このコーナーでは毎週原則木曜日に実施しているMarket Talk(動画セミナー)のサマリをお届けします。

2018年7月19日(木)Market TalkのSummary

日経平均は23,000円を上抜けしますか?

今週は抜けるのは難しいだろう。今週は23,000円目前で止まってエネルギーを溜め、来週から始まる決算発表で抜けるのではないか。

オムロンとファナックは今買いですか?様子見が良いでしょうか?

今は機械株、省力化、産業ロボット関連に逆風が吹いている。しばらく(戻るには)時間がかかるのではないか。これはひとえにやりすぎた反動と一時的な受注減、貿易戦争やスマートフォンの飽和感による設備投資の手控えなどによるもので、安川電なども売られている。ただ、日本での人手不足、中国での人件費の高騰など、省力化への投資の需要は無くなっていない。スマートフォンも足踏みしているが、中国ではスマートフォンはもはや電話ではなく、生活インフラとして使われており、これからは日本も同様に広がっていくだろう。世の中が大きくIotなどに向かって動いていく構図は変わらないので、ロボットや設備投資関連へのニーズは今後も非常に強いと思う。

銀行株の先行きは?

地方銀行は厳しいだろう。メガバンクは色々舵をきっている。例えば昨日報道された「データバンク(情報銀行)」。これは三菱UFJ信託が始める事業だが、デジタルの分野で、特にビッグデータをビジネスにつなげていく意思のあるところを今後に期待して底値を拾う、というのも悪くはないだろう。

貿易戦争懸念から設備投資減少など戦争は起こらないにしても憂慮から経済減速はないか?

先行きが不透明になっているのだから、経済活動が鈍るのはいたしかたないが、大分織り込んできているのではないか。

金利引き上げが強く予測される中、ドル高基調ですが、米10年国債金利が、3%から2.8%に低下しているのはなぜでしょうか?

4月、5月のときは金利が先走りすぎたというのが理由のひとつ。あとは、今後このままのペースで、今年2回、来年3回の利上げを行うと、FEDが見ている中立金利2.9%を超えて政策金利が3%を超えてしまう。こうなると明確な引き締めに入る。引き締めれば景気は鈍化するので、10年先を見る長い金利である10年債利回りは上がらなくなってくる。FEDの引き締めスタンスが強まるほど長期金利は上がらない。これは景気拡大期の終盤にはよく見られる現象で、政策金利は上がるが、政策金利が上がったことにより景気がスローダウンすることを織り込んで長期金利が上がらなくなってくる。

トランプ大統領が自国優先主義へと走って行くと秋口に向けて株価が下がってくると思いますがいかがでしょうか?

これから中間選挙に向けてヒートアップするかどうかは読めないが、米国株はナスダックが最高値、NYダウは25,000ドル、日本株も日経平均が23,000円手前、とマーケットは大分耐性ができているのではないか。

ナスダックが最近弱い。反対に、ダウが強いのですが、ここからのナスダックの動きは?

また上がると思う。今は一服でダウに戻っているが、ナスダックは先週末にかけて2回史上最高値を更新している。リーディング産業はナスダックにあるのだから、ナスダックの方が強いということであろう。

広木隆(ひろき・たかし)
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト

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