日経平均予想レンジ22,278~22,898円

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=PIXTA)

今週は米中貿易摩擦の激化を懸念した円高・ドル安進行が嫌気された上、米国株の大幅続落を受けて日経平均は3日続落から6/1以来22,200円を割り込んだ。その後22,700円台への自律反発を見せたものの、週末は22,516円で終了した。

海外の焦点

NYダウは米中が貿易戦争に突入するとの警戒感が強まり、8日続落から24,406ドルまで売られ、861ドル下落した。12日に行われた米朝首脳会談が表向き成功したことで材料出尽くしとなった格好だ。トランプ政権は中国への制裁として総額500億ドル(約5.3兆円)の追加関税を発表。これに対し中国は対抗措置として同額の質的・量的措置の関税で報復する姿勢を示した。しかし、トランプ大統領は18日新たに2,000億ドル(約22兆円)相当の中国製品に対する10%の追加関税を検討すると表明。中国も追加の対抗措置で応じる姿勢を示している。又、EUは対米報復関税を28億ユーロ(約3,600億円)を発動するなど報復が報復を呼び、貿易戦争の恐れが中国だけでなく欧米間でも高まってきた。堅調だった世界経済の減速を招く恐れがあり、リスク回避に向けた売りが懸念される。

国内の焦点

日本にとって米朝首脳会談は完全非核化に向けた具体策に欠け、非核化費用と経済支援は日韓負担、拉致問題では具体性の弱さなど不安を残したといえる。米朝会談では一応の成功で地政学リスクは後退したものの、会談を終了してトランプ大統領のこれまで対中圧力を抑えていた反動が東京市場にも強まってきたといえる。

日経平均と鉱工業生産指数の連動性が注視される。4月の生産実績は104.1%、前月比0.3%上昇。5月の予測も0.3%上昇の104.4%となった。ただ2、3月の各々2.0%、1.4%上昇からは鈍化が窺える上、6月の生産予測は103.8%と0.8%低下した。日経平均は生産指数の上昇に伴い戻り高値を形成したが、一方、日経平均は低迷する生産に連動する形で反落してきた経緯を辿ってきただけに6月の生産予測の低下で反落ケースを辿るのかが気掛かり。

テクニカル面では、25日線22,594円を割り込み、5月安値から6月高値の上昇幅に対する61.8%押しの22,343円を一時下抜け、失望感は強い。25日線を早期に回復しないようなら調整局面の長期化が懸念される。短期的には75日線22,125円や200日線22,023円が下値目処として意識される。

来週の株式相場

以上、来週は対米通商交渉や米中貿易摩擦への警戒感と自律反発期待との綱引きと見ている。日経平均のレンジは上値は6/14高値22,898円が意識され、下値は6/19終値安値22,278円が目処となろう。

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト