お金を増やすためには、自分の収入を上げるだけでなくお金にも「働いてもらう」ことが重要です。そこで、「複利の力を理解して早い段階から資産運用に取り組むこと」がポイントになります。複利は、金利の計算方法であると同時に、日々努力することの重要性を示す大原則です。今回は、単利と比較しながら複利の意味について説明します。

複利は「ちりも積もれば山となる」の実現

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(写真=B Calkins/Shutterstock.com)

金利の計算方法には、単利と複利の2種類があります。単利とは元本(もともとのお金)だけに金利がつく仕組みで、複利とは元本に金利を加えた金額に金利がつく仕組みです。たとえば、1年で金利が年利10%つく金融商品を1万円分購入したとしましょう。この金融商品を放置して5年が経過すると、以下の通りとなります。

・単利
1万円+1万円×0.1×5年=1万5,000円

・複利
1万円×1.1×1.1×1.1×1.1×1.1=1万6,105円

このように、1年間ごとでみれば金利が変わらないにもかかわらず、単利と複利で1,000円以上の差がつくことになります。さらに、期間をより長くとると、両者の差はますます拡大します。詳しい計算は省略しますが、上記の例で30年間経過すると何と13万円以上の差がつき、複利が単利の4倍以上の金額にまで膨れ上がるのです。

まさに、複利とは「ちりも積もれば山となる」という言葉を数字で体現した仕組みといえるのではないでしょうか。なお、「複利でどれくらいの金額になるか」は、暗算では計算するのが困難です。大まかな金額を把握するために、「72の法則」を覚えておくとよいでしょう。これは、元本が2倍になる時期を知るための簡単な計算式です。

72を利率で割ると、その時期が求められます。たとえば、利率が10%であれば72÷10=7.2なので、7年強経過すると元本が2倍になります。この式を覚えておくと、複利の計算をするのに便利です。

複利で資産運用も自己投資も効率アップを実感

資産運用をする際は、複利の力を最大限活用したほうが投資効率としては良いことが分かります。資産運用のコツの一つは長期運用なのですが、これも複利の力を長く享受するためです。先ほどの例でも、5年間だけなら1,000円しか差がつかないのに、30年間だと13万円以上の差になります。

若いうちからコツコツとお金を貯め、積み立てる形で資産運用に回せば、資産運用に取り組まなかった人に大きく差をつけることができるのです。複利の力を知っていれば、資産運用以外にも役立てることができます。たとえば、目には見えない自己投資という部分でも、毎日少しずつ成長することで周囲に大きな差をつけることができるでしょう。

自分自身の仕事面の成長も、単利ではなく複利に近い面があります。今日0.1%でも成長すれば、明日は今日の1.001倍の自分になれますし、そこでさらに0.1%成長できれば明後日には今日の1.002倍になれます。こうやって毎日0.1%ずつ成長することを目標にすれば、1年後には約1.4倍、5年後には約5.9倍、20年後には何と約1,402倍にもなるのです。

もちろん、人間的な成長を数値に換算するのは難しいでしょう。売り上げや集客数など、ビジネスにおける数字は複利で上昇するわけではありません。しかし、毎日少しでも成長した自分が、どこかの段階でこうした数字として結果につながるとも考えられます。日々の努力によって、自分を複利で成長させることを念頭に仕事に取り組むとよいでしょう。

借金にも複利が関わる点に注意

複利は、収入や能力のみならず負の側面にも機能します。たとえば、借金の金利に複利が働くことで、軽い気持ちで借りたお金が、気づいたときには返しきれないほどの額に膨れ上がっていたということにもなりかねません。返せる見通しのない状態でお金を借りるのはなるべく避けることが重要です。また、お金を借りる必要のあるときでも、「72の法則」を活用して「いつどれくらいの額に増えるのか」について忘れないようにしましょう。

一方、自分の能力にも負の複利が働くこともあります。「面倒だから手を抜こう」というように、前日の自分より今日は少し後退してしまうことを積み重ねると、いつの間にかライバルだと思っていた同期の足元にもおよばなくなってしまうかもしれません。複利は、お金における大原則であると同時に、自分の人生を左右するような大原則でもあるのです。細かな努力をあなどらず、日々0.1%でも前進することを意識して生きるべきでしょう。(提供:Incomepress


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