昨日の海外時間には、トランプ大統領が米朝首脳会談の中止を発表したことから各国株価が下落し米長期金利が低下してリスク回避の動きで円買いが強まりました。しかしある程度予想されていたこともあって東京時間にはいってから急速に巻き戻されています。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

このところ開催が不透明感が高まっていた6月12日に開催される予定だった米朝首脳会談ですが、昨日突然トランプ大統領が「この時期に開催するのは適切ではない」として中止を通告する書簡を送ったことを発表しました。さらには「脅威に対処する用意はこれまで以上にできている」と軍事的選択肢をとる可能性に言及した一方で「北朝鮮が望む場合、(交渉に向けた)裏口はまだ開いている」とも言っています。またこれをうけた北朝鮮は「我々はいつでも向かい合って問題を解決する用意がある」として譲歩する可能性を示唆しています。米朝首脳会談の中止の報道を受けて為替市場では円買いが強まりましたが、こうした事態の可能性は数日前からわかっていたことや、一連のやり取り自体が交渉における駆け引きであるとの見方もあって、リスク回避の動きは限定的なものとなっています。今後も6月にかけて米朝首脳会談関係の報道で一時的にリスク回避が強まったり、逆にリスク回避が後退してドル円が上下する場面があると予想できますが、完全に決裂して軍事的な緊張感が高まらなければ今回のように限定的な反応になると考えます。

ドル売りを一旦利食って戻り待ち

昨日早朝に110.00円で作ったドル売りポジションですが、108円台での利食いを目指していましたが、108.90円台で2度下げ渋ったため、109.10円で利益を確定しました。引き続き方向感の定まらない相場が続くと予想して110.10円付近まで上昇すれんばドル売りポジションを作りたいと考えています。損切りは30銭程度です。

海外時間からの流れ

欧州時間序盤、各国株価が上昇する中、米長期金利も上昇してリスク回避が後退して円とドルが売られ、ドル円は109.70円台まで、ユーロ円は128.80円台まで、ユーロドルは1.1740台まで上昇しました。しかし、株価と米長期金利が伸び悩む展開となるとドル円は109.50円台まで、ユーロ円は128.30円台まで、ユーロドルも1.1700台まで反落しました。

NY時間にはいって、トランプ大統領が「北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に24日付の書簡で中止を通告」としたことからリスク回避が強まって各国株価が下落し、米長期金利が低下する中円買いが強まって、ドル円は108.90円台まで、ユーロ円は127.70円台まで下落しました。この間ユーロドルは1.1750付近まで上昇したあと1.1710台まで反落しています。

NY時間午後にかけて、各国株価と米長期金利が反発したことから、ドル円は109.30円台まで買い戻されました。この間ユーロ円は128.40円付近まで、ユーロドルも1.1740台まで反発したあとやや下落しています。

東京時間にはいってから、日経平均と米長期金利が堅調に推移していることから円売りが優勢となっています。

今日の予定

今日の海外時間には独・5月IFO景況指数、英・第1四半期GDP(改定値)、米・4月耐久財受注、米・5月ミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)の発表があるほか、パウエル・米FRB議長、カプラン・ダラス連銀総裁、エバンズ・シカゴ連銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp