不動産投資は、他の金融商品に比べて難易度が高いといわれることがあります。投資対象を自分で探す必要があったり、銀行から融資を受けたりと、作業がたくさんあるのが一つの理由です。

一方、そうした不動産投資を行う投資法人に出資する形となるのがREITです。不動産投資とREITは似ているようで全く別物なので、投資方針を基にどちらにするか、あるいは両方やるかを検討することになります。不動産投資とREITを比較し、両者のメリットとデメリットを明らかにします。

そもそもREITとは?

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(画像=Constantin Stanciu/Shutterstock.com)

REIT(リート)とはReal Estate Investment Trustの略で、いわゆる「不動産投資信託」を指しています。もともとアメリカで誕生した仕組みであるため、日本のREITをJ-REITと呼ぶこともあります。

不動産投資信託ですから、一般の投資信託と仕組みはほとんど同じです。投資家から集めたお金を、住宅施設や商業施設に投資することで運用します。不動産の売却益や、住宅施設から得られる家賃収入の一部分を、投資家に分配します。

投資信託がたくさん存在するように、ひとえにREITといっても数多くの種類があります。例えば、東京や大阪など特定の地域に集中して投資するか・複数地域に分散して投資するか、特定の業種の施設に特化して投資するか・まんべんなく投資するか、などREITによって特色があります。

要するに、一般的な不動産投資は投資家自らが直接的に現物の不動産にお金を出すのに対し、REITへの投資は投資法人を介して間接的に不動産にお金を出すことになります。

不動産投資にはないREITの魅力

投資形態が違うため、REITには不動産投資と異なる魅力があります。例えば、REITの多くは証券取引所に上場されており、株式と同じように売買ができます。不動産を管理する手間も必要ありません。不動産に直接投資するより、手軽に投資できるのがREITの特徴といえるでしょう。

投資金額が不動産投資より少ないのも、REITの魅力的なポイントです。不動産投資の場合、銀行から融資を受けて数千万円や億を超える単位のお金を動かし、不動産を購入することになります。それに対し、REITなら数十万円から投資が可能です。現金が必要になれば、すぐに売却できます。「いきなり大きなお金を出すのは不安だ」と考える投資初心者にとっても、投資しやすいでしょう。

REITでは、複数の不動産に分散投資するのと同じような「リスク分散効果」が得られます。一般的な不動産投資ですと、いくつも不動産を購入して運用するのはなかなか困難です。REITであれば、個人では難しい分散投資を可能にしてくれます。

以上のように、手軽な不動産投資を体験できるのがREITの魅力です。

REITにない「レバレッジ」「節税」

不動産投資にないような長所がある一方で、不動産投資の妙味をREITでは得られません。その代表例が、融資によるレバレッジ効果や節税メリットです。

不動産投資を行う場合、よほどの大富豪でない限り、自分の資金だけで物件を購入するのは難しいでしょう。大多数の投資家は、銀行からの融資を活用することになります。

一般的に、「融資=借金」に対してネガティブな意識を持つ人が多いのですが、投資へ活用する分には必ずしもネガティブな意味を持つわけではありません。借りたお金を単に消費するのとは違うからです。むしろ、自己資金だけでは買えないような物件を購入し、そこから利益を上げられます。融資を活用して所有する資産を大きく膨らませられることから、「レバレッジが効く」という言い方がよくされます。

次に、減価償却などの経費を計上することで利益を圧縮し、所得税や住民税の節税につなげられるのも不動産投資ならではのメリットです。例えば、5,000万円ほどの物件の場合、実際に毎年お金が出ていかなくても、200万円ほどを減価償却費として経費にできます。

他にも、物件の管理費や情報収集のための交通費・旅費など、不動産投資に関連する費用はすべて経費となります。仮に不動産投資が赤字になったとしても、その赤字分を「損益通算」として本業の所得から差し引くこともできます。

このように、融資によるレバレッジを効かせて大きなスケールの資産運用ができること、そして節税にも大いに活用できることが、不動産投資の魅力といえるでしょう。

自分でコントロールできる不動産投資

総じて、不動産投資は単なる投資というより「事業」です。投資家は、事業主として物件の選定や運営を行うことになります。自分の手で資産運用したい、大きなスケールで投資に取り組みたいと考える投資家にとっては、REITよりも不動産投資の方が魅力的に感じられるでしょう。

もちろん、自分でコントロールできる範囲が広いだけに、責任やリスクも大きくなります。よい物件を見極める選定眼が求められますし、購入後も長く建物を管理していく必要があります。入居者との交渉もあります。営業、マーケティング、プロジェクトマネジメントなどといった仕事力が、不動産投資においては鍵となります。

したがって、初心者がいきなり不動産投資をはじめるのは避けた方が無難かもしれません。まずは、不動産会社やファイナンシャル・プランナー、税理士など、不動産やお金の専門家に相談し、広く情報収集を行いましょう。不動産投資において重要なのは、事前の綿密な準備です。(提供:Incomepress


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