先週(12/25〜29)の日本株は3週連続安となり、日経平均は週間で19円04銭(0.1%)安の2万2764円94銭で17年の大納会を終えた。91年以来26年ぶりに2万円台での引けとなり、17年年間では3650円57銭(19.1%)高とアベノミクスが始まった12年以降6年連続の上昇だった。東証1部の時価総額は20%増の674兆円とバブルピーク時の89年末の590兆円を上回って年末ベースでは過去最高となった。

先週は、海外投資家はクリスマス休暇で参加者が少なく、国内機関投資家は12月26日の受け渡しベースでの年内最終日を終え、売り圧力が少なくなっていた。掉尾の一振で2万3000円台での大引けが期待されていたが、28日に一部海外メディアから北朝鮮がミサイル発射準備の可能性があると報道され、日経平均は127円安と急落したため、27年ぶりの2万3000円台での大引けには届かなかった。

株価上昇の原動力は、世界景気の好調と金融緩和による低金利で世界の金融市場がゴルディロックス(適温)状態にあること。リスクオンの資金が世界的に債券から株式にシフトしている。17年には、米国、ドイツ、英国など主要国の株価指数は軒並み過去最高値を更新した。世界景気のトレンドを見るのに重要な指標である製造業の購買担当者指数(PMI)は16年以降、先進国、新興国共に好況の目安となる50を超えている。

世界的に景気の悪い地域がない拡大局面である。米国が17年に3回の利上げを行い、ユーロも18年からの利上げを公言しているが、ゆっくりの利上げであり、まだ過去の水準からすると低金利状態が続いている。日銀はインフレターゲット達成するまでは金融緩和を続けることを公言している。

日本企業の業績も快調だ。18年3月期の企業業績はすでにバブル期を超えており、過去最高益を更新する見込みだ。朝鮮半島の地政学リスク以外は日本の懸念材料は少ない。

株価はバブルであるとの報道も一部にはあるようだが、日経平均採用225社ベースのPERは15倍と過去数年のレンジの14倍から16倍の範囲内であり割高感はない。米国や欧州市場と比較してもまだ低いPERであり、バブルとは言えないだろう。過去のバブル期、ITバブル期の日本株のPERは40倍を超えていたこともある。

来週は、1月4日の大発会をと翌日の立ち会い日は2日だけ。年末年始を控え一旦ポジション調整した資金が市場に戻るため、18年の相場を賑わすようなテーマ株などが物色される傾向が強い。

もっとも、米国の税制改革を待って17年中に米国株の利益確定売りが出なかった可能性があるとの指摘がある。米国市場が年始に下げはじめるようだと波乱含みのスタートになる可能性もある。北朝鮮の年初の動きも不気味だ。

先週(12/25〜29)の振り返り

株式展望
(画像=PIXTA)

25日の日経平均は続伸、前日比36円(0.2%)高の3万2939円で終えた。12月11日以来2週間ぶりに引け値での年初来高値を更新した。91年1月以来26年ぶりの高値だった。海外市場がクリスマス休暇で参加者が少なく、東証1部の売買代金も約1.5兆円と10月9日以来の2兆円割れ。朝方は利益確定でじり安となるところを、午後から入った日銀のETF買いが市場を押し上げプラスに転じて引けた。日銀の買いは708億円で後場の売買代金の約10%だったことが話題だった。

26日の日経平均は3日ぶりに反落、前日比46円(0.2%)安の3万2892円で引けた。

東証1部の売買代金は約1.7兆円と引き続き市場参加者は少ない。受け渡しベースで年内最終日となるため、特に午後から新興市場や直近IPO銘柄などに個人から利益確定の売りが広まった。

27日の日経平均は反発、前日比18円(0.1%)高の2万2911円で引けた。原油が2年半ぶりに60ドルをつけた。銅など非鉄相場の上昇もあって、資源関連株に買いが入ったが、米国市場はクリスマス休暇明けとなったがまだ欧州など休暇中の国が多く全体に市場参加者は少なく、東証1部の売買代金1.7兆円にとどまっている。

28日の日経平均は反落、前日比127円(0.6%)安の2万2783円で終えた。午後に入り一部米報道機関から北朝鮮がミサイル発射準備の可能性との報道があり、円高にふれ、株価指数は先物が主導して下げた。市場参加者は少なくてもアルゴは動いているため、ヘッドラインに反応した可能性が高いだろう。東証1部の売買代金は約1.7兆円と4日連続で活況の目安とされる2兆円を割り込んだ。個人の商いは活況でマザーズ指数は一時1240.72ポイントと年初来高値を更新した。

29日大納会の日経平均は続落、前日比19円(0.1%)安の2万2764円で引けた。

大納会とあって掉尾の一振期待からしっかり始まったが、年末年始の連休を控え日経平均に寄与度の高い値嵩株に利益確定の売りが入り始め小幅ながらマイナスで17年の商いを終えた。東証1部の売買代金は約1.5兆円と低水準。東証1部の売買高は約8.9億株となり11年12月30日以来6年ぶりの薄商いだった。

先週の海外市場を振り返る

29日のNYダウは最終商い日に利益確定の売りで反落、118ドル安の2万4719ドルで17年の商いを終えた。週間でも34ドル安となり6週間ぶりの下落となった。年間では4956ドル(25.1%)高となり2年連続で上昇した。

29日のNY為替市場でのドル円は112円75銭で商いを終えた。前日比では20銭の円高、東京17時比では9銭の円安。原油高、非鉄高などで資源国通貨が買われているため、資源国通貨高・ドル安となりクロス円で112円台へと円高が進んでいる。ただクロス円での小幅円高なだけに日本株への影響は限定的。

日経平均の夜間取引は2万2780円と29日の大阪先物の引け比30円高。

今週(1/4〜5)の株式展望

立ち会いは2日のみ。今週の日経平均の予想レンジは2万2700円〜2万2900円を想定している。新年入りとは言え市場のエネルギーは一旦停止している。週末の米雇用統計待ちでもあり、18年の相場のテーマなどを中心とした個別株物色になりそうだ。米国市場は1月1日だけが休みで2日から商いが始まる。2日〜3日の商い次第では日本株も波乱含みになる。

NYダウは29日こそ118ドルだったが、年間では4956ドル高。第4四半期の3ヶ月で2314ドルも上げている。税制改革法案の通過が見えてきていたので、通常なら年内に出る利益確定売りが年越しとなったとの指摘も多い。米国市場が利益確定売りで始まれば、日本株も連れ安するのは必至だが、その場合はテクニカルな下げなので押し目買いのチャンスとなるだろう。

今週の下値のサポートは25日移動平均線の2万2738円、上値は5日移動平均線の2万2858円か。

今週のイベントは、日本では4日が大発会、5日に経済3団体の会見がある。海外では、年初から欧州で金融新規制MiFID2が施行、3日には米12月FOMC議事録が公開される。

今週の経済指標は、日本では特にない。世界では、3日に米12月ISM製造業景況指数、4日に米12月ADP雇用統計、5日にさっそく米12月雇用統計があり、米12月ISM非製造業景況指数が注目される。(ZUU online 編集部)