金曜日の海外時間には、東京時間に続いてトルコ・リラが急落し、リスク回避の動きがひろがる中円買いとドル買いが強まって、ユーロドル、ユーロ円が下落しました。

今後の見通し

FXプライム,高野やすのり,市況解説
(画像=PIXTA)

金曜日のトルコ・リラの急落に続き、今日東京時間午前には南アランドが数分で約10%下落しました。ランド・円が昨年の安値を割り込んで損切りの売りが膨らんだ、とも考えられますが、スワップ狙いのポジションが溜まっている状況を見て、海外投機筋が売り仕掛けをした、とも考えられます。いずれにしても、中長期の金利差を狙った取引がかなり痛んでいることから、しばらくは新興国通貨全体で神経質な動きが続くと考えられますので、下がったから、という理由だけで買いましたり、あらたなポジションを作ることは非常にリスクが高いと考えられます。

一方、リスク回避の動きで円買いが続いていて、ドルも買われていることからドル円相場は大きな値動きにはなっていませんが、そんな中でもじょじょに高値、安値ともに切り下がってきていて、今週もトルコの問題がくすぶっているかぎりは同じような展開になりそうです。7月初めの安値110.20円台を下抜いていけば、5月後半の108円付近を意識した相場になるのではないでしょうか。

111.35円のドル売りポジションを維持

111.35円で作ったドル売り円買いポジションを維持しています。損切りラインを持ち値の111.35円に引き下げて損失の可能性をなくしながら110円割れの可能性を探りたいと考えます。

海外時間からの流れ

欧州時間序盤、アメリカとの関係悪化を受けて朝方から下落していたトルコ・リラが下げ幅を急激に拡大し、市場が混乱する中朝方の20円台から17円台まで下落しました。リスク回避の動きとなる中円買いが強まって、ドル円は111.10円台か110.60円台まで下落しましたが、トルコ・リラ売りが一巡して19円付近まで反発するとドル円も111.00円付近まで反発しました。

NY時間にはいると、ドル買いが優勢となって、ドル円は111.10円台まで上昇幅を拡大した一方、ユーロドルは1.1410台まで下落しました。その後トランプ大統領が「トルコの鉄鋼とアルミニウムに対する関税を2倍に引き上げることを承認した」と報じられると、再びトルコ・リラが急落、リラ円は18円付近から15円台後半まで下落しました。この間ドル円は欧州時間の安値を割り込んで、110.50円付近まで下落し、ユーロも売られ、ユーロ円は126.00円付近まで下落幅を拡大しました。

NY時間引けにかけては、トランプ大統領の顧問弁護士が「トルコでアメリカ人牧師が拘束されている問題について解決に近づいている」と述べたことを受けてリスク回避がやや後退してドル円は111円付近まで買い戻されました

週明け月曜早朝のオセアニア市場では、再びトルコ・リラが売られリラ・円は一時金曜日海外時間の安値を下回って15円台前半まで下落しました。その後日経平均が下落する中円買いが強まっています。また南ア・ランド/円も2017年の安値を下回ったことをきっかけに急落しています。

今日の予定

今日の海外時間には、主要国の経済指標発表などの予定はありません。

(提供:FXプライムbyGMO)

高野やすのり
慶應義塾大学卒。チェース・マンハッタン銀行(現J.P.モルガン・チェース銀行)、スイス・ユニオン銀行(現UBS銀行)などでインターバンクディーラー業務等に従事。現、(株)FXプライムbyGMOお客様コンサルタント。Twitterでも情報発信中 高野やすのり@takano_fxp