金曜日の海外時間には、発表された独経済指標が弱い結果だったことから、リスク回避の動きで円買いが強まる場面もありましたが、各国株価と米長期金利が反発して円も売り戻されました。土曜日に閉幕したG7サミットで首脳宣言が発表された後にトランプ大統領が承認しないように、と指示したことから週明けのオセアニア市場では一時円買いが強まりました。
今後の見通し
週末まで行われていたG7サミットでは、一旦発表された首脳宣言を、直後にトランプ大統領が「承認しないように」と指示する異例の事態となりました。直接的な理由は、議長国カナダのトルドー首相がトランプ大統領が退席したあとの記者会見で「米国の関税押しつけは侮辱的だ。我々は断固たる対応を取る」と述べたことで、トランプ大統領はこのことを「非常に不誠実で意気地がない」と述べています。G7財務相中剛銀行総裁会合に続いて、首脳会合でも再びアメリカとそれ以外の国々との対立が浮き彫りになったことで、週明け早朝のオセアニア市場ではリスク回避の円買いが強まりました。しかし、こうした事態がある程度予想されていたものであったこともあって、日経平均が堅調に推移する中円は売り戻されています。
米朝会談前には手仕舞い
今週は、明日の米朝首脳会談を皮切りに、FOMC、ECB理事会、日銀金融政策決定会合と多くのイベントを控えていることもあって、方向性が日替わりになる可能性もあります。特に明日の米朝首脳会談は、成功に終わればリスク選好で円売り、物別れに終わればリスク回避で円買いになると考えられます。しかし会談に対する一定程度の期待があることから、今日のドル円は底堅く推移するとみられるので、109.30円付近で押し目買いをしたいと思います。損切りラインは109.15円割れと近くに置き、利食いも109.60円付近です。ただし米朝会談前には手仕舞います。
海外時間からの流れ
欧州時間序盤、発表された独・4月鉱工業生産が予想に反して前月比マイナスだったことなどから各国株価が下落、米長期金利が低下する中、円買いとドル買いが強まって、ドル円は109.20円付近まで、ユーロ円は128.10円付近まで、ユーロドルは1.1720台まで下落しました。
NY時間にかけて、各国株価と米長期金利が反発に転ずると、円とドルの売り戻しが優勢となって、ドル円は109.60円付近まで、ユーロ円は128.90円台まで、ユーロドルは1.1770付近まで上昇しました。その後NY時間引けにかけては各通貨ペアとももみ合いとなりました。
週末まで行われたG7サミットでは、「ハンブルクG20サミットの貿易に関する結論に再度コミットし、特にルールに基づく国際的な貿易システムが極めて重要な役割があると強調し、保護主義と引き続き闘う」との首脳宣言が出されましたが、その後トランプ大統領が「私は米国の代表団に首脳宣言を承認しないよう指示した」とツィートしました。そのことから週明け早朝のオセアニア市場ではリスク回避の円買いが強まりましたが、日経平均が堅調に推移していることから円は売り戻されています。
今日の予定
今日の海外時間には英・4月鉱工業生産、英・4月貿易収支の発表が予定されています。
(提供:FXプライムbyGMO)
高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp