(本記事は、田口智隆氏の著書『1億円の法則 古今東西の大富豪に学んだお金の真実』冬至書房、2018年10月10日刊の中から一部を抜粋・編集しています)
金持ちになる方程式は「(収入-支出)+(資産×運用利回り)」
私は、ムダづかいを改め家計を徹底的に見直して今まで以上に節約する方法を模索し始めた。
なぜなら、お金持ちになるためには、今は徹底して「節約」しなければならないことを知ったからだ。
『新板 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(橘玲著、幻冬舎)にもこういう記述が出てくる。
資産とは収入の多さではなく、収入と支出の差額から生み出される。
お金持ちになろうと思うと「とにかく稼ごう」「収入をアップしよう」と思うのがふつうだろう。しかし、それでは不十分なのだ。
資産とは「収入と支出の差額」。ということは、収入を増やすと同時に支出を増やしてはいけない。
サラリーマンがなかなかお金持ちになれないのは、いくら年収がアップしてもそれに伴って、家賃の高いところに引っ越したり、消費が増えたり、税金がとられていくからだという。
だから「日本では、お金持ちと呼ばれる人は成功した自営業者か中小企業の経営者で、大企業のサラリーマン社長になってもせいぜい東京の郊外に一戸建ての家が持てる程度」なのだ。
ぼーっとしていると、お金持ちどころか余裕のある老後を迎えることもできない。多くの人はすでに気づいているはずだ。
「会社や国の言うとおりにすれば、老後を保証してくれる」という考え方が、すでに「幻想」に過ぎないということを。
収入を増やしても(税金を含めた)支出を増やさないように工夫する。ここを徹底しなければ、お金持ちへの道は開けない。
そしてついに、私はその後の人生を一変させたひとつの方程式に出会う。
「金持ちになるための方程式」である。
資産形成=(収入-支出)+(資産×運用利回り)
あまたのお金の本や、お金に関する考え方があふれているが、この式さえおさえておけば間違いない。すべてのお金の真実がこの方程式に入っているからだ。
この方程式から、金持ちになるには、次の方法しかないことがわかる。
(1)収入を増やす
(2)支出を減らす
(3)運用利回りを上げる
なんと、お金持ちになる方法は、たった3つしかないのだ。お金持ちになりたいなら、地道にこの3つの方法をひたすら実践していくしかない。
私は早速、自分の状況と「3つの方法」を照らし合わせ、今できることを考えてみることにした。
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収入は増やす。支出は減らす
「お金持ちになるための方程式」を手に入れた私は、今自分にできることを実行に移していくことにした。
まずは「収入を増やす」ことだ。
「給与が低ければ、給与以外の収入を増やせばいい」
しかし、研修中の身なので時間もなく、副業を始めるのはちょっと難しい。打てる手は限られている。とりあえず私は、今自分が所有しているものを、お金に換えることを考えた。
幸い家には、大量の高級ブランドの服や靴、本、DVDが使われることなく山のように眠っていた。これらをすべて、フリーマーケットなどで売ることを決めた。
これまでの浪費のおかげで、というのも皮肉だが、すべて売りさばいたときには、なんと合計が100万円ほどになった。
不要なものを捨てれば、狭い部屋でも広々と使えるようになるし、売れば誰かの役に立つ上、お金までもらえる。
当時はフリーマーケットを利用していたが、現在は「メルカリ」など便利なアプリもあるので、積極的に活用することをオススメしたい。
次は「支出を減らす」ことだ。
「もっと節約できないだろうか……?」
私は今まで以上に徹底的な節約を始めた。
これまでは、服や飲み代などの「浪費」を我慢するだけの節約だったが、今度は浪費以外の節約、つまり「消費」の部分についても節約していくことにした。
支出を減らすにあたっては、とにかく「固定費」を下げることが大切だ。
家賃や光熱費、食費など、固定費を下げることができれば1年で想像以上の節約ができるはずだ。
そこでついに引っ越しを決意した。これまで住んでいた家賃8万円のワンルームマンションを引き払い、家賃2万5000円のボロボロの借家に引っ越した。
築20年、6畳1間の風呂なしの平屋。さすがにこれはキツかったが、お金持ちになるための王道はこれしかないと思い、喜んで耐えることにした。
当時は固定電話しか引かなかったが、今なら通信費もバカにならないだろう。家のインターネット料金、スマホの月額の費用などは、格安スマホなどにすることで節約できる部分はあるはずだ。
食費もさらに切り詰めた。
外食やコンビニ、ファストフードの利用を一切やめ、スーパーでタイムセールの惣菜を買い、自分でご飯を炊いて食べることを徹底した。
ただ、お酒だけはやめられなかった。あまりに切り詰めすぎると、さすがの私もストレスがたまってしまう。
よって、お酒だけは自分に許可したが、その代わりすべて格安の「発泡酒」に切り替えた。
ビールなら1缶300円近くするが、発泡酒ならロング缶でも200円前後で購入できる。チリも積もれば山となる。毎日の地道な節約が大富豪への道なのだ。
「金利」と仲よくなる
お金持ちになるための3つの方法、それは
(1)収入を増やす
(2)支出を減らす
(3)運用利回りを上げる
であると学んだ。
(1)と(2)に関しては、いろいろ工夫して手を打ったが、「(3)運用利回りを上げる」だけは時期尚早だった。そもそも当時は、まだ借金返済の途中だったため、資産を買えるようなお金などなかったのだ。
ただ、「ファイナンシャル・インディペンデンス(経済的独立)」への道を加速して進むためには、この「利回り」という概念をきちんと理解しておかねばならない。
「利回り」「金利」などの言葉は文系の私には難しく敬遠しがちだったが、お金持ちを目指すためには、そんなことを言ってはいられない。
「利回り」が大きければ「資産」はそれだけ大きくなる。
たとえば、1000万円の「元金」を年利1%、10年複利で運用しても1100万円にしかならない。一方、年利が5%なら1600万円、10%なら2600万円にもなる。
「利回り」の違いがわずかであっても、最終的に大きな差になるのだ。
今「10年複利」と、さらっと説明したが、「複利」とはどういうことかおわかりだろうか?
