足元は景気が良いといっても賃金は上がらず、中長期には人口は減っていくことがほぼ確実な日本。衰退市場とも呼ばれる日本市場において、伸びている業種にはどのようなものがあるのだろうか。

それを見極めるためにも、今の日本のメガトレンドを捉えることが重要だ。メガトレンドに上手に乗れている業種や企業が、これからも存在感を増していくことが予想されるからだ。今回は、日本のメガトレンドについて考えてみよう。

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(画像=Shutterstock/ ChrisVanLennepPhoto)

メガトレンド(1)少子高齢化:2060年には人口1億人割れ?

総務省「情報通信白書(平成29年版)」によれば、我が国の生産年齢人口は、1995年をピークに減少しており、2015年の総人口は1億2,709万人、生産年齢人口(15歳~64歳)は7,629万人になっている。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、総人口は2053年に1億人を割り、2060年には9,284万人にまで減少すると見込まれている。さらに、生産年齢人口は2060年には4,793万人にまで減少すると推計されている。

最近では、運送業界や飲食店での人手不足が叫ばれているが、生産年齢人口が今後も減少していけば、これら以外の業種でも人手不足に陥る可能性がある。そうなると、人材の奪い合いになるので、転職サイトや派遣ビジネスの需要が高まることが考えられる。

また、高齢者人口は今後さらに増えるので、介護ビジネスに対する需要はさらに高まるだろう。したがって、介護業界は引き続き期待できる。また、高齢化によって、医療関連の需要も高まることから、医療機器メーカーや製薬会社といった医療関連業種も業績の拡大が期待できるだろう。

日本の法人の9割は中小企業であるが、少子高齢化によって後継者不足がさらに顕著になる。後継者がいなければ、廃業せざるを得なくなるが、蓄積された技術やノウハウが失われてしまうので社会的損失が大きい。そのようなことから、この問題を解決するため、M&Aのマッチングビジネスの市場は拡大すると予測される。  

メガトレンド(2) AI社会:ロボット産業に注目

コンピュータの処理能力の向上によって、AI社会が急速に進んでいる。自動運転をはじめ、トレーディングや各種問い合わせにもAIが活躍し始めている。今後は、会計分野、金融分野、翻訳分野などでの活躍が期待されており、将来的には多くの知的作業がAIに取って代わられると言われている。

AI化やIT化が進むことから、IT業界(ソフトウエア開発、セキュリティ、データ処理、サイト運営等)に将来性を見出すことはできそうだ。ただ、IT業界は変化が激しいので、時代の流れについていけなければその企業は淘汰される。業界としての期待値は高いが、個々の企業への投資という意味では選別は意外と難しいかもしれない。

AIが進化するとこれまで以上にロボット化が進む。少子高齢化によって、労働人口が減少するので、この労働力不足を解消するため、作業的な業務についてはロボットが代替することになるだろう。そのため、機械業界も将来性が期待できる。製造部門は中国にシェアを奪われている状況だが、ロボットのような高度の製造技術は日本が得意なので、日本のロボット産業については成長が期待できる。

メガトレンド(3)グローバル化の進展

人口の減少によって日本の市場は縮小していく。したがって、今後、成長するためには、海外の市場に目を向けていかなければならない。大手の企業であれば自ら海外進出という選択肢もあるだろうが、中小企業の場合には、商社や貿易会社の利用ということも考える必要がある。そのようなことから、貿易会社や商社のニーズはこれからも高まると予想される。

海外に目を向けるという選択肢も

たとえ日本が衰退市場であっても、世界全体の人口は増え続けており、経済成長を続けている。日本にこだわるのではなく、資産運用であれば海外資産に、キャリア構築であれば海外勤務に目を向けてみてもよいだろう。(ZUU online 編集部)