日経平均予想レンジ22,316~23,122円

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=PIXTA)

今週は無難に終了した米朝首脳会談が朝鮮半島の安定につながるとの見方から安心感が広がり、日経平均は円安進行も追い風となり、5/22以来節目の23,000円水準を回復した。その後FOMCで利上げが決定されたことを受けた米国株安の流れを引き継ぎ、上値を抑えられた。週末は22,851円で終了した。

海外の焦点

米朝首脳会談前にトランプ大統領は「決裂も辞さない」と示唆していたことへの警戒感が台頭したが、会談が無事に終了したことで安心感が広がっている。トランプ大統領と金正恩委員長は、朝鮮半島の完全非核化を目指すことで合意。米政府は北朝鮮に体制保証を与えることを確約した。ただ、声明は具体的にどのように非核化を実現するのか詳細には触れていないほか、対北朝鮮制裁への言及や平和協定締結への言及もなかった。トランプ大統領は「極めて迅速に」非核化のプロセスが始まるとの認識を示した。市場では今回の会談は象徴的な意味合いしかなく、具体的な成果はなかったと分析しており、さらなる交渉が非核化という最終目標につながるかは不透明だとの見方は強い。

注目のFOMCでは、予想通り政策金利を0.25%引き上げ、年1.75%から2%への追加利上げを決定。又、同時に公表された経済・金利見通しでは、今年の利上げ想定回数が3月時点の3回から4回に引き上げられた。又、目標インフレ率2%の到達時期が19年から1年前倒しされた。パウエルFRB議長は記者会見で「景気が好調であることのさらなる証拠」と強調し、景気判断は「力強いペースで拡大」に上方修正した。ダウ平均は金利が上昇する中、企業業績が金利上昇に圧迫されるとの警戒感から上値は重い。

国内の焦点

テクニカル面では5/30安値21,931円から下値を切り上げ、節目の23,000円を回復する場面が見られた。中長期移動平均は上昇トレンドを維持している上、上方に位置していることで上昇余地を残していると捉えられる。2/5の窓23,122円を明確に上抜けば上昇に弾みがつき、5/21高値23,050円から5/30安値21,931円の下げ幅の倍返しに当たる24,169円がチャート上の目標値となる。一方、23,000円で跳ね返された場合、Wトップ形成で調整局面入りが懸念され、下方に位置する各移動平均線が下値目処として意識される。

来週の株式相場

以上、来週は米国での重要イベントを終了し、改めて米中貿易摩擦、米国の保護貿易政策、中東情勢などの動向を見極める展開と見ている。日経平均のレンジは上値は2/5窓埋め23,122円が意識され、下値は6/1窓埋め22,316円が目処となろう。

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト