昨日の海外時間には米中貿易戦争に絡んだリスク回避姿勢が後退して円売りが優勢となりました。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

引き続き米中貿易戦争の激化懸念を抱えているものの、市場では7月6日の実施までに何等かの妥協が行われるとの期待からか、当初強まったリスク回避姿勢が後退しています。しかしながら7月6日が近づくと緊張感が高まってリスク回避がつよまる可能性が高いため、引き続き注意が必要です。したがって、目先ドル買いが優勢の間はドル買いからはいっても良いと考えますが、何か貿易絡みの報道が出て円買いが強まった場合は、すぐに円買いのポジションを取るべきと考えます。

111円手前で戻り売り

6月半ばからのドル円相場は111円に届かないところから反落しています。今日も111円近くまで上昇した場合、利食いや実需筋の売りで上値が重くなることが予想できますので、110.80円でドル売り円買いのポジションを作ります。ただし111円台にしっかり乗せたら損切るために、損切りラインを111.10円に設定します。

海外時間からの流れ

欧州時間序盤、ノボトニー・オーストリア中銀総裁が「(欧米の金融政策正常化のペースの違いからユーロが)ドルに対して大幅に下落する展開になっている」と述べたことからユーロ売りが強まって、ユーロドルは1.1530台まで、ユーロ円は127.00円台まで下落しました。しかしこのユーロ売りは続かず、ユーロドルは1.1570台まで、ユーロ円は127.50円付近まですぐに反発しました。この間ドル円は110.10円台を中心とした狭いレンジ内の取引となりました。

NY時間にはいるとややドル売りが優勢となって、ドル円は109.90円台まで下落し、ユーロドルは1.1600付近まで上昇しました。しかしパウエル・FRB議長が「緩やかな利上げを継続する根拠は依然強い」「FF金利はなお緩和的な水準にあり、FOMCメンバーの観点では、中立金利の予測中央値よりも恐らく100bp低い」などと述べたことからドル買いが強まって、ドル円は110.20円台まで上昇し、ユーロドルは1.1560台まで下落しました。

NY時間午後にかけて、米長期金利が上昇したことから円売りが優勢となって、ドル円は110.40円台まで、ユーロ円は127.90円台まで上昇しました。一方ユーロドルは1.1590台まで上昇したあと1.1570付近まで下落しています。

東京時間にはいって米長期金利が堅調に推移していることからドル買いが優勢となっています。

今日の予定

今日の海外時間には、スイス国立銀行、BOE(英中銀)の政策金利発表があるほか、米・6月フィラデルフィア連銀景況指数、米・新規失業保険申請件数、米・5月景気先行指数の発表と、ノボトニー・オーストリア中銀総裁、カーニー・英中銀総裁の講演が予定されています。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp