昨日の海外時間には、FOMCが大方の予想通り0.25%の利上げを決定しました。公表された金融政策見通しでは、年内の利上げがあと2回見込まれていたことからドル買いが強まりましたが、パウエルFRB議長が「インフレが2%超えても過剰反応しない」と述べると上昇幅を縮小しました。その後WSJ紙が対中国の追加関税を発動する準備、と報じるとドル売りが強まって、ドル円はFOMC発表前の水準を割り込みました。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

FOMCでは大方の予想通り0.25%の追加利上げが決定されました。この決定はほぼ100%織り込まれていたことから相場に与えた影響は少なかったと考えられますが、同時に公表されたドット・チャートで、年内の利上げ予想の中央値があと2回と前回までよりも1回多くなっていたことからドルが買われました。声明文も全体的にはややタカ派よりとなっていましたが、パウエルFRB議長は会見で「インフレが2%超えても過剰反応しない」と述べたことからドルは上昇幅を縮小する動きとなりました。さらにNY時間終盤に、WSJ紙が「米政権は15日にも、数百億ドル規模の中国輸入品に対して関税を課す方向で準備を進めている」と報じると、米中貿易戦争懸念で各国株価が下落する中ドル売りが強まって、ドル円はFOMCによる利上げ発表前の水準を割り込んで下落しました。

今晩はECB理事会が開催されますが、現在9月までの予定で行っている月額300億ユーロの資産買いれを、月額150億ユーロに縮小した上、12月まで延長することが決定されると見られています。その上で12月末で資産買入れを停止するのか?などが決定されるかが注目点となっています。また来年のいずれかの時点で利上げを開始することが示唆される可能性もあります。ユーロは買われやすくなていると見られ、ECBの決定を受けて一段高となると予想できます。

ドル円は利益確定、新規にユーロドルの買いポジション

一昨日110.25円で作ったドル買い円売りのポジションですが、FOMC後の上昇が止ったことから110.60円で利益を確定しました。今晩のECB理事会での決定を受けてユーロ買いが強まると見て1.1790でユーロ買いドル売りのポジションを作りました。損切りラインは1.1760です。

海外時間からの流れ

欧州時間、特段の材料はありませんでしたが、ややドル売りが優勢となって、ドル円は110.50円付近まで下落し、ユーロドルは1.1770付近まで、ユーロ円も130.10円付近まで上昇しました。

NY時間にはいってもドル売りは続き、ドル円は110.30円台まで下落し、ユーロドルは1.1790台まで上昇しました。

NY時間午後、FOMCが大方の予想通り0.25%の追加利上げを発表しました。同時に公表された所謂ドットチャートでは、年末まであと2回の利上げが予想されていた(これまではあと1回)ことからドル買いが強まって、ドル円は110.80円台まで上昇し、ユーロドルは1.1720台まで下落しました。しかし米長期金利が伸び悩む展開となってドルが上げ幅を縮小する中、パウエルFRB議長が会見で「インフレが2%超えても過剰反応しない」などと述べたことからドル円は110.40円台まで反落し、ユーロドルは1.1790台まで上昇しました。さらに、WSJ紙が「米政権は15日にも、数百億ドル規模の中国輸入品に対して関税を課す方向で準備を進めている」と報じると、ドル売りが強まって、ドル円は110.00円台まで下落し、ユーロドルは1.1800台まで上昇しました。

今日の予定

今日の海外時間にはECB理事会が開催され、ドラギECB総裁の会見があるほか、独・5月消費者物価指数(確報値)、英・5月小売売上高指数、米・5月小売売上高、米・5月輸入物価指数、米・新規失業保険申請件数の発表が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp