銀行や証券会社の株主優待制度では、各社が提供する金融サービスの手数料割引やキャッシュバックサービスなどが主流だが、各地域の名産品を選べるカタログギフトを受け取れるコースも用意するなど、地域振興に結び付けているケースも多い。3月に権利が確定する7つの株主優待を紹介する。(最低投資金額は2018年3月9日時点)

楽天ポイントなどと交換可能なクラブポイントを贈呈 りそなホールディングス

株主優待,3月,金融機関
(画像=PIXTA)

りそなホールディングス <8308> の株主優待制度では、100株以上の株式を保有している株主を対象に、保有株式数に応じたクラブポイントの贈呈をしている。

対象者が株主優待を申し込むと「りそなクラブ」「埼玉りそなクラブ」「近畿大阪クラブ」でポイントが貯まり、りそなグループのATM手数料が無料になる優遇を受けることができたり、ポイントをRポイント(楽天)やWAONポイント(イオンリテール)、NANACO(セブン&アイ・ホールディングス)、T-POINT(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)の電子マネーなどに交換したりすることができる。ポイントを株主の銀行口座にキャッシュバックすることも可能となっている。

保有株式数が100株以上500株未満の株主には月間20ポイント(年間240ポイント)が贈られる。500株以上600株未満では月間25ポイント(年間300ポイント)、600株以上700株未満では月間30ポイント(年間360ポイント)と、100株ごとに5ポイントが月間で加算されていく。4000株以上を保有する株主には月間200ポイント(年間2400ポイント)が贈呈される。

【権利確定月】3月末日
【単元株数】100株
【最低投資金額】5万7810円

地域特産品や株主優待定期預金で金利0.1%上乗せ 池田泉州ホールディングス

大阪に本社を置く池田泉州ホールディングス <8714> は、同社の株式を200株以上保有している株主を対象にした株主優待制度を設けている。株主優待は「株主優待定期預金」の利用と、地域特産品などが中心の「株主優待カタログ」の贈呈の2種類だ。

株主優待定期預金は「スーパー定期」と「スーパー定期300」(預け入れ金額300万円以上)の2種類。預け入れ期間はそれぞれ1年で、預け入れ金額は10万円以上500万円以下となっており、それぞれ銀行などの店頭で表示されている金利に0.1%が上乗せされる優待内容だ。

2000株以上を保有している場合は、上記の株主優待定期預金と株主優待カタログのどちらかを選択できる。株主優待カタログの贈呈相当額は保有株式数と保有期間によって異なる。保有株式が200株以上6000株未満の場合は、3年未満保有で2000円相当、3年以上で3000円相当、6000株以上1万株未満の場合は、3年未満保有で3000円相当、3年以上保有で5000円相当、1万株以上の場合は、3年未満で5000円相当、3年以上で1万円相当となっている。

【権利確定月】3月末日
【単元株数】100株(優待は200株以上の保有者が対象)
【最低投資金額】8万4000円

特産品贈呈やセミナー受講料割引など多様な株主優待コース 千葉銀行

千葉銀行 <8331> の株主優待制度では、対象株主は3つのコースから優待制度を選ぶことができる。具体的に言えば、「千葉県特産品コース」「金融コース」「TSUBASAアライアンス共同企画特産品コース」の3種類だ。

千葉県特産品コースでは、1000株以上1万株未満を保有している株主には3000円相当、1万株以上を保有している株主には6000円相当の特産品カタログギフトを贈っている。地元で加工された海産物や内陸部で採れた果物や野菜、農産加工品のほか、お菓子やお酒もラインナップされている。

金融コースを選んだ株主は、株主優待クーポンを受け取ることができる。1000株以上1万株未満を保有する株主には1枚、1万株以上を保有する株主には2枚がそれぞれ贈られる。株主優待クーポンを使うと、定期預金金利の年0.2%上乗せや為替両替手数料の20%割引のほか、ちばぎん総合研究所が主催するセミナー受講料の20%割引など計5種類を利用することができる。

TSUBASAアライアンス共同企画特産品コースでは、他の県の特産品などを株主優待として受け取ることが可能だ。1000株以上1万株未満の保有者には3000円相当、1万株以上の保有者には6000円相当が贈られる。TSUBASAアライアンスには、千葉銀行のほか、第四銀行や中国銀行、伊予銀行、東邦銀行、北洋銀行が加盟している。

【権利確定月】3月末日
【単元株数】1000株
【最低投資金額】84万7000円

投資信託購入や創造関連サービス契約でキャッシュバックプラン 広島銀行

広島銀行 <8379> は株主優待制度を2017年8月に一部見直した。広島銀行は株主優待として株主優待定期預金などをラインナップしているが、その対象者を従来の「保有株式1000株以上」から「保有株式100株以上」に拡げるなどしている。

