はじめに
運用手法には大きく分けてアクティブ運用とパッシブ運用(インデックス投資)がある。このうち、マーケット指数と連動した投資を行うパッシブ運用は、仕組みのわかりやすさも手伝って幅広い投資家から支持を集めている。半面、専門家からは金融市場全体へマイナスの影響も与えかねないとの懸念も指摘されている。
パッシブ・ファンドの人気
アクティブ運用はファンド・マネージャーが経験と知識を生かして投資対象を選別し、市場平均以上のパフォーマンスを目指す手法だ。これに対し、パッシブ運用とは株式インデックス(指数)などに連動するように銘柄を保有し、市場平均と同様のリターンを狙う。
どちらが優れているのかという議論は以前から聞かれるが、最近ではパッシブ運用に対する支持が広がっているようだ。QUICK資産運用研究所が2017年12月に実施した、個人の資産形成に関する調査によると、運用方針別ではインデックス型(30.6%)がアクティブ型(13.7%)を上回った。コンサルティング会社のPwCは、パッシブ運用の市場シェアは2016年の17%から2025年までに25%へ上昇すると予想している。こうした人気の背景には、アクティブ運用のように投資先企業の調査などにコストをかける必要がないため手数料が割安なほか、積極運用を指向するアクティブ型のファンドが必ずしもインデックス型を上回る成績を継続して上げていないことを指摘する声がある。
パッシブ・ファンドが市場を席巻
ただ、こうした人気の陰で、パッシブ運用が市場全体に与えるマイナス面を危惧する声も出ている。投信投資顧問会社のピクテ・パートナーのルノー・ドゥ・プランタ氏は昨年、フィナンシャル・タイムズに寄稿したコラムで、株式のインデックス・ファンドが足元の伸び率で増え続けると、2030年には全上場銘柄を保有する可能性があり、その場合は同ファンドが自由市場経済にとって脅威になりかねないと警鐘を鳴らした。
インデックス・ファンドはマーケット指数に連動する仕組みのため、同ファンドに資金が流入すればするほど、時価総額(組み入れ比率)の高い企業の株式には業績を問わず、多額の投資資金が集まる。このため、株価が本来もつ、企業価値を測る尺度としての機能が失われ、「資本コストと信用力の価値判断が歪められる」(同氏)恐れがある。