金利には「単利」と「複利」がある。
「単利」とは「預けた元本のみ」に利息がつくことだ。
1000万円預けて年利が10%の場合、1年間の利息は純粋に100万円になる。2年目も元本1000万円を基本に計算するため、利息分は100万円だ。2年間で増えるのは200万円ということになる。
「複利」は「元本+利息」に利息がつく。
発生した「利息」が次の期間の「元本」に追加される。この「利息が足された元本」をその期間の「元本」として新たに利息が計算される。
1000万円預けて年利が10%の場合、1年間の利息は100万円だが、2年目の利息の元本は「1000万円+100万円」で「1100万円」となる。
2年目の利息は110万円となり、1年目よりも増えるわけだ。
2年目ですでに10万円の差が出ていることがわかる。さらに長期で見れば、元本が毎年増えるため、雪だるま式に資産は増えていくというわけだ。 運用利回りが上がれば上がるほど、資産の成長率はグンと高くなる。これが「複利」のパワーなのだ。
アインシュタインも「数学におけるもっとも偉大な発見は、複利である」という言葉を遺している。お金持ちになろうとするあなたにはぜひこの「複利」のパワーを十分に活用してほしい。
成功には痛みが伴う
一刻も早く借金を返済して、資産を買えるような「タネ銭」をつくることが必要だ。そう思った私は、生活のスペックを下げられるところまで下げた。
そこには、欲しいものを買いまくり、友達と飲みまくっていた昔の私の姿はどこにもなかった。
必要最低限のものしか買わない、極限のストイックな生活。思い返してみると、これまでの人生の中でいちばんがんばった時期だったかもしれない。
「俺は今、『ファイナンシャル・インディペンデンス(経済的独立)』に向かって突き進んでいるんだ!」
そう思って自分を支えていたものの、さすがの私も何度かくじけそうになった。
「お金持ちになれる人なんて、特別な人だけなんじゃないか……」
つい弱気になることもしょっちゅうだった。
そんなときに出会ったのがナポレオン・ヒル、その人だ。
彼は「成功哲学の祖」と呼ばれている。駆け出しの新聞記者時代に、世界の鉄鋼王であるアンドリュー・カーネギーに出会い、カーネギーの要請で成功哲学を体系化した。
彼の代表作『思考は現実化する』(ナポレオン・ヒル著、田中孝顕訳、きこ書房)は、20年をかけて、500人以上の著名人をインタビュー。
彼らがなぜ成功したのか、その思考方法や行動方法について体系的にまとめたものだ。
彼は同書の中でこう言っている。
成功には代償が必要だ。
シンプルではあるが、ものごとの核心を突いた言葉だ。
ナポレオン・ヒルは、続けてこんなことも言っている。
この世の中に代償を伴わない成果などない。
しかし、あなたが支払う代償は、あなたが得る成果に比べると、極めて小さなものである。
今になって思う。
究極まで生活のスペックを落としていたころは、とてもつらい時期だった。
でも私は今、そのときの「代償」と引き換えに「ファイナンシャル・インディペンデンス(経済的独立)」というとてつもなく大きな成果を得ている。たしかに、あのころの代償なんて、極めて小さなものだったのかもしれない。
私のように、本気で「お金持ちになりたい!」と考えているあなたに言っておきたい。
楽をして成功を得ようなんていう甘い考えは捨てよう。
成功をつかむためには、必ず痛みが伴う時期がある。つらい時期を乗り越えられるかどうかが、成功と失敗の分かれ道になる。
未来の大きな成功のために、痛みを恐れないで進んでほしい。
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