必要な保険や保障は、年齢、雇用形態、家族構成など様々な要素に左右される。30代の人にはどのような保険が必要なのだろうか。保険種類ごとの具体的な保障内容については、どう考えればいいのだろうか。
30代の自分に保険は必要なのか?
働き盛りで収入面も少しずつ安定してくる30代。ただ入院したことがなかったり配偶者や子供がいなかったりすると、保険について無関心になりがちだ。あるいは「自分はまだ若いのだから保険に加入するのはもう少ししてからでもいいのではないか」と考える人もいるかもしれない。
●30代の生命保険加入率はどのくらい?
生命保険文化センターが実施した調査によると、2015年における生命保険への世帯加入率は89.2%であることがわかった。また、これを世帯主年齢別に見ると、30〜34歳の加入率は86.7%、35〜39歳の加入率は93.3%となっている(『平成27年度生命保険に関する全国実態調査』より)。
30代前半世帯の生命保険加入率が全体平均よりもやや低いのは、結婚や子供の誕生を期に保険への加入を検討する人が多いことや、「まだ若いから保険に加入する必要はない」と考える人がいること等が影響しているのであろう。
●30代でも入院・死亡のリスクはある
厚生労働省が発表したデータによると、2014年において40歳まで生存している人の割合は男性が98.3%、女性が99.0%となっている(『平成28年簡易生命表』より)。
また2014年に入院した人の数を年齢別に見ると、30〜34歳の人が約22万1000人、35〜39歳の人が約26万3000人であることがわかっている(厚生労働省『平成26年患者調査』より)。この年の入院患者総数は約1318万8000人であるから、そのうち約3.7%が30代の人ということになる。
●自分に必要な保障を保険種類ごとにシミュレーション
30代でも入院や死亡のリスクがある以上、それらに対する備えを用意しておく必要がありそうだ。ただ、どのような種類の保険に加入すべきなのか、保障額をどのくらいにすべきなのかという点については、家族構成や雇用形態などによって異なる。
そのため保険への加入を検討する際は、自分に必要な保障について保険種類ごとに具体的にシミュレーションしてみることをおすすめする。
30代の医療保険選びのポイント
医療保険は、配偶者や子供の有無に関係なく加入を検討すべきものである。ただし保障額を決める際は、入院・手術をした場合に自己負担すべき費用や逸失収入の有無などについて慎重に検討することが大切だ。
●まずは医療費の自己負担額をシミュレーション
医療保険の主契約部分である、入院保障日額。これを決める際はまず、入院・手術をした場合に負担すべき費用についてシミュレーションする必要がある。
日本には高額療養費制度があるため、1ヶ月あたりの医療費自己負担額は収入に応じた限度額内に抑えられる。
例えば、年収500万円の人が胃がんの治療のために20日入院して治療費が300万円かかったと仮定する。この場合、医療費の自己負担額は「8万100円+(医療費−26万7000円)×1%」により算出される、10万7430円になる。これに入院時食事療養費(平成30年4月より1食460円)をプラスすると、このケースでの自己負担額は1日あたり約6750円となるのだ。
●配偶者・子供がいる人は逸失収入についても慎重に検討
医療費の自己負担額だけを考えると、入院保障日額は5000円〜7000円もあれば十分ではないか、とも思える。確かに、1人世帯である程度の預貯金がある人ならば、それでも大きな問題はないだろう。
しかし、配偶者や子供がいる場合、入院に伴う逸失収入が生じることで、家計に影響が出る可能性がある。会社勤めをしている人であれば傷病手当金制度を利用できるが、自営業者の場合はこれによる保障を受けられない。以下に該当する人は、入院保障日額をやや高めに設定しておくのも1つの選択肢ではないだろうか。
・配偶者や子供がいる
・専業主婦世帯である
・自分の収入で生活費の大半を賄っている
・自営業者
・会社経営者
●保険期間についてどう考えるのか
30代の人が医療保険への加入を検討する場合、悩ましいのが「保険期間をどうするのか」という問題である。
保険期間を「終身」にすると、生涯にわたり保障が続くうえ、保険料が上がることもない。ただし定期型と比べると、若い頃の保険料はどうしても割高になってしまう。これに対して保険期間を「定期」にする場合、若い頃は保険料を安く抑えられるが、更新の度に保険料が上がる。また、商品によっては一定年齢までしか契約の更新をできない場合がある。
生命保険の保険料は、年齢に比例して高くなる。そのため、独身・既婚を問わず30代のうちに終身医療保険に加入し、「ベース」となる保障を作っておいてはいかがだろうか。そのうえで配偶者や子供がいる世帯では、一定期間に限定して定期医療保険に加入し、プラスαの保障を用意しておくのも1つの選択肢であろう。