森友学園問題は日本の政界を揺るがす一大スキャンダルとして、国外でも広く報じられている。次々と明るみに出る新事実が波紋をますます広げる中、世界中がこのスキャンダルに注目している。

見出しには、「改ざん(tempered)」「辞任(resignation)」といった単語を並ぶウォーターゲート事件にかけて「アベゲート(Abegate)」と表現したり、「学園(school)」にかけて「安倍首相の敗北(get schooled)」などと茶化したりする報道もある。

一連の騒動が安倍政権のほころびをあらわにし、安倍政権に終止符を打つ危険性を秘めている点に関しては、いずれのメディアも共通している。

安倍政権の「ほころび」報道、2017年から

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(画像=Getty Images)

国外メディアは2017年春頃から、森友学園問題を取り上げていた。

ロイターは当時、日本の首相として最長の在任期間に挑み、着実に憲法改正の実現に進んでいたかのようにみえた安倍首相の行く末に、暗雲が立ち込めていると報じた。コロンビア大学ゲリー・カーティス名誉教授は安倍内閣で急速に拡大するほころびを指摘。安倍首相の任期継続を予想する一方、「以前ほど確実ではない」と述べた(ロイター2017年6月22日付記事)。

ガーディアン紙は、森友学園を「超国家主義の幼稚園(ultra-nationalist kindergarten)」と表現。安倍首相と昭恵夫人のスキャンダル関与疑惑を報じるとともに、世論調査では安倍首相の支持率が約50%を維持している点も伝えた(ガーディアン紙2017年3月27日付記事 )。

この時点では、時間が経過するにつれスキャンダルの勢いが弱まる、あるいは安倍首相が何とかして切り抜けるのではないかと受けとめられていたのではないだろうか。

ニクソン大統領を辞任に追い込んだ「ウォーターゲート事件」ならぬ「アベゲート」

しかし時間の経過するにつれ、スキャンダルの波紋はさらに広がることとなる。

一部の欧米メディアは一連の騒動を、1972年6月にワシントンDCで起きた「ウォーターゲート事件」と重ね、「アベゲート」と名付けている。「ウォーターゲート事件」は米大統領選挙をめぐり、ワシントンのウォーターゲートビル内の民主党全国委員会本部に、盗聴器を仕掛ける目的で5人の男が侵入した事件である。

犯人はニクソン大統領の再選を支持する共和党一派で、ホワイトハウスが関与を否認するも、ワシントンポスト紙の追求によって、もみ消し工作が発覚し、ニクソン大統領の辞任という形で幕がおりた。

「アベノミクスに終止符」?麻生副総理兼財務相との摩擦

「アベゲート」について立て続けに報じているブルームバーグは2018年4月6日 、JNNニュースが3月に実施した世論調査で安倍首相の支持率が過去5カ月で初めて50%を下回ったと報じた。「国民は、スキャンダルに対して、より細かな説明を求めている」とも指摘した。

ブルームバーグは別の報道で、今回のスキャンダルが「アベノミクスに終止符を打つかもしれない」とし、安倍首相が麻生副総理兼財務相に問題の追及を求めていることを伝えた。

テネオ・インテリジェンスのアナリスト、トビアス・ハリス氏は、安倍首相と麻生副総理兼財務相に摩擦が生じる可能性について推測している。安倍総理が保身のために、「森友学園問題には直接関与していないと思われる麻生副総理兼財務相」を見捨てるような動きにでた場合、麻生副総理兼財務相はライバル政権側に寝返り、アベノミクスに終止符を打つのではないか」と述べている。

ハリス氏によると「麻生副総理兼財務相は安倍総理の熱心な支持者ではない」という(ブルームバーグ2018年3月13日付記事 )。

不正を見逃す日本の寛大力が問われる?

フィナンシャルタイムズ紙は、森友学園問題によって「不正を見逃す日本の寛大力が問われる」と皮肉めいた見出しとともに、国民の憤慨が膨張するにつれ、安倍首相の政治家生命に危機が迫っているとの見解を示した(フィナンシャルタイムズ2018年3月22日付記事)。

同紙はスキャンダルが立ち消えになり、国民の支持率が回復する可能性を認める反面、「あらゆる世論調査は、国民の信頼低下を示している」と報じている。

2016年のリオ・オリンピックの閉会式で任天堂の人気ゲームキャラクター、マリオに扮して世界中から喝采を浴びた安倍首相だが、2020年に開催される東京オリンピックまで首相であったとしても、あのような自信に満ちた姿はみられないだろう。

流行語となった「忖度」を国外メディアがそのまま使用

「忖度(Sontaku)」という日本語をそのまま報道に使う欧米メディアも多い。日本では「ユーキャン新語・流行語大賞」の2017年の年間大賞にも選ばれたが、流行して初めて忖度という言葉をしった人も少なくないだろう。

これは欧米メディアの記者が多数参加した2017年3月23日の記者会見で、安倍首相や昭恵夫人の直接的な口利きがあったかどうかという問いに対し、森友学園籠池泰典理事長が「直接ではなかったが(周囲の)忖度があった」と答えたことから、一気に国外に広まった。

デジタルメディア「Quartz」は森友学園問題そのものよりも、「改ざん(falsified)」「抹消(deletions)」「書き換え(rewritten)」といった、日本のメディアを通して入り乱れる「用語の戦闘(battle of terminology)」を取り上げた。また「忖度」が流行語に選ばれたことについても触れている。

フィナンシャルタイムズ紙は報道の中で、「忖度論争(sontaku argument)」という言葉を使った。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

※誤訳がございましたので一部修正しております。