日経平均予想レンジ22,350~22,868円
大型連休中、海外での重要イベントは無難に通過した。米国株上昇や円安基調継続など外部環境の落ち着きを背景に、日経平均は決算発表佳境の中、22,500円を挟んだ膠着相場に推移したが、週末は2/5以来の高値水準(22,700円)を回復した。
海外の焦点
2日のFOMCでは、金融政策の現状維持を決め追加利上げを見送った。声明文で「さらなる利上げが正当化される」と言及し、早ければ6月中旬の次回会合で追加利上げに踏み切る考えを示唆した。ただ、FRBの利上げが行き過ぎればGDPの7割を占める個人消費を弱めかねず、足元の景気の寿命を縮める恐れが指摘されている。
一方、4日発表の4月雇用統計は、失業率が前月から0.2pt低下して3.9%となり、雇用者数は前月比16.4万人増加した。課題の賃金上昇率は前年同期比2.6%増に伸び悩んでおり、利上げペースの加速懸念が後退してきたとの見方が広がっている。
懸念された中東情勢はトランプ大統領が欧米など主要6カ国とイランが2015年に結んだ核合意から離脱すると発表。これを受けて中東で軍事的な緊張が高まるとの警戒感が強まった。イランのロウハニ大統領が当面は米国を除く5カ国との核合意に留まる意向を表明。市場では「中東情勢がすぐに緊迫化するわけではない」との見方から、事前にある程度織り込みが進んでいたため、株価への影響は限定的であった。ただ、今後は米国がどのような制裁措置を行うかや、中東情勢や原油価格にどの程度影響するかなど見守る動きは続きそうだ。
国内の焦点
テクニカル面では、2014年以降5月相場は4年連続で陽線足を引いている。好決算や新年度運用資金の流入に後押しされてパフォーマンスは悪くない。しかし、6月以降の株価傾向は短期調整に入り、7月は一旦自律反発はするものの、8、9月は8%程度の下落が見られた。中でも2016年は12%安を記録する急落に見舞われている。
今後は業績のピークアウト感や米中貿易摩擦の行方、国内の政治情勢など不透明要因を抱えている上、米国の格言で「セル・イン・メイ」も潜在意識として働きやすいだけに5月の高値を積極的に買い向かう投資家の動向が焦点となる。
来週の株式相場
以上、来週は6/12に予定されている米朝首脳会談には楽観的な見方が支配的になりつつある中、中東情勢や原油価格、米金利動向への警戒感は根強く、綱引き相場の様相を強める展開と捉えている。日経平均のレンジは3分の2戻りの22,868円が意識され、下値は5/7安値22,350円が目処となろう。
伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト