「ブタ財布→スッキリ財布」で、お金がどんどん貯まっていく!
気づいたらカードやレシートで財布がパンパンになり、スマートに会計ができなかったり、必要なカードがすぐに取り出せない、などの悩みを抱えている人は多いようだ。そんな「ブタ財布」を持っている人はお金が貯まらないと、ファイナンシャルプランナーの藤川太氏は指摘する。お金が貯まるスッキリ整理された財布の秘訣とは?
財布を見ればお金の使い方もわかる!
会計の際、財布からお札を取り出すとレシートが挟まって一緒に出てくる、ポイントカードがなかなか見つからない……そんなことはありませんか?
レシートやカード、小銭でパンパンに膨れ上がった財布……私はこれを「ブタ財布」と呼んでいます。財布の中が整理できていないので、会計のときにあたふたする悪い財布の典型例ですが、これは会計の際に使い勝手が悪いだけでなく、「お金が貯まらない」という致命的な欠点にもつながります。
ではなぜ、整理できていない財布ではお金が貯まらないのか。それは、自分が「いくら使った」のか把握できないからです。その日、その週の支出がわからないと、「使いすぎた」という認識すらありません。すると、お金を使うブレーキが作動しません。つまり、ブタ財布の持ち主は、お金を管理する能力がないのです。
私はこれまでに2万件を超える家計相談を行なってきましたが、その際にさまざまな人の財布を目にし、財布とその持ち主の金銭感覚との関係がわかるようになってきました。
レシートや領収書とお札が同じ場所に入っているブタ財布では、会計の際に適当にお札を引っ張り出して、適当に使いがち。そして、おつりとレシートをまたその財布に戻すので、さらに財布は膨らんでいく……その繰り返しです。こんなふうにお金を管理できず、粗末に扱う人はお金からも見放されていきます。
では、貯め上手な人の財布はどうかというと、レシートとお札が同じ場所に入っているということはまずありません。しっかりとした素材の財布に、お札と厳選されたカードが入っています。レシートはその日使ったぶんが入っているだけ。
ごちゃごちゃしていないので、財布にいくら入っていて、自分がどれくらい使ったかきちんと把握でき、財布一つでお金の管理ができている──そんな、スッキリと整理された財布を持っている人は、決まってお金から好かれます。
ブタ財布を卒業する3つの「溜めない」
では、ブタ財布を卒業し、スッキリした財布にするにはどうしたらいいのでしょうか。それには、①カード、②レシート、③小銭をコントロールすることです。
①クレジットカード、ポイントカード、病院の診察券など、カードは多種多様ですが、財布に溜め込まないようにしましょう。すべてのカードから厳選して15枚、最大でも20枚以内に抑えます。
②レシートは、財布の中でお札とは一緒にしないことが必須。さらに、帰宅したらすぐ取り出し、レシートボックスに入れるという、とにかく「財布に溜めない」習慣を身につけてください。そして、レシートボックスを定期的にチェックするようにすれば、自然とムダ遣いが減っていくはずです。
③小銭を出すのは面倒だからお札を使うという人がいますが、そうすると小銭がどんどん増えていき、財布は膨張する一方。なるべく小銭を溜めないようにするのもブタ財布卒業のポイントです。ちなみに、1万円札を崩すと、お金を使うペースが速くなるという人間心理があります。お金を減らさないためには、できるだけ財布の中の1万円札を崩さないことです。
このように3つの「溜めない」を心がけ、整理する習慣をつけると、ムダ遣いが劇的に減ります。実際に財布の整理でお金が貯まった人を私は何人も見てきました。財布をスッキリとした状態に保てば、家計簿をつけなくても使ったお金がわかるので、しっかりとお金の管理ができます。整理された財布は、「お金が貯まる人」になるための第一歩。今日から「溜めない財布」を目指しましょう。
財布をスッキリさせ、お金が貯まる財布になる4つのコツ
①お金は1週間単位で管理して財布に入れる
