日経平均予想レンジ21,367~22,000円

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=FreelySky/Shutterstock.com)

今週は米中貿易摩擦問題が尾を引く中、トランプ大統領のツイッターによる特定企業の批判報道が嫌気された。日経平均は不安定な米国株の流れを引き継ぎ、21,056円まで下落した。その後、米中間の交渉次第で貿易戦争が回避されるとの見方が広がり、3/16以来、約3週間ぶりの高値を付けた。

海外の焦点

米通商代表部(USTR)が中国製品に対する関税措置について2カ月の猶予を示したことで、今後米中の対話が進み貿易戦争は回避されるとの期待が高まる。一方で、中国は米国からの輸入品106品目に25%関税をかける措置を表明した。これは中国産の鉄鋼とアルミニウム製品の新たな関税措置の発動に対し、対米貿易戦争も辞さない報復措置といえる。ただ、市場では「通商をめぐる米中の落とし所は交渉次第では現実路線でまとまる」との楽観的な見方も指摘されている。

又、米国株が波乱の一因となった背景には、トランプ大統領がツイッターで繰り返しアマゾンドットコムを批判したことにより、相場上昇を牽引してきたフェイスブックなどハイテク株が軟化したことが全体相場に影を落としたといえる。NYダウは一時2月安値23,360ドルを割り込んだが売られすぎの反動もあって24,500ドル台へもち直した。

国内の焦点

2日発表した3月調査の日銀短観は、大企業製造業のDIが+24となり、昨年12月調査より2PT悪化した。DI悪化は2016年3月調査以来2年ぶりとなる。原材料価格の高騰や素材産業を中心に企業心理が悪化した上、米国の保護主義に対する懸念も影響したと見られる。3カ月後の見通しは、円高進行や貿易摩擦への警戒感から+20と現状判断より更に悪化した。又、2018年度の想定為替レートは109円66銭と、2017年の110円67銭より円高方向となった。大企業の2018年度の経常利益計画は減益見通しを想定するなど、先行きを慎重に見極めている。

テクニカル面では、2/27の戻り高値22,502円からの上値切り下げのダウントレンドが終盤を迎えつつある。3月後半から200日線を挟んだ動きが目立っていたが、4/5に上抜けた事で上昇転換への兆しが見えてきた。ただし、1/23高値24,129円を天井とする上値切下げトレンドを脱出するには、少なくとも3/13終値21,968円を明確に上回る必要が求められる。一方再び200日線を割り込むと下方リスクが意識され、下値は心理的な節目の21,000円となる。

来週の株式相場

以上、来週は投資環境の改善期待を背景に反発余地を探る局面となろう。懸念される5日、200日線とのデッドクロスは目先ダメ押しとなる可能性が考えられる。日経平均のレンジは、上値は節目の22,000円が意識され、下値は200日線21,367円が目処となる。

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト