このコーナーでは毎週原則木曜日に実施しているMarket Talk(動画セミナー)のサマリをお届けします。

2018年6月14日(木)Market TalkのSummary

FOMCの今後の利上げについて

今回の利上げはマーケットの読みどおりだが、今年はそもそも年3回の利上げをFRB当事者は予想していた。それが昨日示されたドットチャートでは年4回になった。しかし年3回が年4回に増えたことをもってタカ派的だとはいえないだろう。3月のドットチャートでは、年3回が8人、4回が7人いた。今回は年3回が7人、4回が8人と1人動いただけの話だ。マーケットの見通しはほぼ年3.5回だったので、今年の利上げの回数は特段問題にはならないだろう。

問題なのは、2019年のFFレートの見通しが2.9%から3.1%になったこと。中立金利の見通し(長期の見通しで景気に対して過熱させるでもなく、かつ抑制してしまうでもない中立な金利のレベル)は2.9%で、3%を若干下回るところだろう、というのがFEDの考えだったが、来年はそれを上回ることになってしまう。中立金利を超える政策金利 ‐ すなわち引き締めになるということをマーケットは意識したのだろうと思う。

ただし、では引き締めではだめなのかというとそうではない。そのあと為替市場では、ドル円が一瞬110円85銭までいってすぐに110円30銭まで戻った。このように瞬間的にしか反応しなかったのは、マーケットは「利上げの終わり」を見ているということではないか。来年は3回の利上げだが果たして実際に3回利上げができるのかは分からない。仮に来年、中立金利を上回るところまで政策金利をもっていけば、当然景気にブレーキがかかる。それから先にいけばいくほど、金利は上がるがその上がり方がゆるくなってくる。そうなるといつかは中立金利にもどさなければならない、ということになると、今は足元は利上げペース加速といっているが、来年、その先をにらんだときは逆に利上げができなくなってくる。そろそろ利上げの打ち止めという話が今から出てきてしまっているのがドル高が長続きしなかった理由のひとつであろう。

そろそろ「景気拡大局面の終わり」の始まり ‐ この景気拡大も終わりに向かう中で、長いクロージングになるだろう。景気の最終局面にあるというところで、利上げもあと何回できるだろうか、失業率はどこまで下がっていくだろうかといったことに目を向けながら走るフェーズになってきていると思う。

ネットフリックスに代表されるようなサブスクリプションというモデルが時価総額の急増と共にマーケットで注目を集めていますが、今後の投資対象としての妙味はいかがでしょうか?

結局今はデータを制したものがすべてを制する時代で、ネットフリックスは、ネットにつなげてテレビを見るのでそこからデータが入ってくる、視聴者の好みのものが作れるということで急成長した。今は勝者総取りの時代なので大きいところはますます強くなっていく、今の勝ち組に素直にのっていけばよいという考え方もあるが、これからますます伸びるような成長企業に投資するほうが投資の醍醐味であろう。上場企業で若い有望な企業は玉石混合なので、プロに任せる(投資信託)のも手だ。

今週の重要イベント通過後の来週の展望をお聞かせください。何となく、月末や月始めになると弱くなるイメージがあるのですが・・・。

6月末は大きなイベントはないが、これから株主総会の集中シーズンに入る。総会を意識した自社株買いなどが出てきて、6月後半はあまり下げないだろう。また半期末で、決算も4-6月期の締めでもあるので、月末月初の動きは、6月・7月についてはいつもの月とはちょっと違うのではないかと思う。

軟調な景気敏感株、そろそろ仕込んでもいいでしょうか? 狙うならどのあたりがよいでしょうか?

技術力、ブランド力からみてコマツあたりではないか。景気敏感株というと素材、化学などにもよい企業はあるが、日立などのデータに絡むような企業もよいだろう。

広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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