新しくなった広島銀行の株主優待では「定期預金預入の金利上乗せコース」のほか、キャッシュバックプランとして「投資信託購入手数料」「相続関連サービス契約手数料」「相続関連サービス契約手数料」をそれぞれ対象にしたコースが用意されており、これら計4つの中から1つを株主側で選ぶことができる。

定期預金預入の金利上乗せコースでは、保有株式数によって金利の上乗せ率が異なる。対象となる定期預金は「スーパー定期」と「スーパー定期300」で、100株以上500株未満の場合は店頭表示金利にプラス0.05%、500株以上2500株未満の場合はプラス0.10%、2500株以上5000株未満の場合はプラス0.20%、5000株以上の場合はプラス0.30%され、それぞれ株主優待の特権となっている。

【権利確定月】3月末日
【単元株数】100株
【最低投資金額】7万9800円

株主優待として会社四季報の書籍贈呈や名産品・雑貨コース 大和証券グループ本社

大和証券グループ本社 <8601> の株主優待は、株主優待品の贈呈だ。3月末と9月末の権利確定時期で内容が少し異なる。

3月末の権利確定では、1000株から2999株、3000株から4999株をそれぞれ保有している人に対しては、「2000円相当の名産品や雑貨」「2000ポイント分のダイワのポイントプログラム交換ポイント」「会社四季報1冊」「2000円相当の寄付」から株主が選ぶ形で、優待品を贈呈する。1000株から2999株の保有者はこれら4点の中から1点、3000株から4999株の保有者は2点を選べる。

5000株から9999株もしくは1万株以上を保有している株主に対しては、株主優待品の円相当額などがさらに厚くなっている。選べる株主優待品は「5000円相当の名産品や雑貨」「5000ポイント分のダイワのポイントプログラム交換ポイント」「会社四季報2冊」「5000円相当の寄付」で、5000株から9999株の保有者はこれらのうちの1点、1万株以上の保有者は2点選ぶことが可能となっている。

【権利確定月】3月末日・9月末日
【単元株数】1000株
【最低投資金額】68万1200円

子会社が販売する健康補助食品・サプリメントの無料引換券 SBIホールディングス

SBIホールディングス <8473> の株主優待は、同社の子会社である「SBIアラプロモ」が販売している健康補助食品・サプリメントの無料引換券や割引購入券の贈呈となっている。

100株以上を保有している株主に対しては、「アラプラスゴールド・90粒」(9800円)か「アラプラスからだシェイプ・20包」(3218円)のいずれか1個と引き替えることができる無料申込券を贈呈している。

1000株以上を1年以上にわたって長期保有している株主に対しては、さきほどの2商品のほか「アラプラスゴールド・270粒」(2万4300円)、化粧品の「アラプラスモイスチャライジングクリーム」(9000円)と「アラプラスエッセンシャルローション」(6000円)、機能性表示食品の「アラプラス糖ダウン・10カプセル」(1944円)をそれぞれ1個ずつ贈っている。

SBIホールディングスでは、保有株式が1単元(100株)に満たない株主に対しては、これまでに紹介してきた商品などを含むSBIアラプロモの取扱品を50%割引で購入できる申込券を贈っている。単元株式以下の保有株主も株主優待を受け取れるという嬉しいサービスだ。

【権利確定月】3月末日
【単元株数】100株
【最低投資金額】26万100円

現物株式の売買取引でマネックスポイントを付与 マネックスグループ

最低投資金額がほかの銀行や証券会社に比べて低額で利用できるのが、インターネット証券を手掛けるマネックスグループ <8698> の株主優待制度だ。

マネックスグループの株主優待は、マネックス証券の総合取引口座で行った取引において、現物株式を売買した際に発生した手数料の金額に応じてマネックスポイントが付与されるというもの。この株主優待では、保有する株式数によってマネックスポイントの付与率が異なってくる。

例えば、1000株から1999株を保有している株主に対しては、売買手数料の0.50%がマネックスポイントとして付与され、上限付与ポイント数は1万ポイントとなる。2000株から1万9999株保有している人には売買手数料2.00%を付与し、上限は2万ポイント。2万株以上保有しているケースでは売買手数料の10.00%が付与され、上限は3万ポイントとなっている。

3月31日に権利が確定する場合は、売買が成立した約定日が4月1日から9月30日の期間の取引が対象となる。

【権利確定月】3月末日・9月末日
【単元株数】100株
【最低投資金額】3万5600円

(岡本一道、金融・経済ジャーナリスト)