貯金の習慣がない人にとって、貯金の継続はなかなか難しいものです。「将来が不安」といわれても、現状に不満がなければ積極的に節約しようというモチベーションがわかないかもしれません。しかし、統計的にも経験的にも、40代以降は貯金が難しくなっていきます。「給料が上がってから貯金すればいい」という考えでは、退職してからの生活が苦しくなるリスクもあるのです。今回は、20~30代の方に向けて、「貯金体質」の必要性と作り方について解説します。

40代から貯蓄率ダウン!30代までの重要性

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(画像=Elnur/Shutterstock.com)

一般的に、教育費や住宅ローンなどの負担が増すことから、子どもがある程度大きくなってからの貯蓄は難しくなるとされています。その一方で、子どもが生まれる前や幼いときには、親の収入がそれほど高くないと推測されます。教育費が必要になる前にある程度貯金できるのが理想ですが、現実はどのようになっているのでしょうか。

総務省統計局が毎年実施している「家計調査」では、黒字率という指標を用いて世帯の収支を示しています。黒字率とは、可処分所得から消費支出を引いた黒字額を可処分所得で割ることで算出されます。2017年の勤労者世帯における黒字率は、世帯主29歳以下で41.8%、30~39歳で35.5%、40~49歳で33.4%、50~59歳で26.2%と右肩下がりです。多くの人が退職する60~69歳で10.2%にまで落ち込みます。一方で、可処分所得は20~40代まで右肩上がりになっています。

つまり、40~50代にかけて収入の向上を経験する人が多いものの、出費も右肩上がりであるために貯金しにくくなることがうかがえます。このころの生活水準のまま退職を迎えるために、60代になって急激に黒字率が下がることも推測できます。

このようにデータを見ると、特に20~30代にかけて「貯金体質」を作ることが、とても重要であると分かります。生活水準を保ち、安定的に貯金できれば40~50代でもある程度家計収支の黒字を確保できるでしょう。しかし、計画的な支出の管理ができず、稼いだだけお金を使ってしまう生活が続くと、40~50代以降に急激に苦しい家計管理を強いられる可能性が強いです。

生活水準を落とすのは至難の業

一度上がった生活水準を落とすのは、とても大変です。家計調査のデータからも、本来可処分所得が最も高いはずの40~50代の黒字率が20~30代より低いことが見て取れました。前述の通り、60代になって黒字率が下がるのは、生活水準を落とすのが困難であることを意味しているといってもよいでしょう。

そのため、可処分所得が低い一方で出費も抑えやすい独身・DINKS(子どものいない共働き夫婦)の時期に、積極的に貯金ができるようにしましょう。そして、40代以降になって子どもが大きくなっても、生活水準を大きく上げるようなことをせず、少しでも貯金できるようにしたいところです。

特に、20代の独身時期から、結婚して子どもができるまでの時期は教育費や住宅ローンの負担がないため、収入のうちの大部分を貯蓄に回せるはずです。共働きしやすく、支出管理の自由度も高いので、貯金体質を身につけて貯蓄に励む必要があるでしょう。

子どもが生まれると、共働きが難しくなる一方で家族1人分の支出が増えるため、貯蓄は格段に難しくなります。家計調査のデータでは、30代でも30%以上の黒字率になっていましたが、経験的には30%を貯蓄に回すのは不可能と考える人も少なくないかもしれません。

貯金体質への「ダイエット」のコツ

現在20~30代の人は、一刻も早く貯金体質への「ダイエット」を実行することをおすすめします。貯金を目指すのであれば、まずは現状分析と目標設定を行うとよいでしょう。家計簿アプリのように家計簿作成を自動化できるツールを活用し、毎月の収入や支出をまとめます。1ヵ月でも記録が続けば、「どこに無駄遣いがあるのか」が明らかにできます。

そして、自分たちの家族計画も踏まえながら、いつまでにいくら貯金したいのか金額ベースで計画を立てましょう。たとえば、現在の資産が500万円であり、10年後までに教育費500万円と資産1,000万円を目標とするのであれば、毎年100万円ペースで貯金を続けることが必要です。現状を知って目標を立てれば、今何をするべきか明らかになります。

毎月10万円程度貯金したいのに、現実は3万円しかできていないなら、7万円分の出費を節約したりボーナスの使い道を見直したりと、対策が求められるでしょう。このように、「ダイエット」のコツは現状分析と目標設定です。ビジネスのように、「PDCAサイクル」を回すことで貯金体質へいち早く生まれ変わりましょう。(提供:Incomepress


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