リクルート,株価
(画像=PIXTA)

目次

  1. はじめに
  2. リクルートに根付く起業家スピリット
  3. リクルートは「大学発ベンチャーの元祖」
  4. 就活戦線解禁、働き方改革がフォローの風
  5. リクルートHDの事業「3つの柱」
  6. 新しいことに挑戦を続ける「ベンチャー精神」

※この記事は2018年2月に掲載されたものを再編集しています。

はじめに

株式投資では、「上がる銘柄」を見つけることが重要であり醍醐味だ。では上がる銘柄はどうやって見つければいいのか。この連載では、過去に躍進をみせた企業からヒントを学ぶべく、7回に分けて様々な業界の「上がった銘柄」を取り上げていく。 【第1回】は日本の起業家スピリットの元祖といえるリクルートホールディングスだ。偉大な創業者と、ここまでの大企業になるまでの歩み、そして3つの事業の柱を解説する。

リクルートに根付く起業家スピリット

リクルートホールディングス(HD) <6098> といえば、就活サイト「リクナビ」やアルバイト求人サイト「フロム・エー ナビ」を想い浮かべる人が多いかもしれない。しかし、バブル世代の筆者はそれとは違った特別な想い入れがある。同社はベンチャー企業として大成功しただけでなく、創業者の故・江副浩正氏の起業家スピリットを受け継ぎ、「リクルートのDNA」を有する数多くの経営者を輩出してきたからだ。

そうした中で注目されるのは、リクルートHDの株価が上場来の高値を更新したことである。今回は日本の「ベンチャー精神の原点」ともいえるリクルートHDを取り上げたい。

リクルートは「大学発ベンチャーの元祖」

1960年、リクルートは当時東京大学に在籍していた江副氏が、東京大学新聞の広告代理店「大学新聞広告社」として創業した。まだ戦後15年目のことであり、大学発ベンチャーの元祖といっても差し支えないだろう。就職情報、住宅情報、フロム・エー、ab-road、とらばーゆ、カーセンサー、ホットペッパーなどオリジナルの雑誌媒体を次々に創刊し、広告事業の拡大とともに業績を伸ばしていった。

創業から20年後の1980年代、当時大学生の筆者にとって江副氏はカリスマのような存在だった。年功序列の日本社会にありながら、リクルートは「アイディアをもった若い社員に新規事業を任せる会社」として大変な評判だった。新しい分野に挑戦するアニマル・スピリットに満ちあふれた会社として人気が高く、筆者の周りでも起業指向の強い友人はリクルートへの就職を目指したものである。江副氏は今でいうフェイスブック創業者のマーク・ザッカーバーグ氏のような存在だったのだ。

実際、「元リク」と呼ばれるリクルートOBにはUSEN-NEXT HOLDINGS <9418> の宇野康秀氏、リンクアンドモチベーション <2170> の小笹芳央氏、LIFULL <2120> の井上高志氏、ゴールドクレスト <8871> の安川秀俊氏のほか、上場企業の創業者・経営者が多数名を連ねる。多くのベンチャー企業の経営者が「リクルートのDNA」を有しているのだ。

ちなみに、『リクルートのDNA』(角川書店)は江副氏が2007年に自伝的ビジネス書として執筆した本のタイトルである。副題は「起業家精神とは何か」、ベンチャー企業としてのリクルートの誕生秘話や失敗談、ビジネス発展の秘訣などが語られており、「なぜ、成功するベンチャー企業にはリクルート出身者が多いのか?」理解できる良書だ。起業を志す人に、ぜひ一読して欲しい一冊である。

就活戦線解禁、働き方改革がフォローの風