昨日の海外時間には、ECB理事会で10月以降の資産買入れに関して、大方の予想通り12月までの延長と月額150億ユーロへの減額が決定されました。しかし「少なくとも2019年夏にかけて」政策金利が現在の水準に留まる、とされたことからユーロは一旦買われたあとすぐに売られ、ドル買いが強まったこともあってNY時間午後にかけてユーロは大幅安となりました。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

ECB理事会は、資産買入れを12月一杯で終了することを決定しました。このことは予想通りでしたが、利上げ開始の時期に関して「少なくとも2019年夏にかけて」政策金利が現在の水準に留まる、としたことでユーロが大きく下落しました。ドラギ総裁が会見で述べたように「不透明性が増す中」での決定だったことから、資産買入れ終了の影響を最小限に留めたいとの意識が市場の思惑とずれていた可能性があります。ユーロドルは7月以降この1.15台半ばで下げ止まって居ますので、今回もこの水準で下げ止まればレンジ内の取引が続くことになりますが、もしこの水準をはっきり割り込むとさらに数百ポイント下落幅を拡大する可能性が高まります。

ドル円の売りを検討

昨日ECB理事会での決定を受けてユーロ買いが強まると見て1.1790でユーロ買いドル売りのポジションを作りました。理事会後一旦は予想通りユーロ買いが強まりましたが、すぐに反落して発表時の水準を割り込んだことから、持ち値付近で決裁しました。ドル円は今週の高値圏での推移となっていますが、日銀金融政策決定会合後に高値を大きく更新しないようなら引き続きレンジ内の取引が続くと見てドル売り円買いのポジションを作ります。損切りラインは売った水準の30銭上です。

海外時間からの流れ

欧州時間序盤、ECB理事会を控えて各通貨ペアとも小動きが続きました。

その後ECB理事会は予想通り政策金利の据え置きを発表しました。同時に「10月以降、現在月額300億ユーロ行っている資産買入れを月額150億ユーロに減額した上12月一杯で終了する」としました。その為一旦ユーロ買いが優勢となって、ユーロドルは1.1850台まで、ユーロ円は130.30円台まで上昇しました。しかし政策金利について「少なくとも2019年夏にかけて、必要な限り現在の水準にとどまる」とされたことからユーロ売りが急激に強まって、ユーロドルは1.1710台まで、ユーロ円は129.00円台まで下落しました。この間ドル円は110.10円台までやや上昇しています。

NY時間にはいって、発表された米・5月小売売上高が予想を上回って各国株価が上昇してドル買いが優勢となる中、ドラギECB総裁が会見で「忍耐強く慎重で、粘り強いというのが総じてこの日の決定のトーン」「経済が好調を呈すると同時に不透明性が増す中で今回の決定を下している」などと述べたことがハト派的とされユーロ売りがさらに強まって、ユーロドルは1.1610台まで、ユーロ円は128.30円付近まで下落し、ドル円は110.50円付近まで上昇しました。

NY時間午後にはいってもユーロ売りとドル買いの流れが続き、ユーロドルは1.1560台まで、ユーロ円は127.80円台まで下落し、ドル円は110.70円付近まで上昇しました。

今日の予定

今日は、日銀の金融政策決定会合が開催されていますが、金融政策の変更はないと見られています。海外時間には米・6月NY連銀製造業景気指数、米・5月鉱工業生産/設備稼働率、米・6月ミシガン大学消費者信頼感指数、米・4月対米証券投資収支の発表が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp