このコーナーでは毎週原則木曜日に実施しているMarket Talk(動画セミナー)のサマリをお届けします。
2018年1月4日(木)Market TalkのSummary
大幅高で始まった大発会だが、この後失速しないか?
今年の相場の位置づけは来年への助走期間の1年である。
・来春は天皇陛下の退位、新天皇の即位で祝賀ムードとなり、今年は元号変更にむけて準備をしていく1年でもある。
・今年いっぱい景気拡大が続くと戦後最長のいざなぎ景気に並び、これで年が明けると戦後最長となる。
・企業増益は3期連続の最高益で、今度の春闘で3%賃上げに届かなくてもこの景気が来年までもてば、3%の賃上げもでてくるだろう。そうなれば「実感なき景気回復」と言われているが来春はその「実感」が出てくる。
このように上げ潮のなかで来春は景気が大変よくなるだろう。もちろん途中ペースダウンもあると思うが基調としては右肩上がりだと考える。
日経平均上昇に向けて中心銘柄や有望な業種は?
今年はAIやロボット化がより身近になってくる。最近よく言われているRPA(Robotic Process Automation)。ロボットが事務作業をやってくれる。このRPAが金融機関を中心に導入の動きが進んでいくので、システムウェアなどそういうものを手掛けている分野がよいのではないか。日立、富士通、オービックなど、RPAとは違うが直接的なのはNRIやCTCなど。
あとは銘柄選択において「勝者総取り」という時代がそろそろ変わるのかどうかというのもポイント。これまでビジネスで一番の勝ち組はアマゾン、FB、グーグルなどのプラットフォーマーだった。中国ではテンセント、アリババ、バイドゥといった一部のネット企業がプラットフォームを全部押さえてしまう。このような寡占化に対して待ったがかかりそうな動きもあるが、この構図はあまり変わらないと思う。またプラットフォーマーまで行かなくても「オンリーワン」、例えばオリエンタルランド、スタートトゥデイのように存在感が際立っているところに集中していくような相場になってくると考える。
日本株下落の兆候で注目しておく事項は?(米国10年債金利、ISM、PMI等の指標など)
アメリカ経済がそろそろスローダウンするのではないかというときに、その兆候をみるのはISM非製造業景況感指数であるが、景気循環のサイクルからみるとそろそろピークアウトではないかという見方もある。景気循環=在庫循環は一番短いサイクルだがこれは古いと思う。今は在庫管理の手法も進化しているし、在庫は製造業中心の話で、今経済がこれだけソフト化しておりFBやグーグルにおいては在庫は関係ない、そういった企業が時価総額の大きいところを占めている。ISM非製造業景況感指数の重要性は景気の指標として変わらないが、過去の景気循環はあまり当てはまらなくなってきているのではと思う。
そういう意味ではアメリカの10年債金利は常にいつの時代でも注目すべき指標。これが全然上がってこない、上がってこないからいいんだという面、適温相場が保たれているというのもあるが、あまりに上がってこないとちょっとおかしいんじゃないか、景気が強いのか弱いのか分からないという話で悩ましいところではある。いずれにせよアメリカの金利は常に注目。
広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
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