企業の平均寿命は約30年と言われている。そのような厳しい環境の中でも、創業100周年を超える「100年企業」は2012年で1,960社を超えているため、「日本には老舗企業が多い」という点は海外からも注目されている。
毎年約10万社もの新企業が生まれており、企業間競争は今後も激化し続けるだろう。時代の変化や組織内外の環境変化を乗り越えて、100年以上企業を継続させるのは生半可なことではない。
ここでは、100年企業の本業との向き合い方や、企業が生き残るために必要な力を紹介していく。

創業から本業が変化した企業の割合は47.7%

value
(写真=garagestock/Shutterstock.com)

帝国データバンクの調査によると、創業時から本業が変化していない企業は47.1%、変化した企業は47.7%と、約半数の企業が本業の変化を経験しているという結果になった。また、今後10年間で本業が変わる可能性がある企業は47.8%となっており、本業の変化を視野に入れている企業は多い。

業種別にみると、本業が変化している企業としては電気通信、放送、出版・印刷が多く、テクノロジーの進化という外部要因の変化へ柔軟に対応していることが分かる。

本業が変化していない業種は医薬品・日用雑貨品小売、旅館・ホテル、教育サービスに多く、時代の流れに関わらず普遍的なサービスが求められる企業が多い。

江戸期以前から続いている企業については、半数以上の56.3%が本業を変化させず守ってきたという。一方で、今後10年で本業が変化する可能性があると回答した企業は42.2%となっており、本業を守りつつも新しいことにチャレンジする姿勢が浮き彫りとなった。

本業の変化と考えられる要因

本業が変化したきっかけは、半数以上の50.4%が「本業以外の事業の拡大」と回答している。「本業の競争激化・競争力低下」「本業の市場縮小」も4割と多い。

企業の経営を取り巻く環境は、経済のグローバル化やテクノロジーの進化など、常に構造変化が起きている。その中で企業を存続していくためには、本業に経営の軸を置きながらも、本業以外の新規事業を常に模索し、競争力があり市場を維持・拡大している分野へ進出することが重要になるのだ。

本業を重視しすぎるとイノベーションが生じない

本業を重視しすぎることで、時代の流れに乗り遅れ、赤字に転落してしまう企業も後を絶たない。

大手百貨店である三越伊勢丹ホールディングスは、2018年3月期決算で純損益が9.6億円の赤字に転落したことを発表した。小売業界はAmazonなどインターネットショッピングサイトの台頭により、どの企業でもデジタル化の推進が進んでいる。しかし、三越伊勢丹ホールディングスは2018年3月期の中間発表時にデジタル化への決意を打ち出しており、 遅きに失してしまっていると言えるだろう。

百貨店をはじめとする小売業界が当たり前のように行っている、取り扱い商品をインターネット上で検索できるシステムも、2018年5月に開催された3月決算発表でようやく取り組みを開始したと宣言した。

従来の本業の取り組みに執着してしまうことで、イノベーションが生じず時代に取り残されてしまい、赤字に転落してしまう事例であると言えるだろう。

時代や環境の変化に対する変革力が長寿企業の秘訣

企業競争に勝ち抜き、100年企業となり成長を続けるための秘訣は、時代や環境の変化に対する変革力である。創業から掲げている理念や信用力は変えずに守り抜き、時代のニーズに合わせて製品・サービスを改良していく。これこそが、長期的に成長し続ける企業となるための鍵になるのだ。

イノベーションを起こすと言っても、本業から全く別の業界に進んでいくことだけが正解ではない。創業時の伝統を現代に生かし、時代の変化に合わせて本業を改善していくことが大切になる。

創業時からの本業を変化させるのは恥ずかしいことではない。成功するには、本業を守りつつ、新たなチャレンジを続けていくことが必要なのだ。時代を生き抜き、100年企業となるためにも、本業との向き合い方を正しく理解してイノベーションを起こしていこう。(提供:百計ONLINE


【オススメ記事 百計ONLINE】
後継者問題解消、3つのパターン
事業承継税制の活用で後継者へのバトンタッチをスムーズに
相続税対策に都心の不動産が適している理由とは
長寿企業に見る、後継者育成と「番頭」の重要性
中小企業の事業譲渡としての秘策・従業員のMBOについて