富める人はより富める――。 近年、その傾向が顕著になっています。世界人口の10%未満の人々だけで、世界の富全体の86%を所有しているという調査が発表されました。

スイス金融大手クレディ・スイス・リサーチ・インスティテュートが毎年発行している「グローバル・ウェルス・レポート2017」によると、世界の人口の1%の富裕層が所有する総資産額は世界全体の50.1%を占めており、2008年の金融危機のピーク時の42.5%の割合から増加していることが発表されています。2007年以降の10年間で世界の富は27%増大したが、貧富の格差はいっそう広がっているとのことです。

年収2000万円を越えるようなお金持ちと年収500万円(あくまで比較としての年収)の人との違いはどのようなところにあるのでしょうか。以下では3つのポイントを紹介しましょう。

(以下、本記事は内藤忍氏の著書『毎月100万円を生み出す人生戦略の立て方』クロスメディア・パブリッシング、2017年7月21日刊の中から一部を抜粋・編集・追記しています)

インカムゲインで毎月100万円が入ってくる。それを、会社勤めのかたわらで30代や40代のうちに実現することができれば、年々、資産が増え、富裕層の仲間入りができるかもしれません。非現実的で夢のような話に思われるかもしれませんが、これくらいの不労所得を得ている人たちは、決して珍しい存在でもありません。たとえば、サラリーマンを続けるかたわら、経験ゼロから始めて、月に数百万円を稼いでいる不動産オーナーはいくらでもいます。

1. 「お金」VS「時間」 時間こそが最大の資産である

成長とは、一次関数のようにかけたコスト(努力・時間・お金)に比例してまっすぐ伸びていく場合もあれば、二次関数のように最初は大きな変化は見えなくても、どこかのタイミングで加速し始め、爆発的な伸びで成長する場合もあります。これをお金にたとえれば、一次関数で伸びていく最もシンプルな形は「貯金」です。500円玉貯金を欠かさず続けていけば、貯金残高はジワジワと増えていきます。しかし、この方法では先も見えています。

<二次関数的にお金が増える「複利運用」>

もし、お金を二次関数的に増やしたいなら、お金が新しいお金を生み出す運用を始めるべきです。それが「複利運用」です。

たとえば、金利10%の金融商品を単利で100万円分買ったとします。元本である100万円にのみ利息がつくので、この場合、毎年の伸び率は10万円と決まっているため、その運用結果は、一次関数的に伸びていきます。これが「単利運用」の結果です。

【単利運用】
毎年の伸び率:10%×100万円=10万円(30年後=400万円)

一方、「複利運用」では、運用益が出たらその都度、その利益を元本に加算していくやり方です。ジャガイモの例で言えば、収穫物をすべて「タネ」にして植え直すことです。同じく金利10%だとすると、これだと、初年度の利益は10万円ですが、2年目は11万円、3年目は12万1000円と増えていきます。

【複利運用】
1年目:10%×100万円=10万円
2年目:10%×(100万円+10万円=11万円
3年目:10%×(110万円+11万円)=12万1000円 (30年後=約1745万円)

これを30年続けると、単利運用の場合は100万円が400万円しか増えないのに対し、複利運用だと約1745万円まで増えます。これが複利の威力です。複利運用のインパクトは、運用期間が長ければ長いほど増します。

2. 「持ち家」VS「賃貸」 どちらがオトク?

「金利が上がれば、ローン返済がきつくなるから賃貸が有利」
「でも、不動産価格が上昇すれば資産価値も上がるから、マイホームのほうがオトクだ」
「引っ越しを頻繁にするなら、賃貸が有利だろう」

「マイホームと賃貸のどちらがオトクか」という論争は、永遠に決着がつくことはありません。なぜなら、いくらシミュレーションしたところで、前提とする経済情勢で結論が変わってしまうからです。

ひとつ言えることは、「マイホームを買えば安泰だ」と一方的に信じ込むのは誤解だということです。マイホームを買った瞬間に「お金を生み出さない資産」が自分の資産のほとんどを占めることになります。住宅ローンを組んだのであれば、今後、不動産投資で自分の資産にレバレッジをかけたいと思っても、そのローンが足枷になるかもしれません。資産形成の選択肢を狭める可能性もあるのです。

ここで強調したいのは、マイホームと賃貸のどちらがオトクかという損得の話ではなく、マイホームの選択にも投資のセンスを持ったほうがよいということです。マイホームを購入したいという人にアドバイスしたいのは、自分が住まなくなった時に、資産としてどんな価値があるかを考えておくことです。

たとえば、4000万円のマンションを検討しているなら、周辺の類似賃貸物件から想定家賃を算出します。もし、15万円で貸し出しできそうだとすれば、年間家賃収入は180万円になりますから、購入価格から計算した表面利回りは4.5%です。かたや、同じ4000万円を不動産投資に回すという選択肢があります。都心のワンルームマンションの表面利回りが5.5%だとすると、年間の家賃収入は220万円です。もし、投資用不動産の利回りが、マイホームの想定賃貸利回りより高ければ、マイホームを購入するより、利回りの高い投資用不動産を購入して、受け取る家賃で賃貸住宅を借りたほうが合理的です。

3. 「借金は良い」VS「借金は悪い」 実は借金には2種類ある!

一般的な日本人の感覚だと「借金=悪」というイメージがありますが、借金には2種類あって、イールドギャップの見込める投資目的の借金は「いい借金」。一方、消費を穴埋めするための借金は「悪い借金」と言えます。

不動産投資のための融資は、「いい借金」に分類されると言えます。普段、さまざまな融資を駆使して会社を成長させようと努力されている経営者の方であれば異論はないでしょう。

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