株式投資の楽しみはなんといっても、自分の選んだ銘柄の価格が上昇すること。場合によっては2倍、5倍、10倍と増えていくこともあり、株価が10倍になるような銘柄をテンバガーという。テンは10倍の意味であり、バガーは野球のベースの事だと言われている。

アマゾンは20年で500倍に

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(画像=PIXTA)

数は多くないものの、かといって極めて珍しいものでもない。むしろ多くの人が知っているサービスは、上場当初から比べてテンバガー化しているケースが多い。日本人の生活にも浸透しているアマゾンは、1997年の上場から20年で約500倍になったという。

これから先もテンバガーは出てくるのだろうか。答えはおそらくイエスだ。資本主義社会では日々、新しいサービスや商品が出現している。新しい商品やサービスが市場を席巻することになれば、その会社の株式はあっという間に上昇するだろう。ということは、世間に浸透する前に、その会社の株式を購入する必要がある。

ガートナーのハイプ・サイクル

では、どのようにして「これから市場を席巻するサービスや商品」を見つければ良いのだろうか。自力で未来予測をして、成長しそうな会社や産業を見つけるのは大変だ。だとすれば、「他のプロ」がおこなった未来予測を参考にしてみるのはいかがだろうか。

未来を正確に予測することはできないが、ひとつのヒントになり得るのがIT分野のコンサルティング会社であるガートナーが毎年発表している「先進テクノロジのハイプ・サイクル」だ。インターネットから誰しも見れるものだが、金融機関のアナリストも参考にしているほど評価が高い。

ハイプ・サイクルは先端テクノロジを「黎明期」「過度な期待のピーク期」「幻滅期」「啓蒙活動期」「生産性の安定期」に分けている。これを毎年ウォッチしていると、面白い発見がある。

黎明期の関連銘柄がテンバガーに?

2012年版を遡って確認してみよう。例えば「自律走行車」技術を見てみると、2012年版では黎明期のカーブに乗った段階で「これからブームが来るだろう」ということを意味している。そして2017年8月に発表された2017年版では「過度な期待」のピーク期を超えた。これは単なるバズワードの領域を超えて、実用化のフェーズに移行しているということを意味している。

自律走行車を可能にするために機械学習(人工知能)技術が必要不可欠だ。「機械学習」は2012年版には登場もしていないものの、2017 年版だと「過度な期待」のほぼピークにプロットされている。2012年版のハイプ・サイクルで、数年後に「自律走行車」がブームになると気が付き「では自立走行車に必要不可欠な技術は何か」と深掘りできれば、「機械学習」に関連する銘柄を物色することもできたはずだ。

「機械学習」の急速な発展を後押ししたGPUのトップシェアを誇るのが米国のエヌビディアという半導体メーカーだ。ナスダックに上場している同社は、2013年1月には約12ドル台であった株価が、2020年8月現在で480ドル台まで上昇している。実に6年半で40倍になった計算だ。

5年後のテンバガー銘柄は?

それでは、気になる2020年版の黎明期には、どのような最新テクノロジがプロットされているのだろうか。「DNAコンピューティング/ストレージ」や「AI拡張型設計」といった難しい言葉が並んでいる。

これらの技術の関連銘柄から、5年後のテンバガーが誕生する可能性は大いにあるだろう。