不動産投資は一度始めてしまうと、なかなか方向修正をするのが難しい。そのため、不動産投資を始める前に事業計画を精査し、予測されるトラブルについても把握しながら、時代にも合った運用方法を見つけることが肝心だ。不動産投資のノウハウ本として人気の8冊を紹介する(価格は紙版)。

競売で優良物件を得るためのノウハウを整理して紹介

はじめての競売―利回り15%は当たり前
(河野正法著、セルバ出版/2017年3月31日発売/224ページ/1944円)

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競売で不動産投資に向いている優良物件を見つけ出し、高い利回りでの運用により資産を増やしていこうというノウハウ本が本著だ。一般的に競売への参加はハードルが高いというイメージがあるが、一部の不動産投資家からはブルーオーシャンとして注目されている。

本著では、競売取引がどのように行われているのかを理解するために、まず競売が行われる理由や取引の流れについて説明している。その上で、競売物件の探し方や物件訪問、最後に競売物件の具体的な入札方法や落札手続きについて解説している。実際に競売で不動産を獲得した事例についても紹介している。

著者の河野正法氏は、月額会費制の不動産勉強会などを手掛ける不動産セカンドオピニオンサービス合同会社の役員であり、この不動産勉強会の塾長でもある。

豊富な相談実績などをもとに不動産会社社長が分かりやすく解説

不動産投資は「新築」「木造」「3階建て」アパートで始めなさい!
(田脇宗城著、あさ出版/2017年3月13日発売/232ページ/1620円)

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キーワードに「新築」「木造」「3階建て」の3つのワードを据えて、どのようにして不動産投資として成功に結び付けていくかを紹介している一冊だ。

本著は5章に分かれている。前半部分では、本業に加えて副業で不動産投資を始めて資産を残すという選択肢や、会社員として一般企業などに勤めるサラリーマン大家が陥りやすい不動産投資のリスク、実際に成功を収めたサラリーマン大家が採用している不動産運用の方法などについて紹介している。

不動産コンサルティング技能登録者などの資格をもつ著者の田脇宗城氏は、千葉県を拠点に活躍している。株式会社アメニティジョイハウスの代表取締役社長として、不動産投資を始める人に対して、事業計画や融資、アパートの設計、運用管理などの相談にも応じている。

新築デザイナーズアパートの投資物件選定に役立つ17個のポイント

高家賃でも空室ゼロ!これからの不動産投資は地方の新築デザイナーズアパートが狙い目です
(大城幸重著、秀和システム/2018年1月30日発売/320ページ/2197円)

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不動産投資に成功した地方在住のサラリーマン大家が書いたそのノウハウ本。特に物件選びについての解説に多くのページが割かれており、新築デザイナーズアパート投資の魅力を紹介しているほか、物件を選定する際のコツなどについて17個のポイントを挙げて説明している。

そのほか、金融機関や不動産業者、設計事務所・施行会社、管理会社、仲介会社などとの付き合い方についても説明しており、良い業者の選び方や打ち合わせに臨む姿勢、管理委託コストなどの相場についてもわかりやすく解説している。最後に不動産投資や土地、建物、税金などについての指標や専門用語などの説明集が付いていることも、不動産投資の初心者にとっては強い味方だ。

大城幸重氏は東京や京都、海外などに不動産9棟35室を2017年現在で保有しており、賃貸不動産経営管理士の資格も取得している。

Q&A形式で素朴な疑問を著名不動産投資家に質問

初心者を代表して「不動産投資」について教わってきました!
(金川顕教著、サンライズパブリッシング/2017年12月17日発売/171ページ/1512円)

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不動産投資を始めたばかりの著者が現役の著名な不動産投資家に、さまざまな不動産投資の疑問や質問を投げかける。

例えば、自己資金がなくても不動産投資を始める方法があるのかどうかや、人口減少社会の日本で不動産投資を始めるメリットとデメリット、どのエリアで物件を選ぶのがポイントなど、多くの不動産投資初心者の疑問について解答が得られる一冊となっている。

購入した物件は最終的にどのように運用するのが得策なのか、また不動産業界の今後についても説明されている。本の中では「2期黒字で規模拡大を目指そう」や「金利は高くてもそれほど心配ないって本当?」などが見出しのコラムも。

著者の金川顕教氏は1986年生まれで、若手起業コンサルタントとしても活躍している。本著のほかに『時給思考─1時間で10倍の成果を生み出す最強最速スキル』(すばる舎)、『短期トレードからICOまでぜんぶわかる!仮想通貨投資入門』(秀和システム)など。

不動産投資のトラブル65事例を法律面から考える一冊

大家さん、その対応は法律違反です!~不動産投資の法律トラブルと対策Q&A
(岡田のぶゆき、福岡寛樹著、ぱる出版/2017年11月10日発売/224ページ/1620円)

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不動産投資のトラブル集と対策をまとめた一冊。特に不動産投資において賃貸事業を行うとき、必要となってくる法律知識を網羅的に解説している。

