「2017年米国で最も売れた車」のランキングが発表され、トヨタRAV4やカムリ、ホンダシビック、日産ローグなど、トップ10のうち7ブランドを日本のメーカーが占めた。トップ20には11ブランドがランクインしている。

トップ20入りしたほかの日本ブランドの売上および順位後退が目立つ中、トヨタRAV4と日産ローグの売上は各8.0%増、14.7%増と飛躍的に伸びている。

トップ3はフォードFシリーズ、シボレー・シルバラード、ダッジラム・ピックアップと2016年から不動。米国におけるピックアップトラック人気復活を反映した結果だが、売上は低迷あるいは低迷傾向にある。代わってクロスオーバーSUVの需要が急速に伸びている。

ランキングは 自動車市場調査・コンサルティング企業フォーカス2ムーブが、2017年11月までの1年間に米国で売れた新車のデータを集計したもの。

2017年米国で最も売れた自動車ブランド20

車,トヨタ,日産,ホンダ
(画像=トヨタWebサイトより)

20位(昨年24位) トヨタ・タコマ 17.9万台
19位(18位) GMCシエラ 19.1万台
18位(13位) フォード・フュージョン 19.2万台
17位(26位) トヨタ・ハイランダー  19.4万台
16位(17位) 日産セントラ 20.1万台
15位(20位) ジープ・グランドチェロキー 21.7万台
14位(12位) 日産アルティマ 23.6万台
13位(14位) フォード・エクスプローラー 24.2万台
12位(15位) シボレー・エクイノックス 25.7万台
11位(11位) フォード・エスケープ 28.2万台

10位(9位) ホンダ・アコード 30.0万台
9位(5位) トヨタ・カローラ 30.9万台
8位(7位) ホンダCR-V 34.0万台
7位(4位) トヨタ・カムリ 34.3万台
6位(6位) ホンダ・シビック 34.5万台
5位(10位) 日産ローグ 36.3万台
4位(8位) トヨタRAV4 37.5万台
3位(3位) ダッジラム・ピックアップ 45.5万台
2位(2位) シボレー・シルバラード 51.8万台
1位(1位) フォードFシリーズ 80.7万台

2017年の成長速度は失速 ピックアップトラック人気は一段落?

1750万台という記録的な販売台数を達成した2016年から一転、2017年は緩やかな成長速度に落ち着いた米国自動車市場。しかしランキングを作成したフォーカス2ムーブは、2018年には需要が再加速すると予想している。

昨年から首位の座を維持したフォードFシリーズは、近年米国で人気を盛り返しているフルサイズのピックアップトラックだ。今年は世界中で100万台を売上げ、新記録を打ち立てている。その8割が国内の販売という米国の消費者に大人気のモデルで、同社の看板商品フォーカスの販売記録(102万台)を、今後数年以内に更新するのではないかと期待されている。成長率は0.8%と小幅な点が気にかかるが、長年にわたり米国のピックアップトラックの代表的地位を築き上げており、今後も幅広い層から支持を得続けるはずだ。

2位のシボレー・シルバラードは、ゼネラルモーターズがシボレーブランドで展開しているフルサイズのピックアップトラック。フォードFシリーズに次ぐ人気車である事実は変わらないが、販売台数は8.4%減少。同じくダッジラム・ピックアップも3位に留まる一方で、4.8%減少となった。ピックアップトラック人気は一段落といったところだろうか。

都会でも普段乗りできるSUV人気が急上昇中

代わってトヨタRAV4(8.0%増)、ハイランダー(7.7%増)や日産ローグ(14.7%増)、シボレー・エクイノックス(9.1%増)、ジープ・グランドチェロキー(4.4%増)などクロスオーバーSUVの売上が伸びている。 SUV自体は米国が発祥の地で、「家族でアウトドアを楽しむ」というコンセプトで開発された。近年の都市化を反映し、都会でも普段乗りできる小型クロスオーバータイプが続々と登場している。 トップ20中最も大きく需要が失速したのはフォード・フュージョン(24.7%減)。日産アルティマ(23.9%減)、トヨタ・カローラ(19.3%減)、ホンダ・アコード(12.5%減)、トヨタ・カムリ(12.3%減)が続く。

圧倒的な人気を誇る日本車だが販売台数は減少気味

圧倒的な強さをみせた日本車メーカー。トヨタは5ブランド、日産とホンダは各は3ブランドがトップ20入りした。しかし前述したように、トヨタ・ハイランダー、RAV4と日産ローグ以外のブランドは販売台数が落ち込んでいる。

ほかのアジアメーカーも韓国の現代自動車が製造する小型乗用車エラントラ(21位、16.2%減)や中型セダンのソナタ(30位、37.9%減)、起亜自動車の準小型車(車ソウル(40位、25.6%減)、中型セダンのオプティマ(48位、18.0%減)などが軒並み後退を見せた。

その一方、マツダCX-5(35位、3.0%増)、起亜自動車の準小型車フォルテ(37位、3.8%増)などは小刻みな上昇、現代自動車の小型クロスオーバーSUV、ツーソン(45位、16.6%)は大幅な飛躍を記録した。

米国3大メーカーも好調、次世代自動車や規制環境の変化への対応戦略が必須?

米国の3大自動車メーカー、ゼネラルモーターズ、フォード、クライスラーも好調だ。

フォードは首位を含めトップ20中に4ブランドがランクイン。クライスラーはジープやラム、ゼネラルモーターズは傘下ブランドのシボレーへの需要から恩恵を受けている。

配車サービスや共有サービスがすっかり定着しただけではなく、EV(電気自動車)を含む次世代自動車の普及も拡大しつつある。各メーカーは新たな規制環境への適合と消費者の趣向の変化に対応する戦略が、生き残り商戦の必須事項となるだろう。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)