先週(1/9〜12)の東京為替市場では円が反騰、東京インターバンク市場の12日17時のドル円レートは前週末比1円77銭円高の111円38銭だった。

17年のドル円の変動率は4%程度と小動きの一年だった。ほぼ108円と115円のボックス圏で、特に10月以降はほぼ111円と114円の狭いレンジでの商いだった。世界景気拡大によるリスクオン相場で、日本株が26年ぶりの高値を更新しボックス上抜けとなった。ドル円も円安方向にボックス抜ける可能性が高いと見ていたが、逆に円高方向に抜けることとなった。

円高の契機となったのは日銀のテーパリング疑惑とECBの利上げ懸念だった。日経平均が年初来高値を更新し2万4000円に迫った9日、日銀は金融調整で長期国債の買い取り額を前回比で200億円減額要求した。市場では、日銀のステルス・テーパリングとの見方が浮上し、日本の長期国債利回りは0.065%と前日比で0.010%上昇した。9日のドル円は113円16銭で始まったがオペ後には112円50銭までの円高が進んだ。

日銀懸念は海外市場でも拡がり、米長期債利回りは一時16年3月以来となる2.59%まで上昇した。NY市場のドル円は12日に一時110円92銭と17年11月27日以来の110円台をつけた。

ユーロ高も円高を加速させた。11日に公開された12月のECB理事会の議事要旨では、ECBが景気の見方であるフォワード・ガイダンスを上方修正することを議論したことが判った。ユーロは対ドルで急騰、1.221ドルと3年ぶりのユーロ高水準をつけた。ドルの急落がクロスレートでの円高を導いた。

円高方向にボックス抜けとなったが、昨年1年間の108円と115円のレンジから見るとあくまでもレンジ内での動きにすぎない。特に、今回の円高はユーロが対ドルによるもので、悪い円高ではないと見ている。

黒田総裁はインフレ・ターゲットを達成するまでは金融緩和は継続するとの方針を明言している。テーパリングの懸念はまだ早すぎるだろう。ユーロさえ落ち着けば、ドル円はまた111円から114円のゾーン内に戻る可能性が高そうだ。

先週(1/9〜12)の振り返り

為替展望
(画像=PIXTA)

9日の東京為替市場で円は反発、17時のレートは前日比40銭円高の112円75銭だった。

午前中に日銀の金融調整で長期国債の買いオペ額を前回比で200億円減額した。テーパリング疑惑から新発10年国債の利回りが上昇し、日米金利差の縮小懸念から一時112円50銭までの円高となった。

10日の東京為替市場で円は続騰、17時のレートは前日比80銭円安の112円95銭だった。

日銀のテーパリング疑惑に加え、中国が米国債投資に消極的な姿勢をしているとの報道で円高が進んだ。欧州投資家のオーダーが入り始める16時30分すぎにドル円は111円76銭と12月1日以来の高値をつけた。

11日の東京為替市場で円は3連騰、17時のレートは前日比16銭の円高の111円79銭で終えた。

海外市場で一時111円05銭と11月28日以来の円高を着けたことで、朝方一時111円32銭まで円高となった。その後、中国が米債買い入れの減額を否定、またこの日の日銀金融調整では買い入れ額を据え置いたことで、ドル円は一時111円87銭まで戻した。

12日の東京為替市場で円は4連騰、17時のレートは41銭円高の111円38銭だった。

12月のECB理事会の議事要旨で、18年の早い時期に金融政策の方針であるフォワード・ガイダンスを見直すことが議論されていたことが判り、ユーロが対ドルで一時1.205ドルと3年ぶりの高値まで急騰した。ドル安からクロスレートで円高が進んだ。

先週の海外市場を振り返る

12日のNY為替市場で円は4日続騰。ドル円は前日比20銭円高の111円10銭で取引を終えた。

一時は110円92銭と17年11月27日以来の110円台をつけた。12日の東京為替市場の17時からの比較では28銭の円高だった。ドイツでメルケル与党が大連立継続に向けて合意したとの報道でユーロ買い・ドル売りとなり、ユーロは対ドルで1.221ドルと3年ぶりの高値をつけ、クロスレートで円高が進んだ。

12日のNYダウは先週から始まった銀行の17年4Qの決算で税制改革効果から今期の予想ガイダンスが市場予想を上回った。決算への期待が高まり連日の200ドルを超える大幅高で連騰、前日比228ドル(0.9%)高の2万5803ドルで引け、主要3指数全て過去最高値更新している。

NYMEXのWIT原油先物は世界景気拡大、在庫縮小で5日続伸、前日比50セント高の64.30ドルと3年ぶり高値で引けた。NY株高を好感し、円高にもかかわらず、CMEの日経平均先物は2万3820円と12日の大阪先物の引け比180円高で商いされており、15日の相場はギャップアップして始まりそうだ。

今週(1/15〜19)の為替展望

今週のドル円の予想レンジは110円83銭から112円23銭のレンジを想定している。ドル円は10月以降のレンジ111円と114円を下抜けた。もっとも、ユーロ高による円高なのでそれほど円高のモメンタムが強いとは考えづらい。円高にきっかけとなった日銀のテーパリングについては、今年の論議の対象にはなったとしても、株価を下げる可能性があるだけにすぐ動く可能性は低いだろう。

テクニカル的には11月27日のドル円の安値110円83銭が下値の目処、それを抜ければ9月8日につけた107円30銭に向けてもう一段の円高の可能性はある。ただ、ユーロ高さえ落ち着けば、日本株も反騰し、ドル円も100日移動平均である112円23銭に向けてドルの戻りを想定している。

今週のイベントは、日本では15日に日銀支店長会議、さくらレポート、16日に経団連春闘指針がある。世界では、15日に米キング牧師生誕記念日の祝日、南北朝鮮実務会談、16日に北朝鮮核問題に対する外相級会合、17日に米ベージュブック、米暫定予算期限切れが注目される。

今週の経済指標は、日本では16日に12月訪日外国人客数、企業倒産、ビール類出荷額、17日に11月機械受注、中古車販売台数、19日に百貨店売上高などがある。海外では17日に米鉱工業生産、18日に中10-12月GDP、米住宅着工件数などがある。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。