昨日の海外時間には、東京時間に強まった米中貿易戦争を懸念しての円買いが巻き戻されてドル円は買戻しが優勢となりました。一方ドラギECB総裁の発言を受けてユーロ売りが強まりました。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

15日にアメリカが中国からの輸入品500億ドル相当に対する関税措置を発表したことに対し、中国が報復措置として同規模の関税措置を行うことを発表しました。中国がこの報復措置を実施した場合にはアメリカは追加的に2000億ドル相当の中国からの輸入品に対する関税を課す、としています。もしもそういった流れとなれば、当然中国もさらなる追加関税措置を取るとみられ、このままでは貿易戦争が実際に始まってしまう可能性が高くなっています。そのような事態となれば、米中はもちろんのこと、世界経済にとって非常に大きな影響が及ぼされ、各国株価に深刻な影響が出て、リスク回避の動きで円が大幅に買われる可能性があります。

110円のドル売りポジションを維持

現在は買戻しが優勢となっていますが、引き続き米中貿易戦争激化懸念を受けて円買いが強まる可能性が高いことから、昨日の海外時間に作った110.00円のドル円の売りポジションを継続中です。損切りラインは110.30円に置いています。

海外時間からの流れ

米中貿易戦争の激化を嫌気して、東京時間にはリスク回避で円買いが強まりましたが、欧州時間にはいるとドル買いが優勢となって、ドル円は109.90円台まで上昇し、ユーロドルは1.1530付近まで、ユーロ円126.60円台までは下落しました。この間ドラギECB総裁が「利上げの判断はインフレ率の上昇に合わせて「忍耐強く」かつ「段階的に」行う」と述べたこともユーロ売りを後押ししました。

NY時間にはいるとユーロは買い戻しが優勢となって、ユーロドルは1.1580台まで上昇しました。一方米長期金利が下げ止まったことから円も売り戻されドル円は110.10円付近まで、ユーロ円も127.60円付近まで上昇しました。

東京時間にはいって日経平均が寄り付きから下落したことから円買いが強まりましたが、日経平均が反発すると円も売り戻されています。

今日の予定

今日の海外時間には、独・5月生産者物価指数、米・第1四半期経常収支、米・5月中古住宅販売件数の発表と、ラウテンシュレーガー・ECB専務理事、ノボトニー・オーストリア中銀総裁クーレ・ECB専務理事、黒田・日銀総裁、ドラギ・ECB総裁、パウエル・FRB議長、ロウ・豪準備銀行総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp