ドル円予想レンジ108.10-111.50

武部力也,週間為替相場見通し
(画像=Melinda Nagy / Shutterstock.com)

「(安倍晋三首相・自民党総裁の3選について)もう間違いない」―。これは自民党二階幹事長が6/26に示した見解だ。二階幹事長は、9月の党総裁選で安倍首相の3選を支持する考えを以前から再三再四表明しており、党内において睨みを利かせている格好だ。

過去号において、9月自民党総裁選の各候補者(岸田文雄氏、石破茂氏、野田聖子氏、河野太郎氏&小泉進次郎氏)の一字を抽出した合成名「岸破聖太郎」を“ポスト安倍“として取り上げた。しかし直近における報道各社の世論調査では安倍首相支持率は上昇。永田町関係者からは総裁選を2か月後に控え、“安倍首相辞任(アベグジット(Abexit)≒円買戻し)”とした可能性は極めて低いとの声が聞こえている。

黒田総裁「信ぜよ、さらば救われん」を阻むもの

6/15日銀会合後に、安倍首相の“盟友”黒田日銀総裁は上昇しない物価へのジレンマを「信ぜよ、さらば救われん、というつもりもないのですが、信じないのではなかなか物価も上がらないのではないかと思っています」と吐露。「金利格差が拡大していけば、あるいは金融緩和の度合いの格差が拡大していけば、円安になるというのは、殆ど理論のトートロジーなのですが…」とも発言している。黒田日銀は4年以上の歳月をかけて奮戦しているが、これを以て推考するなら“長短金利操作付き量的・質的金融緩和”は、安倍首相3選後の任期2021年9月迄継続する可能性も否めない。現策を信ぜよ、なら円安助長環境も継続であり、後戻りできない“不可逆的な政策”とも読めそうだ。7/2の日銀短観では、金融政策正常化に向けた動きは当面先、と見込んでの業況判断の程度と輸出設定レートが注視されよう。

一方のドル高抑制理由だが、トランプ通商施策によるグローバル経済の収縮を市場が警戒していることが挙げられ、筆者は特に7/4の米独立記念日前後を注視している。本来、同日は「USA!愛国心回帰!」とした政治的標榜は謳われず、祝賀パレード・バーベキュー・花火打ち上げ、といったお祭りムード一色の筈である。

しかし現状、対主要各国との通商摩擦問題を抱えているトランプ政権が同期間前後に何も無かった、とシラを切り、打ち上げ花火不発のような真似をするのか否かが焦点となりそうだ。7月第1週は打ち上げ花火の如くトランプツイッター投稿の打ち上げに警戒感を覚えている。

7/2週ドル円焦点

継続して200日線(110.20近傍)は上下分水嶺。上値焦点は6/15高値・5/23高値110.915-925。越えれば5/22高値111.20で5/21高値111.405、1/18高値111.495は期待値。

下値焦点は日足雲上限(109.70-86)、6/25-26安値圏、6/11安値109.35-36、6/8安値109.185、109円台維持。割れると6/1安値108.72、5/30-31安値圏108.37-34、5/29安値108.10。

武部力也,週間為替相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

武部力也
岡三オンライン証券 投資情報部長兼シニアストラテジスト