結婚しない男女が増えている。総務省の2015年国勢調査によると、30~34歳の未婚率は1985年に男性28%、女性10%だったのに対し、2015年には男性47%、女性34%と、各段に増加している。結婚と言えば、よく出てくるのが「お金に対する不安」だろう。そこで結婚とお金の関係性を解説していこう。

未婚女性が結婚相手に求めるのは「経済力」

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(画像=PIXTA)

まずは未婚女性の結婚に対する考え方から見てみよう。国立社会保障・人口問題研究所が2015年に実施した調査によると、結婚相手に求める条件の中で、「経済力」は約4割が「重視する」と回答しており、「考慮する」という回答を含めると、回答率は90%を超える。この結果は1997年の調査から微増しているものの、さほど大きくは変わっていない。いつの時代も女性が男性の経済力を気にする、というのは変わらないようだ。

一方、「結婚の利点」として経済力を挙げる割合は年々順調に増加している。1997年時点では約10%程度だったが、直近の調査では20%を超えているのだ。女性の結婚に対する意識として、「結婚相手は経済力がある人がいい」、さらに「結婚することで経済的に余裕を持ちたい」というものがあることが分かる。

未婚男性は女性の経済力をどれくらい気にするのか

それでは、未婚男性は結婚において経済力をどのように考えているのだろうか。

未婚男性が結婚相手に求める条件で、経済力を重視すると回答した人は、いずれの年も約5%と低い水準になっている。しかし、「考慮する」まで含めると、1997年時点では約30%だったものが、2015年には約40%にまで増加しているのだ。しかも、ここ10年のあいだに大きく増加している。男性においても、結婚相手の経済力が気になる社会になってきていると言えよう。

さらに面白いデータがある。未婚男性がパートナーに臨むライフコースとして、専業主婦を希望する割合が年々減少している。1987年時点では約40%の未婚男性がパートナーに専業主婦を希望していたが、1997年時点では20%、そして直近の調査では10%程度と、約1/4に減少しているのだ。一方、未婚女性が「理想のライフコース」として専業主婦を選ぶ割合は、1997年から18%前後と特に変化はしていない。これは男性が自身の経済力のなさから、女性にまで経済力を求めるようになった証左であるといえるのではないか。

変化したのは「未婚男性」の結婚に対する意識

これらの調査から分かったことは、ここ30年、未婚女性の結婚に対する経済的な価値観は変わらず高いが、未婚男性の結婚に対する経済性の割合が増加した、といえるだろう。では、このように意識が変わってきたのは、いったいなぜだろうか。

背景としては「婚活ブーム」というものがあるだろう。2008年頃から「婚活」という言葉をよく聞くようになった。昨今はマッチングアプリなどの浸透もあり、まず女性が男性を「スペック」で選ぶようになった。スペックで選ぶと、高年収であることがわかりやすいポイントとなる。逆に年収が低いと、それだけで足切りされてしまう可能性もある。

加えて、日本社会の賃金が上がらない構造が、特に経済力に不安のある男性を結婚から遠ざけているといえよう。インターネットでの出会いが簡単になった弊害が起こっていると言えるのかもしれない。

男女ともに経済力を重視する婚活市場

ここ10年ほどで結婚における経済力の意味合いが変わってきている。といっても女性の心理にほとんど変化はなく、男性が、より「経済力」を重視するようになってきているのだ。

背景として、賃金が上がらない社会構造や、「婚活ブーム」によりスペック婚が顕在化してきたことで、経済力がない男性が自信を無くしてしまったことがあるかもしれない。逆にいえば、女性が「経済力を気にしない」ことを明言すれば、それだけで婚活市場で優位に立てる可能性もあるだろう。(ZUU online 編集部)