(本記事は、Mac安田氏の著書『儲かる!民泊経営』徳間書店、2018年2月28日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

【『儲かる!民泊経営』シリーズ】
(1)民泊で「ブランドなし」「知名度なし」「資本なし」でもやっていける作戦とは?
(2)「民泊が盛り上がるのはオリンピックまで」のウソ
(3)民泊で「空き部屋」をなくし満室にするコツ
(4)民泊ゲストは「楽しい体験」にお金を払う──高級料亭と大衆店どちらを選ぶか?
(5)民泊用のマンションのベストな広さは何平方メートル?

儲かる!民泊経営
(画像=Webサイトより ※クリックするとAmazonに飛びます)

予約の入らない不憫な部屋を、トップページ画面に設定

いくつかのタイプの部屋を運営していると、一定の部屋に予約が偏り、決して劣っていないのに予約がこない部屋が出てきます。

そんな時はアゴダや楽天トラベルの自分の宿のトップページに、その部屋の写真を貼ってください。決して悪くない部屋であれば、必ずその部屋を検討する人が現れます。

トップページの写真は、雑誌にたとえれば表紙です。

書店に足を運んだ際、雑誌の表紙やタイトルが目に止まれば、とりあえず手に取ってみるでしょう。ササッとページをめくり、内容がつまらなければその時点で失格ですが、中身がよければ買うかもしれません。

逆に、いくら中身がよくても、表紙が悪ければ手に取ってもらえず、それこそ機会損失です。

たったこれだけのことですが、実験した結果、一定の効果を得ています。

2017年11月下旬時点で、私の宿の3つの部屋のうち2室は12月の予約がほぼ満室でしたが、残る1室の「侍」は、ほぼ空室。

そこでトップページの写真を「侍」に取り替えたところ、わずか1週間で半分が埋まりました。12月2日から1週間、「楽天スーパーセール」があった影響も大きいのですが、もし表紙が別の部屋のままだったら、結果は違うものになったはずです。

せっかく私の宿に目が止まっても、「残念、もう満室か」と思われたに違いありません。

ここでまた、どうしてもエアビーに対する不満が出てしまいます。

というのもエアビーでは、私の3つの部屋同士の?がりが、まったく見えないからです。アゴダや楽天トラベルのような表紙もなく、定価も表示できないため、工夫の余地もありません。

それでも私はエアビーを尊敬しているので、改善をリクエストしましたが、回答は「貴重なご意見有り難うございます」という定形文。エアビーのポリシーが反映されているとは思えず、内情ではエアビーも歯がゆい思いをしているのではと想像しています。

頑張れ、エアビー!

好レビューはゲストとのコミュニケーションから

儲かる!民泊経営
(画像=LI CHAOSHU / Shutterstock.com)

エアビーには、ゲストがホストを評価するレビューはもちろんのこと、ホストがゲストを評価するレビューがあります。

世界広しといえど、売り主が消費者を評価するレビューは他にありません。

エアビーは国籍や肌の色などで差別することを厳しく禁じており、ゲストはいつでもどこでも、歓迎を受ける権利があるとしています。

その代わり、エアビーのゲストが騒いだり禁煙を守らなかったり、他のゲストや周囲の住民に迷惑をかけたりすると、ホストから厳しいレビューが付きます。

つまり、すべての人が気持ちよくふれ合えるように誘導しているのです。「エアビーは、単なる集客システムではない」――私がエアビーを尊敬している理由が、ここにあります。

巷では、「お金を払う人がえらい、お客は店員にどんなに失礼な態度を取ってもよい」と思っている人がいるようで、時に目を覆いたくなるようなシーンに遭遇することがあります。

私は常々、販売する側にもお客を選ぶ権利があると思って仕事をしてきました。

建築の設計監理は特殊な仕事ですからそれが可能ですが、販売業や飲食業など、日常生活に関わる大半の職業では、お客を選ぶことができないのが現状でしょう。

しかし民泊業は、実はお客を選ぶことができる稀な仕事の一つなのです。

私が避けたいゲストとは、「泊まってやっている、お金を払ってやっている」という上から目線のお客です。取引は売り手と買い手の価値観が一致したところで成立するわけですから、どちらがえらいというわけではありません。

ですが通例として、先に御礼を言うのはホスト側です。「数ある宿の中から当館をご利用いただき、有り難うございます」と私が深々とお辞儀をするとゲストは、「こちらこそ、お世話になります」と言ってくれます。

そこで私は、「私の仕事場は当館の1階で、自宅は5階ですから、お困りのことがあればいつ何時でも、ご連絡ください」と、個人的な電話番号を教えます。もし急病人が出たら、夜中でも近くの総合病院の救急入り口までお連れする覚悟でいるからです。

このようにしてゲストとホストの絆が一歩、深まるのです。ちなみに、これまで夜中に叩き起こされたことは一度もありません。

おかげさまで私の宿は、94%のゲストから5つ星のレビューをいただいています。

私は限りなく5つ星になりたいと日々努力をしているので、残る6%がとても悔やまれます。内訳は、117人中102人が5つ星、13人が4つ星、2人が3つ星。特に3つ星だったゲストが気になります。

そこで理由を分析したところ、2つの原因が見つかりました。

(1)主要道路に面していて、夜中でも往来する車の騒音がうるさい。
(2)どうしてもタイミングが合わず、ホストがゲストとコミュニケーションできない場合がある。

(1)については、防音サッシを設置するなど金銭的に解消できなくありませんが、他にも解決法があります。それは言うまでもなく、コミュニケーションです。

空港から当館まで迷わずたどり着けるよう気遣いをし、部屋の使い方も三流ギャグを交えて説明し、レンタル自転車やポケットWiFiを提供し、近所のおすすめレストランまで一緒に歩き、観光スポットへのバス停と路線番号、ワンデイチケットの買い方などを身ぶり手ぶりで説明します。

これは、貴重な旅の時間を楽しく有意義に使ってもらいたいと思う親心からです。

ゲストが空港から私の宿にたどり着いた時には、すでにお互いの心が通い始めているので自然にハグをします。

コミュニケーションがちゃんと取れていれば、たとえ防音窓に改造しなくても、すべてのゲストから5つ星レビューをもらえることでしょう。

Mac安田(本名 安田昌弘)
1955年京都市生まれ。一級建築士。Macデザイン研究所代表。設計事務所に勤務後、宮大工の棟梁に弟子入りして寺社建築に取り組む。その後はマンションや個人住宅の設計・建築に従事。特に外断熱住宅に早くから取り組み、デザインと断熱性、耐震性を両立させた独自の境地を切り拓く。「お客様とは一生のお付き合い」がポリシーの熱血建築家である。主な著書に『プロが教える!建築費500万円を節約するかしこい家造り』(実業之日本社)、『収益住宅のすすめ』(筑摩書房)、『外断熱住宅はここが凄い!』(日刊工業新聞社)などがある。