2018年の東京株式市場がスタートして2週間が経ちました。日経平均株価は2017年末終値が22,764円94銭でしたが、年明け後の1/9(火)には一時24,000円手前まで上昇。その後は足踏みとなっていますが、おおむね堅調な展開となっています。

2018年はどんな相場になるのでしょうか。そして、どのような相場テーマが株式市場で関心を集めるのでしょうか。「日本株投資戦略」では今後折に触れ、2018年の相場テーマについて考えていきたいと思います。

今回は「金利上昇」についてレポートしてみました。2018年は金利上昇に強い業種や銘柄が好パフォーマンスとなる可能性が大きいと「日本株投資戦略」では予想しています。

金利上昇局面に強い業種はどこか?

世界経済をけん引する米国で長期金利の上昇が加速する兆しが出ています。図1は米国の長期金利(10年国債利回り)の推移をみたもので、2017年3月に2.6%台まで上昇した後は2.4~2.5%が上限となってきましたが、2018年明け後にはこの上限を突破してきました。

図1:米10年国債利回り(日足)

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※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

米国経済は、12月まで3ヶ月間の非農業部門雇用者数が月平均で20万人を超えるなど、順調な拡大を示しています。そうした中、12/22(金)には法人税の引き下げ(35%から21%に)を骨子とする税制改革法案(減税は170兆円規模)が成立し、経済成長はさらに加速する兆しが出てきました。市場コンセンサス(Bloomberg)では米長期金利は2018年末に2.91%、2019年末には3.25%まで上昇すると予想されています。

一方、欧州ではECB(欧州中銀)が2018年から資産買い入れ額を縮小し始めています。欧米の金融政策はこれまでの緩和的政策から中立方向に向けて動き始めていると考えられます。こうした動きを背景に、新興国では今後、国内から資金流出を防ぐべく金融を引き締めるケースも出てきそうです。我が国でも、マイナス金利が銀行経営に与える副作用も意識され始め、「日銀は2018年に長期金利の誘導目標を引き上げる」との予想も出ています。

金利は世界的に上を向き始めているのかもしれません。米長期金利の上昇はそうした将来を織り込んでいるのかもしれません。表1は東証・業種別株価指数と米10年国債利回りの相関係数を調べ、相関係数が高い順に10業種並べたものです。米長期金利が上昇する局面で株価が上昇しやすい業種は順番に「銀行業」、「保険業」、「鉄鋼業」、「非鉄金属」以下となっています。

日本の長期金利が上昇するとの見方も出ていますが、いまだデフレからの脱却が明確になった訳ではなく、円高を招くリスクを伴う「出口戦略」について、日銀は慎重にシフトすると考えられます。「日本株投資戦略」では、当面、先行して金利が上昇しやすいのは米国であると考え、相関係数の計算では米長期金利を対象にしています。

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(画像=SBI証券)

金利上昇局面で上昇しやすい銀行株の現状は?

表2は銀行株の株価、時価総額他をみたものです。東証・業種別株価「銀行業」は昨年11/20(月)を当面のボトムとして上昇に転じましたので、そこからの株価騰落率も掲載しています。

東証1部の銀行セクターの時価総額は合計で約50兆円であり、東証1部全体(1/11現在の時価総額は699兆円)の7%を占めています。銀行セクターの中では「3メガバンク」と称される時価総額上位3銘柄で「銀行業」全体の51%を占めています。さらに、業種別株価指数「銀行業」に占める組み入れ比率は上位3銘柄で63%に達しています。

このため、業種別株価指数「銀行業」のパフォーマンスを大きく左右するのも3メガバンクを中心とする上位銘柄であると考えることができます。銀行株が当面のボトムを付けた昨年11/20(月)以降、「銀行業」は16.7%上昇しましたが、表の上位2銘柄はそれを上回るパフォーマンスになっています。このため、機関投資家がベンチマークに勝つべく、銀行株の組入れを決めた場合は、表の上位銘柄が優先されるケースが多いと考えられます。

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(画像=SBI証券)

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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