マッキンゼー・アンド・カンパニーは新たな調査報告書の中で、今後中国市場で25万人民元(約436万円)以上の高級車の売上が飛躍的に伸びるとの見解を示した。年平均成長率は10.5%と、ほかの種類の車(4.1%)の2倍以上と予想している。

2016年、中国における自動車販売台数は2300万台という記録的数字に達した。同社が2017年7月、過去1年以内に車を購入した中国の消費者5800人を対象に実施した調査では、2016年に車を買い替えた回答者の55%が「より高価格帯のものを選んだ」と答えている。

SUV人気も継続しており、マッキンゼーの予想では、2022年にかけて世界の自動車売上成長率の53%を中国が占めそうだ。

低・中価格帯の国内SUVブランドが人気  2022年には2台に1台がSUVに?

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(画像=Thinkstock/Getty Images)

こうした数字は世界の自動車販売成長率の78%を占めていた5年前と比べると、まだまだ本調子とはいえないが、中国市場で自動車の需要が再加熱し始めたことは疑う余地がない。

米国同様、中国でもSUV人気が伸びており、2016年のSUV総売上のうち78%がB・Cセグメントの小型SUVだった。価格帯は10万人民元(約174万円)以下のものが最も売れたものの(43.6%)、10万~25万人民元(174万~436万円)もぴったりと後を追った(41.6%)。それ以上の価格帯のSUVは3分の1(14.8%)にとどまった。

エントリーモデル(ブランド全モデル中最廉価車)のSUVで人気が集中したのは中国ブランドで、低価格車の総売上の89%を占めた。カーセールスベース2017年11月のデータ によると、上汽通用五菱汽車初のSUV「五菱宏光S3」、長城汽車の「ホーバーH6」「ホーバーM6」など国産SUVが特に関心を集めた。

中国におけるSUV人気は全セグメントにわたり拡大していき、「2022年には購入される2台に1台がSUV」というレベルに達するとマッキンゼーは予想している。

米国、ドイツをはるかに上回る勢いで、プレミアムブランドの売上増

中国自動車市場の新たな変化の兆しとしては、高級車の販売台数増加だろうか。高級趣向が高まる中国市場では、車の好みも高価格帯なプレミアムブランド (BMW、メルセデスベンツ、ロールスロイス、テスラ、アウディ、アルファロメオなど)への移行が目立つ。

各自動車メーカーの昨年第1~3四半期報告 によると、メルセデスベンツ、BMW、フォルクスワーゲングループ(アウディやポルシェを含む)は、いずれも中国で売上記録を更新している。

VWグループは全世界の販売台数780万台のうち290万台(前年比1.4%増)を中国で売上げ、BMWは154万台中44万台(15.2%増)、メルセデスベンツは172万台中44万台(29.9%増)を記録した。

米国やドイツと各メーカーの売上を比較すると、その勢いが浮き彫りになる。米国での売上げはVWグループが46万台(7.3%増)、BMWが25万台(5.2%減)、メルケル首相が24万台(2.8%減)。ドイツでの売上げはVWグループが97万台(1.9%減)、BMWが23万台(0.6%増)、メルセデスベンツが23万台(5.7%増)だった(自動車売上統計サイトより )。

「ブランドへの忠誠心」が薄れ、カーシェアリングへの関心が拡大?

調査からは中国の消費者の「ブランドへの忠誠心」や「車の所有そのものへの関心」が薄れ始めている一方で、「車載用コネクティビティへの需要」が高まっていることも明らかになっている。

回答者の47%が「次の買い替えの際はもっと高い車を選ぶ」と答えている=特定のブランドへのこだわりはあまりないということだ。「また同じブランドを選ぶ」と答えた国産車所有者は9%だが、国外車所有者は15%とブランドへの忠誠心は国産車所有者よりも国外車所有者の方が若干高い。プレミアムブランドの所有者間では15~18%にあがる。世代的には34歳以下の若い層の方が、特定のブランドへのこだわりが強い。

車の所有に対する考え方にも、時代とともに変化が見られる。「車のない生活を想像できる(42%)」「車を所有することは、もうそれほど重要ではない(36%)」「カーシェアリングが無料で利用できるのならば、車を手放してもいい(38%)」と答えている。

ミレニアル世代はカーシェアリングを最も頻繁に利用している世代で、週一ペースの利用者数はほかの世代の2倍(12%)におよぶ。P2P型レンタルカーサービスの利用率も、ほかの世代が9%にとどまっているのに対し、この世代14%とはるかに高い。高齢層の22%は「P2P型レンタルカーサービスは利用したくない」と答えた。

6割が「車載用コネクティビティ技術」のためにブランドを乗り換える?

スマートフォンとの連結など「車載用コネクティビティ技術」を必要不可欠と見なす消費者が中国で増えており、64%が「車載用コネクティビティのためにブランドを乗り換える」と回答。米国(37%)やドイツ(19%)より、コネクティビティ技術への需要がはるかに高い。

「車載用コネクティビティは必須」と答えたのも中国(33%)が最も多く、ドイツ(29%)、米国(20%)と続く。さらには中国では62%が「利用料を支払ってもいい」と考えているのに対し、米国(18%)やドイツ(13%)ではそこまでの必然性を見いだしていない。

「車載用コネクティビティのために追加料金を払いたくない」と答えたのは11%。ドイツでは43%、米国では30%が同様の考えを示した。

このように自動車関連テクノロジーへの関心が高まる一方で、97%が自動車ローンの借入にオンライン業者を利用せず、従来型のローン企業を利用している。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)