本著ではケーススタディーとして不動産投資トラブルを65事例取り上げている。不動産投資をする際に覚えておかなければならない契約の基本的な知識や物件取得前後に起きやすいトラブルのほか、相続や離婚が絡む不動産トラブルについても説明している。全ての事例についてどう対策すればよいかも分かりやすく説明されている。

この書籍は、不動産投資の経験が10年以上ある岡田のぶゆき氏と、不動産関係のトラブルを数多く手掛けた実績をもつ弁護士の福岡寛樹氏の共著となっている。岡田氏は『低資金で高収益! [Airbnb]不動産投資戦略』(ぱる出版)などの著作も有名だ。

副業で不動産投資に成功したサラリーマン大家4人の物語

不動産投資でハッピーリタイアした元サラリーマンたちのリアルな話
(玉崎孝幸、hiro田中、アユカワタカヲ、桜木大洋著、青月社/2017年11月1日発売/304ページ/1728円)

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4人の著者の不動産投資物語を掲載しているほか、最後には不動産投資に関わってきた中で感じた本音をぶつけあう座談会の内容を掲載している。

最初に紹介されるのが、不動産投資歴6年で総資産2億円を有するに至ったキャリアコンサルタントでもある玉崎孝幸氏のストーリー。最初に始めた不動産投資は20%程度の利回りが見込まれた戸建住宅で、その後は都心から離れた地方で1棟物件の運用に挑戦していった流れが説明されている。

家賃収入だけで6000万円を超える収入をもつ薬剤師のhiro田中氏の逸話も興味深い。投資歴10年で民泊から福祉までさまざまなジャンルの不動産投資を手掛け、総資産4億円を築くまでに至ったという。

区分マンションを不動産投資対象に据えて、勤めていた企業を定年退職後も不動産投資の成功を続けるアユカワタカヲ氏は、セミナーの人気講師でもある。自己資金ゼロから不動産投資5年で12億円も総資産を築いた桜木大洋氏の話にも注目したい。

「ハッピーリタイア」をテーマにした一冊は、副収入として不動産投資を始めようと考えているサラリーマンにとってもぴったりな書籍の中の一冊と言えるだろう。

高値で物件を売るための「空室対策」「満室対策」「出口対策」とは

不動産投資は空室物件を満室にして超高値で売りなさい
(尾嶋健信著、ぱる出版/2017年10月18日発売/224ページ/1620円)

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不動産投資として購入したマンション物件などを満室にし、価値を高めて高値で販売してキャピタルゲイン(値上がり益)を得る。そのノウハウを「空室対策編」「満室対策編」「出口対策編」の3部に分けて詳しく説明している。

例えば、購入時に2500万円だった空室率100%の物件を2カ月で満室状態にし、1カ月後に4000万円で売却したり、購入価格9500万円だった空室率42%の物件を3カ月後満室にし、3年後に1億4500万円で売却したりと、「尾嶋流」とも呼ばれる著者のノウハウで成功した事例が多く紹介されている。

空室対策編では「満室スターチャート」の使い方や決めパターンの重要性、満室対策編では入居者の退去を減らす仕組みや完全遠隔操作の満室経営の方法、出口対策編では値上がり益で得た現金で新たに物件を買うという継続的な不動産投資のコツを説明している。

著者の尾嶋健信氏は満室経営株式会社の代表取締役で、不動産管理会社に勤めていたころに空室対策のノウハウなどを身に付けた。ほかの著書に『満室スターNO養成講座』(税務経理協会)や『たった18日で次の入居者が決まる! 満室革命プログラム』(Kindle版)(SBクリエイティブ)など。

不動産投資での失敗を防ぐためのトラブル事例を紹介

アセットマネジャーの着眼力 間違いだらけの不動産投資
(佐々木重徳著、中央経済社/2018年2月28日発売/240ページ/1944円)

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不動産投資での失敗を防ぐために必要な知識などを網羅的に解説している。専門用語などを極力使わずに不動産投資について説明しているため、初心者でも読みやすい一冊になっている。

本書では特に、少子化による空室リスクが指摘される中でも人気が続くアパート経営の特徴について説明している。2015年の相続税増税以後は有効な節税対策としてアパート経営などに注目が集まっているが、結果として節税以上の損失を出してしまうこともある。

そんな失敗を防ぐために、高利回り物件の実際の収益性やワンルームマンション投資のノウハウなどを説明している。書籍の後半では入居者とのトラブルの具体例やリノベーション事例などについても説明している。

著者の佐々木重徳氏は、不動産鑑定士と税理士、宅地建物取引士の3つの資格を有する。税理士法人や証券会社での勤務を経て、不動産投資事業などに従事している。本著のほかに『顧問税理士が教えてくれなかった 相続税対策になる不動産投資』(中央経済社・共著)などがある。(岡本一道、金融・経済ジャーナリスト)