要投資金額】2万4900円
【優待利回り】換算不可

ビーグリー--インドア的な趣味を持つ方にはうれしい優待

電子書籍配信、まんが王国を運営しているビーグリー <3981> 。クールジャパンをテーマにした企業の優待は個人投資家から根強い人気がありそうだ。

【優待内容】100株でマンガ王国図書券を1000ポイント~(12月末 年1回)
【株価】1814円
【必要投資金額】18万1400円
【優待利回り】0.55%(1ポイント=1円で計算)

イントラストー--使い勝手の良い優待の代表格

家主向け家賃保証や入院費、介護費保証などを提供しているイントラスト <7191> の優待もクオカード優待。コンビニのほか書店や一部飲食店でも使用が可能だ。

【優待内容】100株でクオカード500円~(3月末 年1回)
【株価】1457円
【必要投資金額】14万5700円
【優待利回り】0.3%

GLサイエンス――あると何かと便利なギフトカードをもらえる優待

物質の成分を分析するクロマトグラフ(分析機器)を製造するジーエルサイエンス <7705> の優待は、百貨店などで利用が可能なVISAギフトカード。クオカード同様に換金性も高いことからも人気につながりそう。

【優待内容】100株でVISAギフトカード1000円相当~(3月末 年1回)
【株価】2035円
【必要投資金額】20万3500円
【優待利回り】0.49%

これから優待投資を始めたいなら……

2017年には他にもたくさんの優待が新たに新設されたり、優待内容をより良いものへと変更したり企業が増えている。

しかしその一方で、優待内容を廃止してしまったり優待内容を(投資家からすると)“改悪”してしまう企業もある。

優待内容目的で投資を行う投資家にとっては優待がなくなることは、その企業の魅力が半減してしまうことでもあるので、優待面での悪材料は将来的には個人投資家の見切り売りを呼ぶことにもつながる。

もし優待に少しでも興味を持ち、優待投資を始めたいのであれば、そういった優待の新設、変更、廃止の動向を探るくせをつけておくと良いだろう(JPXの適時開示情報などでチェックが可能)。

企業の規模にもよるものの優待の動向は株価の動きに少なからず影響するので、始めたばかりの投資初心者にとっては「需要と供給」を読むための良い勉強材料にもなるはずだ。

谷山歩(たにやま あゆみ)
早稲田大学法学部を卒業後、証券会社にてディーリング業務に従事。Yahoo!ファイナンスにてコラムニストとしても活動。日経BP社の「日本の億万投資家名鑑」などでも掲載されるなど個人投資家としても活動中。個人ブログ「インカムライフ.com」。著書に「超優待投資・草食編」がある