日経平均予想レンジ21,889~22,693円

伊藤嘉洋,株式相場見通し
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今週は米中貿易摩擦をめぐる懸念がぶり返し、米国株が大幅下落した流れを引き継ぎ、日経平均は4/4以来200日線を割り込む場面が見られた。その後は7/6の追加関税発動など貿易関連の重要なイベントを控えており、様子見気分が広がる中、週末は22,304円で取引が終了。

海外の焦点

米国の通商政策への警戒感が一段と強まっている。トランプ政権は中国への技術流出を防ぐため、中国資本が25%以上入っている企業を対象に米企業の買収を禁じる規制強化案を検討していると報道された。更に、ムニューシン米財務長官が米国の技術を盗もうとする全ての国が対象だと述べ、中国資産だけが標的ではないとの見解を表明した。

その後トランプ大統領は米ハイテク企業への投資規制について既存の制度の見直しで対応できる考えを示し、強硬姿勢は後退させたものの、クドローNEC委員長が大統領の説明は中国に対する態度の軟化を示すものではないと発言。規制案が貿易摩擦に及ぼす影響が見通せない中、市場の警戒感は拭い切れていない。又、ハーレー・ダビットソンが欧州向け生産を海外に移すと表明するなど貿易摩擦の影響が企業活動にも広がり、先行き不透明なことへの警戒感も根強い。

国内の焦点

東京市場では日経平均がTOPIXより堅調な動きの中、NT倍率は12.96倍(6/22)に急上昇した。日経平均の大幅入れ替えがあった2000年以降の最高水準となった。これまでの経験則では日経平均がTOPIXに鞘寄せして倍率が縮小に向うのか、逆にTOPIXが日経平均に鞘寄せするのか、いずれにしても相場の方向性が転機を迎えることが多い。2013年のNT倍率上昇は日経平均主導での上昇に対する行き過ぎから修正された。2016年の局面ではTOPIX主導の下落相場の行き過ぎが修正の転機となった。今回は出遅れのTOPIXの巻き返しがNT倍率の修正につながるのか注目される。

テクニカル面では6/28、75日、200日線を一時割り込んだが終値では両線を上回り一旦底割れは回避した。当面は200日線と25日線との間でのもち合い形成の可能性は強まった。ただ、明確に底入れシグナルの足が見られないだけに自律反発力が弱いと引き続き下方への警戒感は怠れない。5/30安値21,931円を割り込むと本格的な調整局面入りが視野に入るだけに留意しておきたい。

来週の株式相場

以上、来週は不透明な米貿易政策に加え、主要経済指標を受けた米国株や為替の動向を睨み、自律反発余地を探る展開と捉えている。日経平均のレンジは6/21終値22,693円が目処となり、下値は4/17窓埋め21,889円が意識される。

伊藤嘉洋,株式相場見通し
(画像=岡三オンライン証券)

伊藤嘉洋
岡三オンライン証券 チーフストラテジスト