お金を貯めるために大切なのが、「予算管理」という意識です。その際、財布に入れるお金を1週間ごとに決めるのがポイント。1週間で管理すると、使いすぎに早く気づくことができます。そして、もし「使いすぎた」と思ったら、翌日や翌週につじつまを合わせればいいのです。
お金の管理はダイエットと同じです。減量できる人は毎日体重計に乗り、「食べすぎたかな」と行動を顧みて、翌日の食事に気をつけます。1キロ増えたタイミングですぐに対処すれば、もとに戻すのはそれほど難しくないはず。お金も、1週間単位で管理する習慣をつければ調整がそれほど難しくないうえ、ムダに多くのお札を入れることもなく、スッキリした財布を実現できるのです。
②財布に入れるカードは15枚までに厳選
まず、財布の中のカードをすべて出して並べてみてください。そして、クレジットカードやポイントカード、診察券などと分けていくと、ポイントカードが多いことに気づくかと思います。たまたま入った店でポイントカードをもらって「いつか使うかもしれない」と持ち歩く人は意外に多いもの。しかし、実際、そのカードを使っているでしょうか?
財布に残すカードは一概にコレがいいとは言えません。自分の行動範囲や趣向を考えて自分に合うものを厳選してください。多くのカードを持っているよりも厳選したほうが、財布がスッキリするうえ、結果的に行く店が限られてポイントが貯まるという好循環も生まれます。どうしても収まらない場合は、カードケースに収納してカバンに入れて持ち歩きましょう。すると、「意外に使わない」ということに気づくと思います。
③家に帰ったら、レシートは財布から出す
レシートを財布から出す習慣をつけること。レシートが溜まっていると、お札が見えにくくなり、財布にいくら入っているのかわからなくなります。すると、いつの間にかお金を使ってしまい、足りなくなって銀行から引き出す……という悪循環に。
レシートを取り出すと、手持ちの金額が明確になるので買い物の際にブレーキになり、さらに財布がスッキリするだけでなく、支出を把握しやすくなるというメリットがあります。財布にある金額がパッと見てわかるので、どんなペースで何にお金を使っているのか、レシートと残金を見ればわかるからです。レシートは毎日取り出し、レシートボックスに入れ、できれば溜まってきたら家計簿やレシート帳をつけるとベスト。それが面倒な場合、レシートを見て、買ったものを振り返る習慣をつけるだけでもムダ遣いは減っていくはずです。
④お金が貯まる財布の選び方とは?
よく「お金持ちは長財布を持っている」と言われますが、スッキリ入ればなんでも構いません。二つ折り財布は入れすぎると財布が悲鳴を上げるため、あえて二つ折り財布を持っている貯め上手な人もいます。また、カードポケットや収納スペースが多かったり、マチやチャックがついた余裕のある作りだと、そのぶん不要なものをたくさん入れて、ブタ財布になってしまいがち。
良い財布は、しっかりした素材で、お札とレシートを入れるスペースが分かれていて、適度にカードを収納できるもの。お金が貯まる人は、自分に合った実用的な財布を長く使っているケースが多いです。レシートや小銭を溜めずにスッキリさせて丁寧に使えば財布も長持ちします。
藤川 太(ふじかわ・ふとし)
ファイナンシャルプランナー/生活デザイン〔株〕代表取締役
1968 年、山口県生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科を修了後、自動車会社勤務を経て、ファイナンシャルプランナーに。運営する「家計の見直し相談センター」では、2 万人を超える家計診断を行なっている。確固たる知識と飾らない人柄によるアドバイスで、多くの相談者の信任を得ている。『1億円貯める人のお金の習慣』(PHP研究所)、『年収が上がらなくてもお金が増える生き方』(プレジデント社)など、著書多数。≪取材・構成:西澤まどか≫(『The 21 online』2018年5月号より)
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