筆者の「年末の楽しみ」といえば、流行語大賞、今年の漢字、ヒット商品番付である。2017年の流行語大賞は「インスタ映え」と「忖度」、今年の漢字の第1位は「北」だった。ヒット商品番付は東の横綱に「アマゾン・エフェクト」、西の横綱は「任天堂スイッチ」だ。

しかし、今回特に注目したいのは東の前頭に「Abema TV番組」が選ばれたことである。「Abema TV番組」はエンタテイメント番付でも東の横綱に選ばれているが、筆者も視聴者の一人として大いに楽しませてもらった。

時代の「新しいトレンド」を象徴する商品・サービスに株式市場は敏感だ。果たして「Abema TV」は新しいトレンドをつくることができるのだろうか。

亀田興毅、藤井四段、元SMAP『72時間ホンネテレビ』

サイバーエージェント,株価
(画像=Thinkstock/GettyImages)

PC・スマホ向けに様々な動画を配信する「Abema TV」は、サイバーエージェント <4751> とテレビ朝日HD <9409> が出資して設立した会社だ。

先のヒット商品番付が象徴するように、今年は「Abema TV」が広く認知された年と言っていいだろう。5月に開局1周年記念で配信されたスペシャル企画『亀田興毅に勝ったら1000万円』は視聴数が延べ1420万に達し、過去最高となった。7月には将棋の藤井聡太四段の対局をライブ放映し、30連勝がかかった佐々木五段との『竜王戦決勝トーナメント』の視聴数は歴代2位の1242万に達した。

さらに、11月2日から5日にかけて放送した『72時間ホンネテレビ』では香取慎吾、草彅剛、稲垣吾郎がSMAP解散後初めて共演することで注目が集まり、視聴数も7400万と開局以来の最高記録を大きく塗り替えたのである。

ちなみに、視聴数は一度アクセスを切ったものを再アクセスすればそのたびにカウントされるため、実際の「視聴者数」とは異なる。しかし、それでも各方面で話題となり影響を及ぼしたことは間違いないだろう。影響といえば、株式市場では「Abema TV」人気の高まりとリンクするようにサイバーエージェント株も上昇、12月25日には4450円と上場来の高値を付けている。今年のサイバーエージェント株の値上がり率は54%に達しているのだ。

「Abema TV」に年間200億円の投資を継続

10月26日、サイバーエージェントは2017年9月期の決算説明会で「Abema TV」に対し年間200億円の投資を継続する方針を発表した。

2017年9月期の売上は前年同期比20%増の3713億円ながら、「Abema TV」への投資が209億円の赤字だったため営業利益は17%減の307億円だった。2018年9月期も売上予想は13%増の4200億円だが「Abema TV」向けに200億円の投資を継続することで、営業利益は2%減の300億円を予想している。「Abema TV」の将来の成長期待が高いからこそ目先の赤字を覚悟で投資を継続するという判断なのだろう。

実際、「Abema TV」アプリのダウンロード数は前期末比約2.3倍の2200万に達し、MAU(月間アクティブユーザー数)は前下期の月平均で約900万人と前年同期に比べ5割以上も増加している。また、今年度の「Abema TV」はコンテンツの強化、広告商品の拡販、収益の多角化を目標に掲げている。テレビを見ない層へのアプローチも可能なため、ポテンシャルは大きいのではなかろうか。

筆者の周りでも「Abema TV」ファンが着々と増えている。2018年の「Abema TV」は私たちにどんな話題を提供してくれるのだろうか。楽しみに見守りたい。

平田和生(ひらたかずお)
慶応大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。日本株トップセールストレーダーとして、鋭い市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスで国内外機関投資家、ヘッジファンドから高評価を得た。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。